PSに聴く曲5選
(P) プロポーズに (S) 失敗したときに聴く曲。あるいは、(P) プロポーズを断られて (S) 世界中を呪詛する曲。
誰にでもダークサイドはあるのでしょう。なにか因果が働いてそこへ堕ちるのではなく、魔が差したり自棄になったり、ちょっとしたタイミングで誰もが容易にダークサイドの住人になるのだと思います。では、想像してください、一生一度の大恋愛で意を決したプロポーズがダメだったときを。この世のすべてを呪いたくなるやり場のない憤りを。そんなときに最適な 5曲。海のバカ野郎~、と叫ぶのはまだ健全です。
☆Shadowplay☆
Title Shadowplay
Artist Joy Division
Album 「Unknown Pleasures」1979
Comment ポストパンクを代表する Joy Division のデビュー盤から。後のオルタナティブに多大な影響を及ぼした陰鬱・絶望・頽廃といったニュアンスが、投げやりで粗削りなサウンドに凝縮されています。翌1980年にはヴォーカル Ian Curtis が自死。そして名作「Closer」が遺されます。
☆Last Waltz☆
Title Last Waltz
Artist World's End Girlfriend
Album 「Last Waltz」2016
Comment 前田勝彦のソロ・ユニットが略称 WEG。2000年のデビュー時はポストロックやエレクトロニカの範疇で語られましたが、本質的には実験精神旺盛なコンポーザー。メタルからクラシック(現代音楽) までミックスのセンスは抜群です。もっと前衛的に逸脱してもいいぐらい。
☆Throne☆
Title Throne
Artist Bring Me The Horizon
Album 「That's The Spirit」2015
Comment 2004年デビューはワンオクと同期。当初はメタルコアの特徴が際立つも、メジャーになるにつれてオルタナ・ロックの本流へ (ニワトリが先かタマゴか先か)。本盤はぼく的に彼らの最高傑作です。腹の底から思いっきり叫びたくなる衝動そのもののサウンドをどうぞ。
☆For Auschwitz☆
Title For Auschwitz
Artist Worrytrain
Album 「Fog Dance, My Moth Kingdom」2007
Comment Joshua Neil Geissler のソロ・ユニット Worrytrain。シネマティックかつクラシカルな音像は、電子ノイズの洪水によって暴力的な破綻の美学に高められます。それが等価に扱われる点が唯一無二。ここまで落ち込むサウンドはなかなかありませんよ (アルバム視聴は要注意)。
☆Leaves☆
Title Leaves
Artist Library Tapes
Album 「Leaves」2023
Comment Library Tapes はスウェーデンのアンビエント&実験音楽プロジェクト。最新盤の本曲は、深い孤独感が危ういクラシカルな旋律とともに醸されています。デビュー以来かわらぬメランコリックな楽想は、他の IDMでは類を見ない暗さ/哀しさです。今年お薦めの一枚。
御題を省みながら、いまの若者はプロポーズなんてしないかも、ってことが頭をよぎります。そのずっと手前で、失望ないしは自己嫌悪の一端に触れてしまい、うまく自己の/他者との最大悲劇を回避するのでは、と。それならこんなふうに置き換えましょう。クソ暑い酷暑の昼間に外回りの営業で疲れ果て、やっとのことで冷房の効いた電車で人心地つけると思ったら、その電車が弱冷房で中途半端に生暖かいとき。殺意、の二文字が反射的に浮かぶ瞬間です (完全にぼくの体験談ですよね)。冒頭で述べたように、人は些細なことでダークサイドに落ちます、ってか。
それでは、また。
See you soon on note (on Spotify).