見出し画像

ニトベ先生

「なにくそ、だぞ!」
「これから何があっても、なにくそ!と思ってやりなさい」

私の最も尊敬する柔道の先生、中学校3年間お世話になりました。この間、地元の新聞の写真でお見かけしたので思い出してしまいました。すっかりお痩せになり、でも優しい面影は変わっていませんでした。

運動音痴で体も小さかった私は、なにを思ったのか柔道部に入ってしまい、ご指導いただきました。

先生は、テント屋さんで、一つ下の学年の子のお父さんでした。夕方になると平日教えに来てくれて、試合のある休日は車を出したり、とにかく子供達のために、見返りもないのに尽くして下さいました。

先生が怒った記憶がありません。
いつもニコニコ笑っていました。他の学校は厳しい稽古で、負けたら円陣を組んで一人づつビンタをしていました。(the 昭和)
「俺はね、柔道を嫌いになってほしくないんだよ。今は勝ち負けにこだわる時ではない。」
と仰っていました。
実際に、私が負けても勝っても、勝敗に関して何も言われたことはありません。

先生はわざと私に投げられて、「お〜!俺は90キロあるんだぞ!担げるのか!Aは力があるなー!」とヨイショして、その気にさせるのが上手でした。
わざと投げられてくれたのを実は知ってはいたのだけど、嬉しかった。

その一方で努力ではどうにもならないこともあるという事も教えてくれました。
幾ら練習しても体がフニャフニャして、筋肉が付かない男の子がいました。
頭が固くて、脳筋な私は、練習やトレーニングが足りないからだと思っていました。
でも、先生は「いくらやっても、筋肉がつかない子もいるんだよ」と言って、その男の子を可愛がりました。変な意味ではなく。

高校に入って、ガリ勉にシフトチェンジした為、柔道はやめてしまいましたが、中学3年間が、人生の50年位に感じるんです。大切なもののほとんどを学んだ気がしています。
私が今生きてるのは、先生の大切な教えのおかげなんです。感謝しています。先生いつまでもお元気で!地元に帰った時、スーパーかどこかで会えたら良いな(^^)

死んでしまいたいと思うくらい辛い時、いつも聞こえてきます。

なにくそっ!

負けてたまるか!

死んでたまるか!

なにくそ!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?