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世界のネオン -イギリス-

最後は、イギリス。

The situation in England is similar to that in France. The older companies are devoting less and less energy to neon as here, too, plastic is very much in vogue.

Rudi Stern / Let There Be Neon
P81

"イギリスの状況はフランスと似ている。ここでもプラスチックが大流行しているため、古い会社はネオンに力を入れなくなってきている。"

1970年当時の欧米では、ネオンが既にかなり低迷していたことがよーくわかった。

English neon never fully recovered from the War during which time it was at a complete standstill. Severe energy shortages following the War slowed its development considerably.

Rudi Stern / Let There Be Neon
P81

"イギリスのネオンは、戦争から完全に立ち直ることはなかった。戦争後の深刻なエネルギー不足は、ネオンの発展を著しく遅らせた。"

そんな、当時のエピソードがある。

B.T.ブッシュ氏は、この看板がある夜、空襲の最中に勝手に点灯し、"消灯を拒んだネオン "としてブライトン中に知られるようになったことを語っている。戦後10年経って再び点灯してみると、完璧に動作していた。消灯されたネオンサインは、イギリスにおける戦争と緊縮財政の象徴だった。戦後数年間は、国民の士気を高める方法として、祝祭日にネオンが点灯されることもあった。

Rudi Stern / Let There Be Neon
P84
B.T.ブッシュ(看板屋さん?)
出典 : Rudi Stern / Let There Be Neon


奇跡のネオン!ではあったけど、、
戦後10年間もネオンが点灯されることはなかった。祝祭日にのみ点灯される事もあったけど、緊縮財政のため滅多に点灯される事なく、そのまま衰退していったんだろうなぁ。



最後に、1970年代当時のネオンを取り巻く世界の状況について、ルディさんが書いたことをまとめた。

⚫︎ 活況を呈している日本を除けば、世界的にネオンの状況はかなり低迷している。
⚫︎ ネオンのデザイン革新はほとんど起きていない。
⚫︎ 一点もののネオン製作にかかるコストが高くなるという現実は、プラスチックの流行性とネオンの古さを強調するようにデザインされた販売プログラムに、さらに追い討ちをかけている。
⚫︎ ネオンに可能な創意工夫が実現しない限り、材料費も人件費も高くなり、商業的には耐えられない。
⚫︎ 建築用途やインテリア・デザインへの応用がほとんど知られていない。
⚫︎ 日本を除く国際的なネオン工芸の状況は、1950年代のアメリカと同じような低水準にある。

と、こんな感じ。
たくさんの箇所で、"日本を除いては"という言葉が出てくる。ちょうどバブルに向かっていた頃だから。ルディさんが来日した際、ちょっとした縁で、私の師匠はルディさんと一緒にお酒を飲んだと聞いた事がある。まだネオンが残ってる日本の街を見て、うれしく思ってくれたんじゃないかなぁ。

※ 引用部分については、Let There Be Neonさんのご厚意により、直接許可をいただいています。

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