人の努力が見えにくい時代を生きている
テクノロジーの発達により、誰もがインターネットを使うようになった。
特にSNSの進化は目まぐるしい。X,インスタ,TikTok,YouTubeは誰でも簡単に利用できる。大衆はもちろん、成功者も。
私はよくSNSで成功者の投稿を目にする。
机の上に積まれた札束、高層ビルを見下ろすほど高いタワーマンション、誰もが一度は乗ってみたいと思う高級車。どれも一度は手にしたいものだ。
そんなコンテンツが毎日毎日流れてくると次第に憧れは強くなり、自分も数年以内にはこんな生活を実現しようなんて目標を立てたりする。
それに最近よく目にする成功者は、自分の性格や強み/弱みを曝け出す印象がある。特に時間を守れないや組織に適合できない、努力をしなくても上手くいくことがよくあるなどが顕著だ。
たまに自分と似ている部分があって、その成功者と自分を重ねてしまう経験はないだろうか。私はその傾向がかなり強く、1ヶ月前まで自分のことを天才で、大して努力しなくても上手くいくと本気で思っていた。
私は愚かだった。
しかし、今はそう思っていない。
努力の必要性に気づけている。
私は先月に会社を辞めた。
起業するためだった。事業案や顧客はいない。
私は、他社員よりは仕事で成果を出すことができていたが、社会人特有の上司にペコペコしたり、気が合わない人と上手くやるスキルがあまりない。
このことに気づき悩んでいる時、SNSで成功者の動画が流れてきた。
その人は自分と同じ悩みを持っており、脱サラし起業して成功した。
本人曰く、昔から大した努力をせずに結果を出してきており、起業も言うほど苦労していないとよく動画内で言っていた。
この動画を機に、この成功者をよく見るようになり。
気づいたら自分をその人に重ね、もしかしたら自分みたいな資質を持つ人間は起業したら成功するのではないか。
しかも、大して努力する必要はないのではないか。自分には才能がある。
なんて思うようになっていた。
日に日にこの思いは強くなり、起業するために会社を辞めた。
起業といっても、まずは起業案を考えるところからだった。
約1週間ほど考えた。妄想レベルの案ならいくらでもでてくる。
しかし具体的に落とすことができない。
なぜなら、自分には事業立ち上げ経験やこれといったスキルがないからだ。
とても落胆した。
私は自分のことを天才だと思っていた。起業なんてSNSで見た成功者がいうように大して努力せずにできるなんて信じていた。現実はそう甘くはない。
起業とは、その領域のプロが行なっても上手くいくケースは少ないのに、自分みたいに経験もスキルもない奴がやろうとしても上手くいくわけない。
考えればわかるはずだ。
なぜ、こんなことに気づけなかったのだろう。
なぜ、簡単に起業して成功できると思ってしまったのだろう。
私には、結果や言葉の裏側を見る力が足りていなかった。
最近、成功者をSNSでよく見る。
こんなに多くの人が成功できているのなら、自分も簡単になれるのではないか。
しかし、成功者になろうとした人は何人いる?
この成功者は自分が見えないところで、どれほどの努力をしてきた?
どれほど辛い思いをしてきた?
おそらく、今の自分では想像もつかないほどだろう。
成功とは結果であり、結果には過程が存在する。
自分みたいな凡人が成功するには、正しいことや必要なことを1つ1つ積み上げていくしかない。人間に一発逆転の必殺技やプロアクションリプレイのような最高の結果だけを手に入れる方法なんて存在しない。
努力するから、結果が手に入るんだ。
才能や強みはあくまで努力にレバレッジを効かすもの。
努力することは避けられない。
事実と向き合え。
自分を天才だと信じ、失敗したおかげでこの事実に気づけた。
また明日から、起業に向けて1歩1歩、前に進もうと思う。