司法修習~司法修習前にやるべきたった一つのこと~
新シリーズということで,司法修習に関して,見るべきポイントや勉強の仕方などを書いていこうと思います。初回はまず合格発表後から修習開始までにやるべきことをお話しします。書類の提出については形式的なことですので割愛します。
さて,令和3年の司法試験の合格発表があった9月7日からずいぶん経ちましたね。
最近はTL上で修習の書類提出も終わって,オンライン修習に向けて友人作り用のアカウントが増えてきましたね。今年の2月にも見れて光景です。これは今後も継続するでしょうね。和光でやらなくても修習できてしまうわけですし,裁判のオンライン化の流れもあるので。それに移転費など費用節減になりそうですから。それの良しあしは別にしても。。
さて,修習が始まる前の合格して先が見えている今の時点の方にはぜひやっておいてほしいことがあります。それはずばり
遊んでください!!!
繰り返しますが
遊んでください!!!
というわけで以下,なぜ遊んでほしいのか?何をすればいいのか?など詳しく書いていきます。
1 今遊ぶべき理由
まず,今仕事をしていないのであれば自由身分のはずです。生活のために働かないといけないという方もいると思いますのでそうした方はなかなか遊んでいられないと思いますし,以下の理由にも納得してくれるはずです。ですので,対象となるのは現役生や浪人生などの専業受験生だけになってしまいますのであしからず
それでは本題です。そもそも,勉強しなくてもいいと思う理由は大きく二つです。
①今しかまとまった自由時間は今後取れない
②修習の勉強は白表紙と課題をこなせればなんとかなる
以上の2点からです。②については次のテーマと重なるので後述するとしてここでは①について深堀しようと思います。
さて,修習が12月から始まると,いかにコロナでオンラインといえど日々の課題が生じてそれに追われてしまいます。特に白表紙や課題が来てからは本格的に提出とかしないといけないので勉強が強制されます。一方で今の時点でそれらの課題はないわけですから,実質的に強制的に勉強する必要がないのです。受験生の方は2年~5年くらい,場合によってはもっと長い,それに加えて大学受験・高校受験からという方もいたらもっともっと長い,期間勉強しないといけないという状況に拘束されてきたはずです。司法試験の期間でさえ,周りの友人よりも多く勉強していたのは事実だと思います。まぁ勉強と学生生活をしっかり両立しているひともいたでしょうが。
それに加えて,修習が始まる(早くとらえれば課題などが来たら)と勉強しないと一応授業などについていけないですから勉強する必要性に迫られます。そうすると自然と勉強します。さらにそのあとも修習でなんだかんだ忙しくなるので休みはなかなかありません。その後,2回試験後は一応,1か月くらい休めますが修習生という身分はあるままなので,何かしら問題を起こすと面倒です(去年とかコロナのクラスターが~とか面倒なことになっていたようですし。)。
そして,働き始めてからは当然ですが休めません。基本的に法曹はまとまった休みを取りにくいです。弁護士なら原則的には自営業として業務委託になりますので働かないと収入がなくなります。検察官,裁判官は一応公務員ですから休みは弁護士よりもきっかりあるでしょうが,,(この辺りは実際に修習で見てください汗)。
さらに,働き始めて数年は仕事に慣れることや長期的なキャリア形成のために仕事量的にも多いです。そのうえ,結婚をはじめとするプライベートイベントも多いのでどうしても自由な時間がすくない,というかない,ような人が多いです。
ですので,まとまった時間がありかつ責任ない時期はこのタイミングしかありません。この時期にしかできないことがあるはずです。
残念なことにコロナのせいで海外旅行は事実上不可能ですし,国内旅行もまだまだはばかられる状況ではあります。それでも,いろいろな人と話す機会を設けるとか少人数で会うとかはワクチンを接種していれば行けるかもしれません。そうじゃなくても運動をするとか新しく趣味を作るとか,積んでいた本や我慢していたゲームをやるとか,いろいろとやれることはあるはずです。こうしたことは場合によっては仕事にも結び付くので人生の幅を広げるという意味でよいと思います。婚活は,今の身分だと微妙なので先の方がいいのかもしれませんが,逆に今の不安定な身分からというのがいいという人もいそうですが,,すみませんこの辺りは知見不足です汗
2 勉強をしなくてもいい理由
もし今の時点で勉強すると何をするのでしょうか?仮に修習に向けて打とすれば,要件事実の勉強?事実認定の勉強?民法刑法などの勉強?といった法律の勉強になると思います。これらの勉強をする教材は新問題研究要件事実をはじめ市販されていますし,いろいろと書籍の多いところですから勉強しようと思えばできます。しかし,今勉強すると目的が明確ではなく効率が悪いです。具体的に課題となる白表紙の類が来てからそれをどう処理するのか?という視点で勉強した方がするにしても効率的です。そのため,今,何かインプットしようとすると効率が悪いのでお勧めしません。
例外的に任官志望の方はどうにかして起案対策をしておく必要がありますのでその方々は勉強する必要がありますが。
じゃあほかの勉強,例えば,勉強したことない法分野だからと労働法とか倒産法とかを勉強するのはどうか?これは確かに実務についてからは事件処理という側面が強いため体系的な勉強はなかなかできません。加えて,各法分野の基本的な用語を知っているだけでも会話がスムーズにはなりますのでよいとも言えます。しかし,実際に労働の事件を見れるのかは人それぞれでしょうし,その時に勉強すればいいのです。むしろ,実際の仕事では特定分野の専門として集中的に案件をこなしている以外の場合は,新しい事案やケースに遭遇してそれを今ある既存の知識から推察しつつ,事件処理に必要な範囲で知識をつけていくことになることが大半です。その際にその法分野の大枠をつかむことはあるかもしれませんが,それがなくとも事件処理はできるはずです。要するにその案件の処理に必要な知識さえあれば十分なのです。そのため,そうした知識が何かをリサーチする,しかもある程度期限の決まった中で,能力を育てていった方がよいと個人的には考えています。もちろん,一定の分野しかやらない!と今から決めておりそのために勉強するのはいいかもしれません。もっとも,これも修習で広く色々見ることとは矛盾するのでどうかな?とも思いますが。
