オフコース全曲分析みたいなもの(?) 愛を止めないで
楽曲について
個人的インプレッションみたいなもの
オフコースに少なからず興味のある方なら説明不要の名曲、そしてこの曲よりもヒットした曲はたくさんあるのに、代表曲として必ず筆頭に上がる名作中の名作です。
私にとってもオフコースとの「出会い」の曲で、つけっぱなしにしていたラジオの深夜放送でたまたま聴いたことで衝撃を受け、その後のオフコースフリークへの道を歩ませるきっかけになった、絶対に忘れることのできない作品です。
ちなみにリリース当時のオリコン順位は31位でしたが、その後3回も再発されています。またApple Musicでは唯一、シングルとしてアップされているというあたりからも、この曲がいかに愛されているかが読み取れます。
実際にブレイクした時のシングルは『さよなら』ですが、この曲がきっかけでオフコースを知った、あるいはファンになったという方は意外に多く、ブレイクするためのステップとなった曲と言っても過言ではないかと思います。
また、この曲から目に見えてサウンドがハードになり、ソロ以外のギターも歪みの強い音が使われています。ただ『Three and Two』収録バージョンはシングルと同じミックスのようで、同アルバム収録の他の曲に比べ、ドラムスやベースの音量はやや控えめになっています。
基本スペックみたいなもの
シングル1979年1月20日リリース
『愛を止めないで/美しい思い出に』A面
『Three and Two』A面5曲目に収録
『LØIVE』A面1曲目、D面3曲目に収録(ライブバージョン)
『SELECTION 1978-81』A面3曲目に収録(リミックスバージョン)
『Off Course 1982・6・30 武道館コンサート40th Anniversary』DISC:2、5曲目に収録(ライブバージョン)
流石に代表曲ということで、後年発売されたベスト盤やライブ版、さらにはコンピレーション版などにもほとんど収録されています。
作者クレジットみたいなもの
小田和正/作詞・作曲
オフコース/編曲
参加ミュージシャンみたいなもの
小田和正 Lead Vocal, Chorus, Acoustic Piano, Hammond Organ
鈴木康博 Chorus, Electric Guitar
松尾一彦 Chorus, Electric Guitar
清水仁 Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums, Percussion
(曲別のクレジットはないためパートは推測)
曲の全体構成みたいなもの
オルガン全音符のイントロ(C) → Aメロ1(やさしくしないで〜) → A’メロ1(ぼくが君の心の〜) → サビ1(愛を止めないで〜) → 間奏a → Aメロ2(君の人生が〜) → A’’メロ2(なだらかな明日への〜) → サビ2(愛を止めないで〜) → 間奏b(Dに転調) → サビのリフレイン2回(愛を止めないで〜) → A’’’メロ3(ぼくの人生が〜)
オルガンの全音符のあと、ピアノのみの伴奏で静かに歌い出し、その後ギターのアルペジオが重なり、サビ手前でベースとドラムが重なる、王道的な盛り上げスタイルになっています。
2番ではA’’メロ部分のサビへの繋ぎが、1番に比べて2小節短くなっています。1番と2番でサビへの繋ぎの長さが違うのはオフコースではよくある手法で、このアルバムでも『思いのままに』が、逆に2番が長いタイプですが該当します。
中盤以降は2番サビのあと転調して間奏2、さらにはリフレインではハードなギターサウンドと分厚いコーラスで、これでもかと盛り上げたあと、再びピアノのみで静かに歌い、最後の最後は思わせぶりな余韻を残して終了と、とてつもなくエモいw構成になっています。
リズムみたいなもの
テンポはBPM=112ぐらいの8ビート。思ったよりゆっくりな感じです。
調みたいなもの
出だしはCメジャーですが、2番終了後に全音上がってDメジャーに転調します。ここでの転調は本来ならCに繋がるDm7onGを2小節鳴らして期待させたあと、いきなりDコードに繋がるので、かなりの唐突感があります。
