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今週の妖怪31
今週も妖怪達を紹介していく
嘗女(なめおんな)
![](https://assets.st-note.com/img/1730912747-eicMZ7kIjxQnBNEWhJPuF0oL.jpg?width=1200)
昔、阿波(徳島県)のある金持ちの家に、美しい娘があったが、どういうわけか男を嘗め回す癖があるという
若者は気味悪がり縁談はまとまらなかったが、その娘があまりに綺麗なので、ある若者が婿になった
さていよいよ閨(ねや)に入ったのだが、娘は婿をとらえて顔から足の先まで嘗めつくす
婿は驚いた
その舌はざらざらしてまるで猫のよう
婿はそうそう逃げ帰ったという
この話は江戸時代の絵本小夜時雨にあるもの
妖怪なのか、それとも特殊な性癖のある女だったのか
その正体は分からない
肉吸い
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昔、三重県の熊野山中には肉吸いという鬼がいて、美しい女に化けては「ホーホー」と笑いながら人に近づき肉を吸ってしまうという
そのため熊野地方では火の気なしに夜道を歩かない
やむえず夜遅く歩かなければならないときは、提灯と火縄を持っていった
それでも肉吸いは火を貸してもらえますか?と言って提灯を取りあげ人を襲い、肉を吸いとったという
提灯を取りあげられたときは、火縄を振り回して打ち付ければよいようで、明治時代に郵便局員がこの肉吸いに出会ったとき火縄を打ち付けたら逃げていったという話もある
肉吸いは奈良の果無山(はてなしやま)にも現れた
ある猟師がこれを南無阿弥陀仏と書いた特別な弾で撃ったところ、怪物はドスンと大きな音を立てて倒れた
見るとそれは骨と皮ばかりで肉のない妖怪だったという
化け鼠
![](https://assets.st-note.com/img/1730914136-CbgAfBNHkZjzaF2vumK0YEJn.jpg)
永禄(1558~1570)のころ、都一条のほとりの古い家に、松並久太という侍が移り住んできた
家の居間の柱には深い穴が空いていたが、久太が移り住んだその晩、その穴から見知らぬ怪しげな子供が顔をだして、こちらへこいと手招きする
久太は大いに驚き、その穴を経文で塞いだり、祈祷を頼んだりしてみたが、子供は相変わらず出現し、同じように手招きするのだった
あるとき、久太の友人である平塚某という剛勇の男が、この話を聞いて久太の家にやってきた
そして、その怪しい子供が現れるのを待った
やがて、いつものように子供が現れると、平塚は待ってましたとばかりに刀を抜いて斬りかかった
子供はすぐ引っ込んだので、穴を覗いてもみると、そこには古い鼠の屍があるだけだった
どうやら鼠の幽霊が、さらに子供の姿になって現れたらしい、ということだった
どういう理由で鼠が化けて出てくるようになったのか、霊の世界は分からないことばかりだ
婆狐(ばばきつね)
![](https://assets.st-note.com/img/1730915019-qcpG9JvOX45Amltw2nP1No7B.jpg)
島根県石見地方のある村に、一軒の茶屋があった
そこの婆さんは昔、ある家から狐を買い狐持ちになったという
婆さんは大変狐を愛して、夜はいつも一緒に寝る
だが、彼女は欲が深く、よその家が豊作だとそれをうらやんで種々の難儀をかけたという
「お前さんの家には狐が取り憑いて何かが欲しいと言っているよ」
などと言って狐を憑けるのである
狐をつけられた家の方は怒り、祈祷や呪いをして落とすのだが、それでも狐が落ちないときは、持ち主の婆さんを迎えにやらなければならない
あまりたびたび難儀をかけるので、婆さんの家の者も困ってしまい、とうとうその狐をどこかに封印してもらうことにした
けれども封じるのも期限があり、期限が切れるとまた狐が飛びだしてくるという
そのため、期限ごとに狐を封じなければならなかった
この婆さんの近くに住む者は、当時婆さんの家の軒下に何日もご飯が置いてあったのを見たという
今週はここまで
また次回で