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オフコース全曲分析みたいなもの(?) 眠れぬ夜


楽曲について

個人的インプレッションみたいなもの

言わずと知れた初期〜中期オフコースの代表曲、初めてヒットチャートにランクイン(最高48位)したシングルであり、西城秀樹のカバーでも有名な曲です。

初めて聴いた時は、かなり軽快でコミカルなアレンジや、ちょっと投げやりな雰囲気のボーカルに、こんな曲も歌うんだと意外な感覚を覚えました。かなり辛辣な内容の歌詞も、むしろコミカル感を高めている感じで、一発で気に入ったのを覚えています。

基本スペックみたいなもの

シングル1975年12月20日リリース
『眠れぬ夜/昨日への手紙』A面収録
『ワインの匂い』A面3曲目に収録
『SELECTION 1973-78』B面1曲目に収録
NEXT SOUND TRACK』A面3曲目に収録

作者クレジットみたいなもの

小田和正/作詞・作曲
オフ・コース/編曲

参加ミュージシャンみたいなもの

小田和正 Lead Vocal, Chorus, Acoustic Piano, Hammond Organ, Synthesizer
鈴木康博 Vocal, Chorus, Acoustic Guitar
山口達也 Electric Guitar
三浦啓二 Electric Bass
山本博  Drums

曲の全体構成みたいなもの

イントロ → Aメロ1(たとえ君が目の前に〜) → A'メロ1(ぼくは君のところへ〜) → サビ1(愛にしばられて〜) → A''メロ1(愛のない毎日は〜) → 間奏 → Aメロ2(それでも今君が〜) → A'メロ2(君の横を通り抜け〜) → サビ2(眠れない夜と〜) → サビリフレイン(眠れない夜と〜) → フェイドアウト

リズムみたいなもの

BPM=120ちょっとぐらい。特別早いわけではないですが、この時期のオフコースとしてはけっこう軽快な感じです。

調みたいなもの

キーは全曲通してGメジャー、サビは強いて言えばEマイナーですが、わざわざ区別するようなレベルではないかと。その他の擬似転調的なものはありません。

歌詞みたいなもの

個人的インプレッションでも書いた通り、「振った」相手に容赦ない、なかなかに辛辣な内容の歌詞かと思われます。

「あれが愛の日々ならもういらない」とか「愛に縛られて動けなくなる」とか「愛のない毎日は自由な毎日」などから察するに、お相手はなかなかに束縛の強いタイプかと推測されます。

確かに気持ち的に冷めてしまった時に、ベタベタ束縛されると非常に煩わしいものですが、失ってしばらく経つとそれがちょっと恋しくなると…まさに後年「夏は冬にあこがれて冬は夏に帰りたい」と歌っている心境に近いものと思われます。

それが2番の歌詞に表れていて、「二度とは帰らない」とまで言っていたのが、「忘れかけてた愛がよみがえる」とまで言っているのですが、これは結構理解できます。ちょっと頭に血が昇っちゃうと、後先考えずに言ってしまって、後で冷静になるとちょっと後悔してみたり…その冷静になる瞬間が「眠れない夜と雨の日には」と言うことですね。

さて、この二人、その後ヨリを戻したのでしょうか?

各パート

リードボーカル(小田和正)

ダブリング処理されたボーカルです。もちろん適当に歌っているわけではないでしょうが、このボーカルがちょっと投げやりというか脱力して歌っている感じで、個人的にとっても好きです。

特に「暗い暗い暗い〜」の部分は個人的にお気に入りで、こう言ってはなんですが「可愛い」とまで思ってしまいます。

コーラス(小田和正/鈴木康博)

サビのハーモニーから入りますが、最初の「愛に縛られて〜」の所だけで、あとはずっとバックコーラスに終始しています。低域まで使った結構厚みのあるコーラスになっています。

間奏前のA''メロ後半「誰も僕を責めたり〜」のところから間奏につなぐ部分までは圧巻のコーラスワークになっています。

キーボード(小田和正)

ピアノのイントロは、4分打ちベース音が左手、シンセ譜割に合わせたコードプレイが右手かと思います。Aメロ(たとえ君が目の前に〜)からサビにかけては、アコギがうるさすぎてw あまり聞き取れません。おそらく小節頭に全音符でコードという流れかと。A''メロ(愛のない毎日は〜)と間奏の繋ぎのコーラス部分では、コーラスの譜割に合わせてコードを奏でています。

オルガンはA'メロ(ぼくは君のところへ〜)部分に「ピョッ、ピョ」という感じにボリューム小さめですが和音で入っていて、なんか可愛いですw

そしてあの印象深いイントロのシンセサイザーです。『ワインの匂い』のクレジットでは「Arp Synthesizer」とあるので、おそらくオデッセイですかね。いかにもこの時期に多用されたシンセらしい太めの音で、この曲のイメージを決定づけています。

イントロ以外にも、2番Aメロ部分(それでも今君が〜)で小さいボリュームながらオブリガートを入れていて、一部ではボーカルのメロディラインをなぞっています。この音、オルガンなのかシンセなのか迷ったのですが、おそらくシンセだろうとあたりをつけました。イントロに比べると細くて硬めの音です。

アコースティックギター(鈴木康博)

