CTに聴く曲5選
(C) Classical music の名曲に (T) 包まれたいときに聴く曲。しかし内実は、(C) Classical music の出自を (T) 繋いだ他ジャンルの迷曲。
クラシック音楽をカバーしたりアレンジしたりして、みずからの楽曲に活かすアーティストは枚挙に暇がないですね。とくにプログレ系、メタル系のバンドには古くからそういった傾向が。いやいや、昨今の (北欧に代表される) ゴシック・メタル 、デス・メタル、 シンフォニック・メタルあたりの領域では、クラシック音楽のカバーそのものがひとつのステータス化しています。それはそれで決して嫌いではないのですが、なんというか、オリジナルとの乖離/偏差を楽しむという意味では、もはやシームレス過ぎるような気もします。
ないものねだりですね、はい。ところで、クラシックをアレンジして取りこむような流れはいつ頃から始まったのでしょうか。ぼくらの世代は反射的に ELP「展覧会の絵」Canarios「Ciclos : 四季」を思い浮かべますが、記憶の隅を突ついて抜粋してみましょう。では、5曲どうぞ。
☆A Question Of Honour☆
Title A Question Of Honour
Artist Sarah Brightman
Album 「Fly」1995
Comment すっかりクラシカル・クロスオーバーの大御所になった Sarah Brightman。ライブでは定番のエンディングですね。「La Luna」ライブは家族総出で観劇/感激しました。クラシックとポップスを歌い分ける呼吸法の違いを目の当たりにしました。
☆Toccata☆
Title Toccata
Artist Sky
Album 「Sky 2」1980
Comment このアルバムは N川くんのお薦めでよく聴きましたね。ギター兼リーダーの John Williams を、映画音楽のあのジョン・ウィリアムスと勘違いした人は多かったようです。シングルは全英 5位を獲得。元 Curved Air の Francis Monkman がキーボードです。
☆Vivaldi☆
Title Vivaldi
Artist Curved Air (Darryl Way)
Album 「Air Conditioning」1970
Comment 元 Curved Air つながり、Darryl Way もそうです。彼は下の Rick Van Der Linden のバンド Trace の名盤「鳥人王国」1975にも参加しています。当時のプログレ界における人物相関って意外と狭いですよね。ヴァイオリニストは特に少なくて。
☆Pathetique☆
Title Pathetique
Artist Trace
Album 「The White Ladies」1976
Comment Rick Van Der Linden は一貫してクラシック音楽をリワークする作品を発表。当時キーボーディスト Rick といえば Wakeman か Linden か、と言われたほどです。彼のバンドでは Trace 以前の Ekseption も有名です。ぼくの場合、クラシックの流用で真先に浮かぶのが Linden です。
☆Air On The G String☆
Title Air On The G String
Artist Jacques Loussier Trio
Album 「Air On A G String」1999
Comment あらゆるジャンルを取りこむのは、いわばジャズのお家芸です。対極に位置するクラシック音楽を逸早くインタープレイに落としこんだパイオニアの一人が、Jacques Loussier。1950年代からプレイ・バッハ・トリオと称される、卓越した演奏をどうぞ。言葉を失います。
5曲に絞りこんでいく過程で、次から次へと候補作が浮かびました。思いの外、現在ではクラシック音楽がごくフツーに他ジャンルに浸透しているなあ、という認識を新たにしました。で、途中からはぼく個人のおもいでを優先して、ほとんど Rick Van Der Linden を紹介したいがために今回の御題を遂行したようなものです。あっ、New Trolls の「コンチェルト・グロッソ」は入れないのか、というご指摘を受けそうですが、あれはクラシックの原曲をアレンジしたものではないので、今回の趣旨からは外れますね (別記事の「Bacalov 三部作」もどうぞ)。
というわけで、今回は Trace のプレイリストを添付します。Ekseption のナンバーも 2曲含まれています。
それでは、また。
See you soon on note (on Spotify).