全般に複雑なコードは使われていませんが、Aメロ部分ではベース音の下降進行が多用されています。
まず「新しい別れを〜」の部分では2拍ごとにベース音がC→B→A→Gと下がり、さらにはA’メロ1の「君の心がそっと〜」の部分では1拍ごとにC→B→A→G→F→E→D→Cと、まさにドシラソファミレドと一周する怒涛の下降になります。この部分で順番に楽器が重なっていくこともあって、サビへの期待が否応なしに高まります。
歌詞みたいなもの
おそらく前の恋人と別れてから日が浅く、まだ傷心を引きずっている女性と、その女性に懸命のアプローチを続ける男性、という二人が登場人物になります。
『ワインの匂い』と近い関係性ですが、あちらは結局女性の傷心を癒しきれず、結ばれることはなかったのに対して、こちらはグイグイくる男性に対して、女性も少しずつなびき始めているという状況です。
冒頭の「〜やさしくしないで」は相手の女性のセリフで、小田の歌詞にはよく登場するギミックです。こんなにも頑なだった女性ですが、やがて「〜そのひとつがまっすぐにぼくの方へ」となるぐらい近づいていきます。
小田の歌詞には鬼畜な内容のものがままありますが、この曲での男性は一切そういう側面はなく、大変真っ直ぐで真摯な、好感の持てる男だと感じます。
この歌詞は小田の作品にありがちな、具体的な描写のない、極めて抽象的、かつ心情的なやり取りのみで構成されていますが、意味不明な部分は全くなく、大変すんなりと沁みてきます。
この歌詞の一番好きな部分はありきたりですが、2番頭とエンディングで対になっている「君(ぼく)の人生がふたつに分かれてる〜」の部分で、特にエンディングで最後まで歌わずに、思わせぶりに締めるのがたまりません。
それだけに一部のライブバージョンで「〜君の方へ」と付け足されているのは、何とも蛇足という感じです。
そういえばこの歌詞の「〜いきなり君を抱きしめよう」の部分が、ファンの間で物議を醸したという話が伝わってますが、私の周りでは特にそんな話はなく、特にいやらしさも感じなかったのですが、当時のコアファンはそんなにピュアだったのでしょうか?
ともあれ楽曲としてももちろん素晴らしいのですが、歌詞だけ拾ってみても、小田曲ではトップクラスに好きな内容です。
各パート
リードボーカル(小田和正)
ピアノの伴奏のみで静かに歌い始めます。ダブリングなどの加工はなく、ナチュラルな感じの歌声になっています。これがサビ手前の「君の心がそっと〜」の部分からダブリングがかかり、サビへの期待感を高めています。
『FAIRWAY』の時に比べるとハリのある感じですが、『We are』以降の硬質的な感じはなく、テーマ部分の柔らかさとサビ部分の張り上げ感が、ちょうど良いバランスになっていると思います。
2番のA’’メロ2(坂道をかけ登って〜)とサビの繋ぎ部分は1番より2小節少なく、「いきなり君を抱きしめよう〜」の余韻を引っ張ったまま「愛を止めないで〜」と重なるので、ここはオーバーダブ状態になっています。
個人的にはこの曲の最高音である「素直に涙も〜」のシャウト部分と、そのあとの「僕の人生が〜」の優しい歌い方との対照的な部分が気に入っています。
コーラス(小田和正/鈴木康博/清水仁/松尾一彦)
コーラスはサビ部分のハーモニーパートと、間奏1の終盤に入るスキャット部分です。
ハーモニーパートは3声のようですが、ところどころ2声にも聴こえます。主に主旋律の下支えが1、主旋律と同域ないし上が1、高域が1という感じですが、主旋律の上下動が大きいので、重なり順は1音ごとに大きく変化しています。
1番でいうところの「甘い夜は〜」の部分以外、サビ全般に入っています。これがリフレインの最後では「すべてその手に〜」の部分にも続けて入っていて、最後の最後に盛り上げる効果になっています。
間奏1の最後では小田の低めのスキャットに、追っかけで鈴木のファルセットのスキャットが重なりますが、このバックにも2声と思しきコーラスが重なっています。このコーラス、なぜか単音で2番Aメロ2(君の人生が〜)の頭2拍ぐらいまでという、何とも中途半端な余韻が残っています。これ意図してやったとすれば面白い効果というか、なんとも粋な小技です。