アコギは左右チャンネルに入っていますが、ミックスバランスが大きくて、ぶっちゃけうるさいので、ピアノやベースが聞き取りにくいですw

イントロから入りますが、ここはかなり高域を使っていてチャカチャカと8分音符を刻んでいます。締めのチャッチャッチャーという音は1弦2弦ともに15フレット、カッタウェイでないアコギではかなり弾きづらい音程です。

歌に入ってからの伴奏の主役はアコギです。ドラムスがきっちり4分打ちに徹している中、徹底して裏拍シンコペーションのアルペジオを奏でています。アルペジオと言っても単純なコード弾きではなく、巧みに経過音などを組み入れた、けっこう凝ったプレイです。左右ともに基本は同じプレイですが、結構ラフに弾いているのか、時々左右別の音になって和音として聞こえます。

このアルペジオは、サビでも若干ボリュームダウンしてそのまま続きますが、間奏ではなぜかぱったり止み、2番の歌が入るところでまたうるさく鳴り始めます。

サビのリフレイン部分では、つなぎにC→Bm→Am→Gという、8分音符3連単位の下降アルペジオが入っていますが、ここだけ擬似的に3拍子っぽいリズムになるのがめちゃかっこいいです。

エレクトリックギター(山口達也)

某T⚪︎KI⚪︎の辞めちゃった人とは別人ですw

ソロなどは無く、高音部の歯切れの良いリフに徹していて、この曲のコミカルな一面を彩っている感じです。

ごく軽い歪みと、これまたごく軽いワウがかかっている風に聞こえます。

エレクトリックベース(三浦啓二)

イントロの途中から入りますが、ここではきっちり4分打ち、ついでに途中コードがGからCmに変わってもベースはG音のままで、あえて単調な感じを演出していると思われます。

Aメロ(たとえ君が目の前に〜)に入ると意外と間延びした、2分音符中心のプレイです。他のパートが4分刻みやシンコペーションと忙しい中、あえてゆったりしたペースで変化をつけている感じです。

サビ(愛にしばられて〜)では8分音符でけっこう細かく動いてますが、しつこいようですがアコギがうるさくて、細かいところが聞き取りにくいです。

リフレイン(眠れない夜と〜)のあたりでは音域も広く使い、16分音符も織り交ぜてかなり盛り上がってますが、やはりアコギがうるさくて一部かき消されています。

ドラムス(山本博)

全編通してほぼ4分打ちに徹しています。特にバスドラは徹底した4分打ち、サビではスネアまで4分打ちになって、リズムのタイト感をひたすら支えています。

フィルインは派手なものは無いですが、スネアメインの流れるようなフレーズで、リズムの流れを途切れさせない堅実なプレイと言えるかと思います。

別バージョン

これほど有名な曲にも関わらず、公式にはこのスタジオバージョンしか存在しません。

スタジオライブバージョン(1976年1月31日・詳細不明)

小田和正 Lead Vocal, Electric Piano, (Synthesizer?)
鈴木康博 Vocal, Acoustic Guitar
(推定)

これは詳細がわからないのですが、ほぼ2人のみで演奏しているようです。ただ、シンセのフレーズが入っている部分でもピアノのバックが聞こえるので、シンセだけは別の人が弾いている可能性も。

いずれにしても2人だけでこれだけの演奏を聴かせるとは、驚きとしか言えません。

ボーカルは1番A’メロ(ぼくは君のところへ〜)と2番Aメロ(それでもいま君が〜)のみ小田のソロで、あとはサビも含めて鈴木とのユニゾンです。サビは最後のリフレイン部分だけハモりパートに分かれて、スタジオ版になかった「〜雨の日には」以降にもハモりが追加されています。

非公式ライブバージョン(1981年・会場不明)

小田和正  Lead Vocal, Chorus, Electric Piano
鈴木康博  Vocal, Chorus, Electric Guitar
松尾一彦  Chorus, Acoustic Guitar, Synthesizer
清水仁   Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums
(推定)

これはかなり後期(1981年)のライブバージョンですが、オリジナルアレンジに近い演奏になっています。

イントロ他のシンセは、同時にピアノのバックが入っているところや、その間アコギの音が入らないあたりから、松尾のプレイと推測されます。

ボーカルパートの割り振りは76年のものと同様です。コーラスは1番と間奏の繋ぎ部分のみ、清水と松尾が参加しています。

非公式ライブバージョン(1982年・会場不明)
(2024.10.14追記)

小田和正  Lead Vocal, Chorus, Electric Piano
鈴木康博  Vocal, Chorus, Electric Guitar
松尾一彦  Chorus, Synthesizer, Percussion 
清水仁   Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums

前に貼ってた動画が削除されてしまったので、改めて探して発見した、映像付きの貴重バージョンです。

おそらくoverツアー、武道館ですかね?

松尾はギターを持たず、シンセサイザーとタンバリンで、盛り上げ役に徹しています。松尾に限らず、みんな楽しそうに演奏しているのが印象的です。

締めみたいなもの

ということで、『SELECTION 1973-78』収録曲も折り返し、B面に突入しました。B面も名曲揃い、そして検証しがいのある曲ばかりで、かなり苦労させられそうです。

まあ無理はしない主義なので、ペースは落ちるかと思われますが、着実に上げていこうと思いますので、どうぞ生暖かい目で見守っていただければと。

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