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カルト?常世神

常世神(とこよのかみ)を知っているだろうか
これは日本書紀に書かれている新興宗教の話だ
日本書紀とは天皇の命で編修された歴史書であり720年に完成したと言われるものだ


つまり720頃に新興宗教がカルト教団のような問題を起こし騒がれていたというのだ
こんな昔に
現在でも度々話題にでるカルトが存在していたというのは驚きだ


マインドコントロールだのカルトだのをネットで調べ偶然知った
この類いの物は昔からあるとは思っていたが、まさか日本書紀に載っているとは
私が無知なだけかも知れないが

概要


日本書紀によると皇極天皇の治世644年に富士川近辺(静岡県辺り)
大生部 多(おおうべのおお)という人がいた
(性別不明)で謎の多い人物だ
その人は村人達に虫を祀るように言った
虫は常世神で祀ると富や長寿が授かるといって


祀る為に酒や食べ物などの財産を村人達に喜捨させる
さらにその酒や食べ物を人々に見せ常世神を祀ったおかげで富が手に入ったように見せるなどのパフォーマンスをしていたという

その話が都にまで広がり、人々は富や長寿を求めて次々と財産を喜捨していった
当然富などが手に入るはずがない


山城国の豪族、秦河勝(はたのかわかつ)という人物が民を惑わす大生部多を討伐する
人々は秦河勝を讃えた


こんな感じの話が日本書紀に載っている
鬼が暴れて英雄が退治するヒーロー物語のテンプレートのような話だ
しかし新興宗教が現れ人々を惑わし財産を喜捨させる
これは世界中どこでもよくある話で、大昔の日本にあってもおかしくはない


大生部多や秦河勝とは


まず大生部多とは何者なのか分かっていない
男なのか女なのか年齢も全てが不明
シャーマンともいわれている
大生部が名字で多が名前なのか
大生部は職業部であるらしい
職業部というのは同じ職業をグループ化して今でいう名字のような扱いをしていたもの
では大生部とは何の職業なのか
私が調べたところ皇子や皇女を養育に関する職業みたいだ


秦河勝とは秦家の族長
秦家は渡来人を先祖に持つ一族
戦国大名、長宗我部氏の遠い先祖でもある
聖徳太子とは同士のような関係で太子と国作りを行っている


常世神とは


では常世神とは何なのだろう
常世とは海の向こうにある不老不死の国
理想郷ともされているが、死の世界と同一視されている
大生部多が祀れといった虫
その虫こそが常世神なのだが、その正体は分かっていない

日本書紀には、橘の木によく見る、長さ4寸ほどの親指ぐらいの大きさ、色は緑で黒い点がある、形は蚕に似ている

以上のことからアゲハ蝶の幼虫ではないかといわれている
アゲハ蝶の幼虫こそが常世神なのか?


本当にカルトなのか?


そもそも本当に常世神を祀る彼らはカルトなのか
日本書紀に書いてある事が本当なら、常世神側が行っている行為はカルト教団そのものだろう

しかし日本書紀はあくまで時の政権が書いたものでしかない
真実が載っているとは限らない


常世神は古代から存在している民間道教の可能性もあるのだ
当時は仏教が盛んに祀られていた時代
民間道教なんかは仏教側からすれば邪魔な存在だったのではないか


貴族、豪族達は信仰の篤い仏教徒であり政治にも深く結び付いていた
秦河勝は熱心な仏教徒の聖徳太子と同士
秦河勝自身も仏教徒だろう

民に信仰されていた民間道教が勢いを増したので討伐したのではないか
そんな可能性もあるだろう

全てが大昔の出来事で、今となっては政権側が書いた日本書紀しか資料は残っていないのだから



自分自身の想像も交えて、常世神について書いてみたが思うことは
昔も今も人間のやることは、そうそう変わらないなということだ








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