2番サビから間奏2に繋がる部分にも、コーラスの余韻に重なって、同様のファルセットのスキャットが入っています。こちらも鈴木ではないかと推測します。
キーボード(小田和正)
全体通してのアコースティックピアノと、イントロのハモンドオルガンまたはシンセサイザーになります。ちなみに『Three and Two』では、この曲以外ではアコースティックピアノは使用されていません。
他のアルバム収録曲とはレコーディング時期がずれているので、もしかするとタイミングによってはCP-80が使われていたかも。ライブなどではCP-80で演奏されていますが、やはりこの曲はアコースティックピアノがしっくり来ます。
出だしからピアノアルペジオのみの演奏ですが、最初の部分はかなり高めの音域で、2拍目ウラがシンコペーションしている流麗なアルペジオです。これが「〜新しい別れを」の部分からは、ベース音下降の強調の意味合いもあってか、音域が下がります。
ここで下がった音程はその後も上がることなく、その後のA’メロ(君の人生が〜)や2番、エンディングのアルペジオでもやや低めの音域になっています。
サビからはコードプレイになりますが、コーラスやギターに紛れて聴き取りにくいです。かろうじて聴き取れる部分では、1拍表、2拍ウラ、3拍ウラのブロックコード弾きのようです。このリズムはベースやバスドラと同じ譜割りで、シンコペーションのリズムが軽快感を与えて、爽やかさを強調しています。
歌の前のイントロ(?)にあたる部分は、持続音系の音がフェードインしてきます。ここの音は一般にはシンセサイザーと言われていますが、私はハモンドオルガンの音のような気がします。
この音はCメジャーのいわゆる基音、つまり「ド」の音の単音ですが、単音ではなくオクターブで重なっているように聴こえます。単音をフェルマータで引っ張るだけという非常に簡素なアレンジではありますが、このあと即、歌が始まる流れは非常に印象的で、それだけにこれをカットしてしまった『SELECTION 1978-81』バージョンは、どうしても一段落ちの印象になります。
エレクトリックギター(鈴木康博/松尾一彦)
リズムギターはA’メロ(僕が君の心の〜)から、左右のチャンネルにアルペジオで入ってきます。左右ほぼ同じようなプレイですが、部分的に違いが見えるので、おそらく鈴木と松尾でそれぞれ弾いていると思われます。どっちが誰かはわかりません。
シングルコイルのリアピックアップらしき固めの音で、軽めの歪みがかかっているようです。プレイ内容は開放弦を多用したローコード中心で、どちらかと言うとアコースティックギターのプレイに近いと言えるかと。ピアノの音域もこれに近いので、比較的低音域でギターとピアノがせめぎ合っている感じです。
「君の心がそっと〜」のあたりから歪みが強くなり、単音でドシラソファミレドを弾いて、ガーンとストロークになります。ここのサビ前部分ではピックスクラッチのギュイーンという音も交えて、非常にハードなイメージの繋ぎになっています。また、センターにも1本、ハード目のストロークプレイが追加されているようにも聴こえます。
サビからはストロークとアルペジオを織り交ぜたプレイですが、相変わらずローコード中心の低域プレイなので、非常に重い音になっています。これ以前のオフコースでは、このようなアルペジオ主体のプレイであまり歪みをかけることはなかったので、やはり意図的にハードな方向を意識したと思われます。
間奏2からリフレインの繋ぎにもピックスクラッチが入っていて、ツインリードの響きと相まって、大変派手に終盤への盛り上げを担っています。この音は『SELECTION 1978-81』バージョンではかなり大きめにミックスされていて、より派手でハードになっています。
リードギターは2回の間奏とリフレインの終わりで聴けます。ライブバージョンなどから推測するに、いずれも鈴木のプレイのようです。
