物語が完結すること
夏になると必ず思い出すことがある。
それは「サマータイムレコードが嫌いだった」ことだ。
サマータイムレコード。
じん(自然の敵P)さんのボーカロイド楽曲。
私と同世代か少し上くらいのアニメ・漫画(またはインターネット)好きなら誰もが通ったのではないかと思うカゲロウプロジェクトの曲。
ちなみに、高校生の頃に一緒にいたオタク友達は全員通っていた。同世代ならば黒歴史として闇に葬り去りたいレベルの思い出を持っている人もいるかもしれない。そのくらいの著名な作品。
その最後のエピローグを飾る曲。
それが、サマータイムレコードだった。
さわやかな夏の終わりが表現された曲。
8月の終わりごろになると毎年のように聞きたくなる。そのくらいには好きな曲だ。
ならば、なぜ嫌いだったのか?
答えは簡単だ。
終わりの曲だから。
私が初めてアニメイトに行って買ったのはこの作品に登場するキャラクターのグッズだった。黒地に青いキャラクターがのったクリアファイル。今でも覚えている。
つまり、私の中のアニメ好き、二次元好きの原点とも言える作品だったのだ。
その前にも好きだったアニメはあったけれど、それは家族で見ていたもので、最初に見始めたのだって母が先ということが多々あった。
私が初めて選んで、好きになって、ずぶずぶと沼にハマった。
そんな原点が、始まりが終わることを告げる曲。
曲はとてつもなく好きなのに、けれども嫌いで聞きたくなかった。中学生の私には、物語が終わることを受け入れられなかったのである。
それより成長した高校生の頃。
久々にサマータイムレコードを聞いて、やっぱり好きだなって思って。それからはちゃんと聞けるようになった。
終わりを受け入れられるようになったのだろう。少しの成長だと思う。
さて、終わりと言えば。
8/5(月)発売の週刊少年ジャンプで『僕のヒーローアカデミア』が完結した。
10年という長期連載に幕を閉じた。
普段は本誌を買うことはなく、単行本が出るまで待つタイプだ。だって気になるけれど、金銭的に安定しない私では毎週毎週買い続けるのはしんどい。買ったジャンプをどうやって処分するかも頭を悩ませることになる。
だが、今回においては話が違う。ネタバレが流れて来る前に購入した。最終話だけ。
ネタバレになるから、詳しくは触れない。けれど、とても素敵な最後だと思った。綺麗な終わり方だ。
一部気になるところがないわけではないけれど、なくてもいい。妄想で私たちが勝手に想像する。それで良い気もする。分からない方が楽しいというのもあるじゃないか。
僕のヒーローアカデミアはアニメ1期から視聴し続けていた作品だ。
2期、3期と続くにつれて原作を買うことも考えた。けれど、その度に重なっていく巻数をみて、お財布を見て。お小遣いでは別のものを買っている。なかなかしんどい。だから「アニメだけは絶対に観よう」と決めてここまで来た。
気づいたら全巻、一人暮らしの本棚に収まっている。い、意味がわからないよ…!!
個人的に好きなのは荼毘(轟燈矢)です。というか轟燈矢(幼少期)が好きです。そこら辺の話はいつか。
割と長く見続けていた作品が終わる。
しんみりする。喜びと寂しさが混ざったような感情に襲われる。
これが物語が終わるということ。
昔は受け入れられず、拒絶した。
けれど、今はそうではない。それはそれで、喜ぶべきことで、寂しさを持ち続けたままでもそれは一時的なものだと思うようになった。
思い出して、やっぱり好きなままでいる。そういうくらいの距離感で受け入れられるようになったのである。
多分、Fateシリーズと出会ってから学んだことなのだと思う。別れの辛さと寂しさはあるけれど、きっとまた次がある。終わりじゃなくて、何かしらの形で続いていく。
別れのつらさを教えてくれたのがカゲロウプロジェクトなら、別れの良さを教えてくれたのがFateシリーズまたは型月か。
そんなFateシリーズのソーシャルゲーム FGOも来年で終章を迎えるらしい。
ああ、来てしまった。来るだろうくるだろうと思い続けていた。
FGOは続いても、今のカルデアも藤丸立香の物語も二部で終わる。
FGOライターの皆さんに全面的な信頼を置いている身としては、きっと大丈夫だと思っている。どんなに辛くてしんどくて、泣き出してしまいそうな物語だったとしても、最後は最大限の喜びとしんみりとした感情の混ざったラストを飾ってくれると。
とはいえ、寂しいのは変わらない。
カゲロウプロジェクトも僕のヒーローアカデミアもFate/Ground Orderも。
終わることは嫌だし、ずーっと続いて欲しいと思う。けれど、終わりがあるからこそ、物語は素敵なんだと思う。
推せる時に推す。本当にその通りだ。
なので、私は来週の夏イベに向けて石を貯め、ヒロアカの映画を暫くは擦り続けて、サマータイムレコードを毎年のように聞き続けるのである。