【勉強方法】司法試験・予備試験での民事系の判例の学習の深さは??
今日はこの間のOLSのラジオで話したことを書こうと思います。そのため有料記事です。
民事系科目での、判例の使い方って非常に難しいです。
公法系と刑事系については、法典に条文が少ないため、判例法理を理解する必要があります。その理解の程度は、事案と判例の判旨を理論構造まで含めて多く理解する必要があります。
司法試験・予備試験の論文式試験の問題を見ても、判例ベースの問題が非常に多いです。ですから,司法試験・予備試験は判例の理解を顕著に求められているといえます。
一方の民事系,特に民法・商法ではどうなのか?というと,公法系や刑事系に比べると、判例の事案がそのまま問われることは少ない印象です。
むしろ条文を正確に適用できるか,判例の個々の事案ではなく判例が積み重ねてきた法理をどう適用するかに焦点が置かれています。ですので,判例の事案を深堀する学習よりも、条文の適用関係や蓄積された判例法理について勉強するほうが司法試験の勉強としては効率的ではないかと思います。
そもそも民法や商法(会社法)は条文の規律がしっかりしています。そのためほかの科目と比べて、明文のない部分を判例法理に頼る必要がないのだと思います。
もっとも、民法でも、物権法や不法行為法では判例の理解が必要になります。ですが、それでも、公法系や刑事系のように当該判例の事案まで深く理解している必要は少ないと思います。
むしろ,司法試験の勉強では,民事系の判例の生の事案にあたるのは効率が悪いと思います。なぜなら,民事系の場合、判例の事案は複雑怪奇で,司法試験に使える事情が少ないように思います。もちろん94条2項類推適用などの判例法理がしっかりしている部分では別ですし,事案ごと、ケースバイケースなのは間違いありません。
しかし,多くの判例が事案が複雑すぎて、一個一個分析することは時間的に厳しいと思います。会社法も同じくです。
そうした方がよい判例もないわけではないので、あくまで相対的なイメージです。
民事訴訟法も同じくそうです。しかし,民事訴訟法では,判例ベースの出題もあります。そのため、ある程度事案まで把握したうえで理論構造を理解しておく必要があります。民事訴訟法は、明文のない概念や抽象的な概念の説明部分はどうしても事案を使った説明があったほうが理解しやすいですし。
さて,民事系の判例の勉強方法をどうするのかといえば,私は百選などの判例集での勉強よりも,問題集などで勉強するほうがいいと思います。民法なら、ロープラクティスや民法演習サブノート210問などです。このような学習用教材の場合は、判例をベースにしつつ,複雑な事案の中で不要な事実関係を捨象してくれいることが多いです。
もっとも,複雑な生の事実関係を整理することは、少なくとも今の司法試験予備試験の合格に必要な勉強を超えています。もちろんそういう技術は、実際に仕事をしてから非常に重要になりますので,ある程度経験を積むのもありかなぁとも思います。
しかし,司法試験などとの関係では、やはり過剰であることは間違いありません。
そんな風に私は思っています。
いかに文章はありませんが、読んでなるほど!とおもったら、投げ銭してくれたらうれしいです!
よろしければサポートお願いします!いただいた費用は新規の基本書の購入,子供のものを買う,奨学金返済などなどに回していこうと思います!