間奏1では低域中心で、音域もあまり広く使わない抑えめなフレーズになっています。音質は固めの分厚い音で、おそらくハムバッカーのリアピックアップ、歪みはそこそこ強めで、もしかするとコーラスエフェクトも軽くかかっているかもです。
これに対して間奏2ではかなり幅広い音域を使い、途中からはツインギターでの和音プレイになります。下のパートも、おそらく鈴木がオーバーダビングしているものと思われます。
この間奏部分からDメジャーへの転調になりますが、バックがCメジャーへの繋ぎコード(Dm7onG)を鳴らしている中、リードギターだけが1拍半前乗りでDメジャーでのフレーズを鳴らすことで、場面転換への期待感を高める良い効果になっていると思います。
リフレイン終了(抱えたままで〜)からA’’’メロ(ぼくの人生が〜)への繋ぎ部分に、バイオリン奏法のような高音域のリードフレーズが重なっています。この音ですが、実は昔から音の途切れ方の不自然さにずっと違和感を感じていました。立ち上がりは柔らかなのに、途切れる時はノイズ混じりでブツッと切れる。なんとも「らしくない」プレイだなと。
今回の記事のために聴き込んで思い至ったのが、このフレーズ、逆再生で録音したのではないかとの推測です。ギターのような撥弦楽器は、弦を弾いた瞬間が一番音量が高く、その後じわじわ減衰していきますが、これを逆再生するとじわじわ音が立ち上がって、音量が上がりきったところでブツッと切れます。ここはまさにその特徴まんまの音かと思います。
逆再生はビートルズも多用したギミックですが、そう言えば「I’m Only Sleeping」に入っているギターが、こんな感じにフワッと立ち上がって、ブッツリ途切れる音だったなあと。まあ合ってるかどうか分かりませんが、こんな説もあると聞き流していただければと。
エレクトリックベース(清水仁)
この曲でのベースは非常にストイックなプレイで、フィルインなどはほとんど入れず、リズムの下支えと変化を担う、本来の「ベース」のプレイに徹している感じです。
序盤は入らず、1番A’メロ1の下降進行部分(君の心がそっと〜)の後半、ファミレドのところからドラムとともに加わります。
このあとは1拍表(ルート)/2拍ウラ(4度下)/3拍ウラ(ルート)の、ピアノやバスドラとシンクロしたパターンが基本で、部分的に4拍目に音を入れたり、2拍ウラの音程を変えたりする他は、節の繋ぎ以外は間奏も含めこのパターンで一貫しています。
2番は頭から入りますが、Aメロ2(君の人生が〜)ではコード頭のみの単音弾きで溜めたあと、A’’’メロ2(なだらかな明日への〜)からサビと同じパターンになります。これによって同じ展開の節の中でも、どこか停滞したようなリズムから、流れるようなリズムに変化して、大きく変化を付ける役割を担っています。
ドラムス/パーカッション(大間ジロー)
ベースと同じくファミレドのタイミングから入ってきますが、助走なしのいきなりフルパワーという感じで飛ばしてきます。
1番サビのパターンはベースとシンクロした、1拍表、2拍ウラ、3拍ウラのバスドラと、8分打ちのハイハット、2拍、4拍のスネアになります。
これが間奏に入るとハイハットがライドに代わりますが、それ以外にもシンバル系が非常に頻繁に鳴らされ、フィルインもそこそこ入っているので、かなり派手なイメージのプレイです。
2番のAメロ2(君の人生が〜)ではコード頭のみのバスドラと、8分打ちハイハット、2拍4拍のアクセントはリムショットのパターンですが、A’’’メロ2(なだらかな明日への〜)になるとバスドラが1拍表、2拍ウラ、3拍ウラのシンコペーションパターンになって、徹底したベースとのシンクロになっています。
なおリムショットは基本2拍4拍ですが、A’’’メロ2(なだらかな明日への〜)の頭1小節だけ3拍目にも入っています。これは意図してなのか、その前のフィルインが連打だったので、そのまま引きずって打ってしまったのか不明ですが、その後のリミックスなどでも編集されず残っているので、おそらく意図してのものと解釈します。
2番サビでは1番と同様のパターンですが、ハイハットがライドに代わっています。以降、間奏2、リフレインでもこのパターンで進みますが、フィルインが頻繁に、かつどんどん派手に入ってきて、終盤はなかなか派手なプレイになります。
