KCに聴く曲5選
(K) King Crimson 的サウンドを (C) キャッチするときに聴く曲。あるいは、(K) King (C) Crimson の影響が感じられる曲。
今回の御題は、そのものズバリですね。クリムゾン・フリークのための企画です。後世に絶大な影響を与えた King Crimson ですが、多くの音楽リスナーが「初期クリムゾンっぽい」とか「ヌーボーメタル期のクリムゾンのギターだ」とか、当たり前のように比喩を用いるとき、リスナー同士のあいだには暗黙の了解があります。でも、これって、わからない人には皆目わからないですよね。そのあたりを少しでも可聴化共有できるように、ぼくの愛聴遍歴を深堀りしてみましょう。一聴するだけでニンマリしていただける、クリムゾン的サウンドの 5曲です。
☆Stand By☆
Title Stand By
Artist Heldon
Album 「Stand By」1979
Comment フランスのクリムゾン、というよりは Robert Fripp と言われたのが Richard Pinhas 。彼のバンドが Heldon です。フリパトロ二クス (Fripp のギター奏法) の良き理解者/伝達者でもありました。70年代風クリムゾンといえば、ぼくらは即 Heldon を思い浮かべました。
☆Ricochet☆
Title Ricochet
Artist Anekdoten
Album 「Gravity」2003
Comment 最初のメロトロン一音だけで「ポセイドンの目覚め」か「スターレス」が蘇った貴方、さすがフリークですね。クリムゾンのコピーバンドから出発した Anekdoten。90年代、Cast (メキシコ) とともにプログレ・オールドスクール伝承の仕事を周縁地域で続けたことは、もっと評価されて然るべきでしょう。エピゴーネン、といえば半ば悪い意味で捉えられますが、彼らのような存在が底辺を広げてくれたのです。
☆City Scene☆
Title City Scene (都市の情景)
Artist 美狂乱
Album 「Anthology Vol.1」2002
Comment 日本にもいました、クリムゾンのくりそつバンド。ジャパグレで和製クリムゾンといえば、誰もが美狂乱を挙げたものです。80年代、本家のほうはニューウェーブ転生を果たしたのちも、日本では70年代のKCサウンドを追随。本曲はデビュー盤未収録の「幻のライブ定番」です。
☆Trajectory Z☆
Title Trajectory Z
Artist Lost World Band
Album 「Trajectories」2001
Comment ロシアのプログレ Lost World Band。モスクワ音楽院卒のエリートたちが紡ぐ硬質なサウンドは、もう90年代クリムゾンの再来です。プログレッシャー間で絶賛された本デビュー盤は、太陽と戦慄/LTIA 2.5ぐらいに入れてあげたいほど。メタリックで鋭角なリフに痺れます。
☆Frenetico☆
Title Frenetico
Artist Platurno
Album 「Insane」2011
Comment チリ出身の Platurno。↑ の Anekdoten で述べたように、英米シーンから隔絶された周縁地域で引き継がれたKC原点サウンドが、ガラパゴス的な独自の進化を遂げた、その好例でしょう。ディシプリン期の三枚に入っていそうでしょ? Adrian Belew の面影が見えませんか?
まあ、今回は楽しかったですね。選に洩れたものが、軽く10曲はありましたよ。チェンバー系のフュージョンには、アイランド期クリムゾンを彷彿とさせるバンドがいくつもありまして、ええ。KC的な変拍子に着目するのも一興だろう、と考えましたが、それはまた別の御題/別記事で扱います。
それにしても、ここまでフォロワーを産み続けるサウンドって……。やはりクリムゾンは偉大ですね……。