そもそも論として,司法試験に合格しているので,法科大学院ないし予備試験などを通じて「基礎的な素養はある」と国家公認で行ってもらっているわけです。それを前提に司法修習という研修を1年間する,しかもまずは導入修習で座学を中心に基礎的なことを色々教えてくれるのです。ですので今からわざわざ勉強しなくとも,課題をやり導入などを経て必要だけど不足している能力を身に着けていけばいいのです。むしろ,修習ではこれまでやっていなかった証拠からいかに事実を認定するのか?という点を勉強します。これはここまでの勉強ではほとんど(伝聞法則などを除いて)やっていない分野ですのでみんな同等の能力なわけです。その中で抜きんでるためにあえて勉強する必要があるのは本当に裁判官になりたい!と強く思う人だけだと思います。
ちなみに,他の資格を取りたいとか英語の勉強をしたいというのはここでは「遊び」の部類に入ると感がています。要するに,自分がやりたいからやるのであればそれは余暇であって「遊び」なわけです。必要に迫られてやることは避けろというのが趣旨です。ですから法学の研究がしたいとかそういう動機があるならべつですのでそこは区別してください。
まぁ要するに研修のための予習なんぞしなくてよいということです。副酒が大事なのは司法試験の勉強と同様です。
3 逆に遊んでられない人とは?
これは少数派ですが,すでに何度か出ているように,結構なレベルで裁判官・検察官になりたい!ようするに任官したい人です。どのように勉強をするのか?どういう勉強をする必要があるのか?どういう人が任官するのか?という情報収集は今から始めておかないと結構遅いです。むしろ書類の提出から選考は始まっているといえます。研修所は要するには裁判官と検察官のリクルート機関ですので,志望しているのであればそのために必要な対策をしないといけません。優秀すぎて向こうから声がかかるケースもありますが,それは一部例外でしょうし,自分がそうと考える自信家ならそもそも勉強しないでしょうし。。具体的な対策方法については私は任官したわけではないので何とも言えませんし,風のうわさくらいしか話せないので,興味のある方は個別で連絡ください。
また,そもそもお金がない!という人も遊んでいられませんね。私はこのパターンでした。これはもうバイトするしかないです(´;ω;`)
司法試験合格,しかも直近という身分だと合格者講義とか色々と試験関係の割のいい仕事があるはずです。それをやってもいいでしょうし,その経験を活かして副業的に講師を続けるとか法科大学院などでチューターなどをするのもありだと思います。
あえて,試験に関係ないようなバイトをしてもいいと思います。弁護士とかになると営利業務は届け出が必要ですから下手にコンビニバイトとかもできないので笑こういう経験もあるといいのではと個人的には思う次第です。まぁ金を稼がないといけないので仕方ないですが,,,今は金のかからない趣味も色々ありますからそれで我慢して,財をなしたら~とか思いますね。
4 どうしても勉強がしたい方向けにおススメの勉強など
それでもどうしても,修習が不安で勉強がしたい,他にやることが思いつかない!というのであれば修習対策の講義を取ったりしてもいいでしょうし,自身で要件事実などを勉強してもいいと思います。
もし私がやるならば民法の総復習ですね。特に家族法などは一応やるが試験的には出題が少ないので基本書など読んでいない人もいるはずですし,債権法改正後に出版された本などを読んでみるといいと思います。要するに基本中の基本の腰を据えて勉強しないといけない分野をやるということです。小手先の事実認定の勉強よりはこちらの方がよいと思います。実際仕事をしていくに際して民法の理解は超絶重要ですので。刑事法は刑事専門でもない限りあまりやらないでしょうからそこまではと思います。あと訴訟法の細かい手続きだったり場合によってはあえて今の時期に裁判傍聴したりとか?ですかね~
それか別の資格,特に語学の勉強は腰を据えて今やっておいても損はないでしょう。英語ができるとアクセスできる情報量は膨大に増えますし,企業法務系などでは転職でも無難に使えるのでいいと思います。
それに加えて将来のことを考えてお金の勉強をするといいと思います。税金や保険年金,資産運用などは自営業をやるに際しては必須の知識ですが,全然教えてくれない分野ですので。今はYouTubeでフリーランス向けのそうした話はごろごろ転がっているのでいいと思います。
老後の貯蓄とか投資とか早く始めるに越したことはありませんし。
5 最後に
以上長くなりましたが,修習予定者に送る今すべきことでした。私としてはとにかく遊んで,人生の幅を広げてほしいと思います。初戦といっては何ですが,法曹資格はあくまで一資格に過ぎません。やっぱり漁師がやりたいとか,パチプロやりたいとか,自分で事業をしたいとか,そういう風に思ったらいつでもやめていいのです。私自身は今のところ,弁護士業務自体は好きな分野(お金のあれこれ)でそこそこ楽しんでいますし,嫌な類型の事件はないので稼げる資格として使っています。そのうえで,司法試験指導など今後は受験指導やそれに伴う情報発信で飯を食えたらなぁと思ったり,最近では仲介業者,転職エージェントとか結婚の仲人とかやりたいなぁと思い構想しています。まぁ私の話はおいおいとして。
ですので,今はとにかく楽しんでください!!