パーカッションは1箇所のみ、それも最後の最後で、歌が終わったあとのピアノに被せるようにウィンドチャイムが鳴らされています。この音も『SELECTION 1978-81』バージョンではカットされていて、イントロのオルガンカットと合わせて残念に思う部分です。
別バージョン
『SELECTION 1978-81』リミックスバージョン
小田和正 Lead Vocal, Chorus, Acoustic Piano
鈴木康博 Chorus, Electric Guitar
松尾一彦 Chorus, Electric Guitar
清水仁 Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums
(パートは推測)
いわゆる「ビル・シュネー・ミックス」と呼ばれるバージョンで、元音源はほぼ同じにも関わらず、かなり別物に仕上がっているバージョンです。
このバージョンはファンの間でもかなり評価が高いのですが、前述のようにイントロのオルガンや、エンディングのウィンドチャイムがカットされていたりと、個人的には手放しでは評価出来ないところがあります。
ミックスバランスや定位、エコーのかかり具合など相違点は多いのですが、最大の違いがコーラスの差し替えです。明らかに違う部分が1番サビで、「甘い夜は〜」の部分に、オリジナルになかったバックコーラスが追加されています。
またハーモニーパートもリードボーカルと同じ長さで引っ張っていたものが長くなって、リードボーカルが途切れたあとも残っています。あと細かい部分ですが、逆に2番頭に、余韻のように引っ張っていた単音コーラスはなくなっています。
コーラス自体の声も違っていて、おそらくオリジナルバージョンは小田と鈴木のみ、差し替えには清水と松尾も加わっているようで、清水は聴き分けられませんでしたが、松尾らしき声は下のパートにわずかながら聴き取れます。
ミックスバランスは目に見えてドラムが大きくなり、特にシンバル系の音が強調されているので、かなり派手になっています。反面ギターはやや抑えめですが、節の繋ぎ部分のスクラッチ音などは強調されていて、こちらも派手な印象を高めています。
ボーカルをはじめとしたエコーリバーブ効果は抑えめのため、各楽器の粒立ちは良く、非常にクリアに聴こえます。一方で左右目一杯に振られていたギターは、センター寄りにシフトされていて、その分重い塊になって聴こえます。
サウンドとして評価するなら、確かに「良い音」になっているのは否定できません。ですがやはりイントロやエンディングのカットが痛い…このカットはおそらく、硬質なサウンドに作り変えるにあたって、情緒的過ぎる部分を排除したかったのではと推測します。とはいえ返す返すも惜しい…
『LØIVE』ライブバージョン(1980年2月5日・新宿厚生年金会館)
小田和正 Lead Vocal, Chorus, Electric Piano, Synthesizer
鈴木康博 Chorus, Electric Guitar
松尾一彦 Chorus, Electric Guitar
清水仁 Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums, Percussion
(パートは推測)
2枚組ライブアルバムの、1曲目とラスト2に収録されていますが、ラスト曲は『僕の贈りもの』のスペリオパイプバージョン、つまりエピローグないしオマケみたいなものなので、実質最初と最後を飾っています。それだけ当時、重要なポジションの曲だったということが窺い知れます。
最初のバージョンはこちらもプロローグみたいなもので、小田の長めのピアノソロのあと、リフレイン部分からエンディングまでが演奏されます。ただしフルバージョンと違って、キーはCメジャーと本来より全音低いので、ちょっと違和感があります。
ラス前の方は普通にフルバージョン演奏されますが、エンディング部分に「君の方へ〜」と付け足され、もう一度リフレインを演奏、そのあと鈴木のハードなギターソロのアウトロへと続き、派手にエンディングとなります。
