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【映画感想】「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」ネタバレあり

前々から気にはなっていたのですが、観に行く可能性としては少し低くセッティングされていました。

というのも今の時期は他にも観たい作品がたくさん公開されていまして。「はたらく細胞」をはじめ「バイク・ライダーズ」や「クラブ・ゼロ」とか「ラブ・アクチュアリー」&「バグダッドカフェ」4Kも観たいし。サブスクなんかも入れるとキリがない。

そんな中、こちらの作品には大好きな天海さんが出ているけれど特殊メイクで豊満なおばあさんになってしまっていたので、どないなもんかなと思っていました。
しかも「はたらく細胞」の方のムビチケを購入済みなので、少ない休みを駆使していつ行くかなあと考えてたのですが、娘が学校ですごく面白いと友達から力説されたらしく、またしても熱意に絆され他を差し置いて観に行くこととなりました。

近頃は休日出勤したりで疲れも溜まっている感は否めなく、もしかしたら寝てしまうかもと思ったけどそれも杞憂でした。
監督は「リング」や「らせん」でお馴染み、中田秀夫監督。
エンドロールを見た際に知ったのですが妙に納得してしまいました。

ホラー要素も少しありつつ人間の業などが絡み合い、泣かせるところは繊細に涙腺を刺激してくる。決して押し付けがましくないけど共感性に重きを置いた作りで「仄暗い水の底から」あたりが監督の本懐なのではないかと感じました。身内や周りの人を大切にする太陽蟹座らしさがにじみ出ていると思います。

事前に予想していた明るいスラップスティックなものとは全く違って、絆や家族の愛を大切に描いた感動作でした。

【あらすじ】
大学を卒業し自身の母校である小学校へ着任した小太郎。父が亡くなったことで今まで住んでいた一軒家を手放し、母と妹と共に幼い頃に暮らしていた街へと戻ってきたのだ。
新たな生活に不安がありつつも子供達との触れ合いによって気持ちを奮い立たせる日々。そんな中、ある奇妙な噂を耳にする。
『そのお菓子を食べれば自分の望みをなんでも叶えてくれるという。そんな夢のようなお菓子を売ってくれる“銭天堂”という駄菓子屋が存在する』ーーー
その店まで辿り着けるのは選ばれた幸運な人物のみ。本来の望みを叶えるお菓子を食べてそこで得られた環境を生かしていくかは自分次第。選ばれた人々の未来はどうなるのか?

所詮子供向けだしと侮っていましたが、呼吸が乱れる程のいろんな感情が込み上げてきました。

主人公の小太郎がとにかく純粋で正義感が強くて、まっすぐなジャンプ系熱血キャラ。
大学の後輩の相田陽子とは友達以上恋人未満といった切ない関係で、好きが故に献身的に彼女を支えます。
雑誌社に編集として就職したのはいいものの、希望とは違うファッション雑誌に配属されてしまう相田。しかし周りと比べてセンスも実績もない彼女は案内役である黒猫・墨丸に導かれるまま、銭天堂へ。そこで自分に最も似合う服装がキラキラと輝いて見えるという菓子を購入。

始めは評判も良かったものの次々と新しいものへと手を出していくうちに、出費も嵩張っていき首が回らなくなる。
そんな時「銭天堂」のライバル的存在で、妬み嫉みなどの『悪意』を自分のエナジーとして集める「たたりめ堂」のよどみに誘われ、さらに強力な妖力を帯びた【強欲アンコ】という菓子を食べてしまう…

その後の展開がまさに中田監督の真骨頂という感じなのですが、痛々しくホラー全開で子供も怖がってしまいそうな程の迫力。でもそこまでのターゲットの心的描写が丁寧なので、苦痛も伝わるし見ていてこちらも辛いほどに肚の底が熱くなるのでした。伊原六花さんの演技力の賜物でもあります。

いやほんと出演者の演技力がみなさん軒並み高い。

小太郎の妹「まどか」もその銭天堂の客として選ばれます。彼女も美大に行きたいという夢があり、一時は描けていたはずなのにスランプに陥いるという苦悩を抱えていました。
一緒に美大受験を控えている友達の「百合子」とも劣等感からか次第に仲違いをするように。そんな時に出会った「銭天堂」。
まどかも極限の精神状態で以前より満足いく絵が描けないという苦痛、親友との関係が崩壊してしまうのではないかと疑心暗鬼になっていて自身が抱く嫉妬心に苛まれていました。

若さゆえの過ちによって親友の転落を願ってしまうという展開かと思いきや、まどかの願いは「そんなエゴやネガティブな感情をすべて消し去って欲しい」というものでした。
もうここで感情はピークに達しました…思い出しても今泣けてきます。

その後の展開ももう少し続き、小太郎の過去が明かされ、もうひと感動与えてくれます。
さざ波のように寄せてくる涙腺への攻撃に耐えられずもう涙が止まりません。

観客の心もかなり浄化されたのではないでしょうか。
シアターはそんなに大きくはなかったけれど場内は満員で老若男女問わず、全体を埋め尽くしていました。

そしてその成功の鍵の一つとして小太郎を演じたなにわ男子・大橋くんのキャスティングはピッタリだと感じました。彼は太陽獅子座なのですが獅子座って教師に向いていると云われます。
子供っぽいとよく揶揄されますが、だからこそ子供たちと同じ目線で向き合う事が出来るのだと感じます。これは彼らと接する時にすごく重要な項目です。

実際私の子供たちがお世話になっている担任の先生、二人ともが獅子座だと知った時はビックリしました笑

映画内でも大橋君が生徒たちに囲まれていっしょに話しているシーンは、とても楽しそうだなあというのも伝わってきました。

あと、罪悪感からか恋心を寄せていた陽子に「もう連絡しませんから安心してください」と申し出され、反論したいところを渋々飲み込みます。
そのあと職場の先輩と親し気に歩いているところに遭遇するのですが、その時に『ああ、もう変なお菓子は食べてないんだな』と彼女への気持ちを抱えたまま、幸せを願うようなシーンがもうたまりませんでした。
悲しみを携えつつ笑顔を見せる小太郎が健気でそこも切なすぎます。

たまにはこういう映画も見て心を浄化するのもいいもんだなあと、すっかり忘れてた純粋さを思い出させられました。

パンフレットを買うのも忘れたので、この感想を書くのも時間がかかりまくったし次に「はたらく細胞」を見に行った時に買いたいと思います。

その時の私忘れるなよー!笑


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