小田はエレピの弾き語りからスタートしますが、間奏1ではシンセパッドの白玉プレイに移行します。2番からはまたエレピに戻り、間奏2の前半まで弾きますが、後半のツインギターになるあたりから再びシンセ白玉になります。そしてリフレインまで続けたあと、本来のエンディング部分でエレピ弾き語りに戻り、追加リフレインからまたシンセで最後までと、なかなかに忙しいです。
間奏2のギターはほとんど鈴木のソロで、後半部分だけ松尾が入ってきますが、すぐにソロに戻ります。ギターが2本しかないので、松尾はドシラソファミレドを弾く必要に駆られてのパート割りかと思われます。
歌詞のところでも書いたように、私はこの「君の方へ〜」の追加がどうにも苦手です。よってこのバージョンは正直あまり好きではありません。おそらくコンサートのクライマックスに演奏されたであろう曲なので、盛り上げるためにリフレインの追加が必要だったのだと思いますが、ちょっと安直なアレンジだったという気がします。
『Off Course 1982・6・30 武道館コンサート40th Anniversary』ライブバージョン(1982年6月30日・日本武道館)
小田和正 Lead Vocal, Chorus, Electric Piano, Synthesizer
鈴木康博 Chorus, Electric Guitar
松尾一彦 Chorus, Electric Guitar
清水仁 Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums
こちらは鈴木脱退直前の武道館ライブのもので、短い前奏曲的なものが入っています。それ以外はほぼ『LØIVE』バージョンに準じていますが、私が苦手な「君の方へ〜」の追加がなく、オリジナル通りに一旦終了したあとで改めてリフレインを入れています。やはり評判が悪くて変更したのでしょうか?
アウトロの鈴木のソロは、アドリブと思いきや『LØIVE』バージョンとほぼ同じで、ライブでもキチンと書き譜で演奏しているのがわかります。ただエンディング部分は多分アドリブで、『LØIVE』バージョンより派手に速弾きを入れています。松尾のギターも鳴っていますが、こちらはもっと派手で、ライトハンドでの速弾きなど、やはりロック畑だなと感じさせるプレイが聴けます。
ライブバージョン(NHK「若い広場」オフコースの世界・1981年2月10日・日本武道館)
小田和正 Lead Vocal, Chorus, Electric Piano, Synthesizer
鈴木康博 Chorus, Electric Guitar
松尾一彦 Chorus, Electric Guitar
清水仁 Chorus, Electric Bass
大間ジロー Drums
「We are」ツアー最終日の日本武道館ライブで、後にNHKテレビで放送されたものです。私はこの放送は再放送含め2回見ましたが、録画はしていません。というか、そもそも当時、家にビデオがなかったので録りようがなかったのです…
アレンジは最後の武道館バージョンとほぼ同じで、一旦終了後に再びリフレインが始まるスタイルです。
ここで小田が弾いているキーボードに「Roland」のロゴがありますが、調べてみると「RS-09」という機種だそうで、シンセサイザーというより、ストリングス系の音を出すのに特化したキーボードだそうです。
締めみたいなもの
ということで、予想通り過去最大ボリューム、ついに1万字超えの内容になりました。まあある意味最も思い入れの強い曲だから仕方ないといえば仕方ないのですが、このボリュームが続くと更新ペースがままならなくなるなと、密かに震えていますw
少し抑えようと思いつつも、次は「SAVE THE LOVE」という、物理的にボリュームのある長尺曲なので、やはりボリュームを減らすのは難しそうですw
まあだからといって、手を抜くのは性に合わないので、遅いペースにはなりますが、懲りずにお付き合いいただけると嬉しいです。