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全く見たことない野球漫画「サンキューピッチ」第1話感想

ジャンププラスでハイパーインフレーションの住吉九先生の新連載が始まりました。この日をどんなに待ち侘びたことか。お帰りなさい、住吉先生!

舞台は神奈川県。時は6月。夜な夜な野球部に3球勝負を挑んでは勝つ男(野球部狩り)が出現していました。

一方、公立高校野球部でキャプテンをしている小堀は、甲子園出場に向けて切り札を探していました。コミュ強で少年らしさ全開の小堀くん。前作のルークを少し思い出します。

切り札を探す理由は、エースのメンタルの弱さを補強するため。小堀と4番の広瀬は罠を張り、野球部狩りと出会います。これが主役の桐山。

桐山はケガとイップスで1日3球しか全力投球ができません。でも、小堀はワンポイントリリーフでピッチャーとして野球部に入部してほしいと桐山に言います。桐山は広瀬との3球勝負に勝ち、野球部に入部が決まります。実際の3球勝負の様子は是非、ジャンププラスで見ていただきたいです。鳥肌が立つから。ここまでが第一話。

サンキューピッチは他の野球漫画とは一線を介しています。

唯一、3球勝負というと名作ONE OUTSを連想する方もいらっしゃるかと思いますが、ONE OUTSは心理戦を駆使したギャンブル要素が強い漫画でした。サンキューピッチの根底にあるのは野球への敬意の念なので、毛色は全く違うと思います。

そして、主人公がワンポイントリリーフのみというのは、初めて見ました。3球だけで話が構築できるんでしょうか? ……できるんでしょうね。信頼感は半端ないです。住吉先生は前作で同じ番号の贋札を出す能力だけで、国を動かすストーリーを展開されていましたから。

さらに、ひときわ目を引くのが、初回が高校3年生の6月であること。甲子園をかけた最後の夏で本番まで3週間しかありません。他の野球漫画ならクライマックス。そこに至る努力や友情の過程を全てすっ飛ばすと、この漫画は宣言しています。

確かに、スポーツ漫画で1年から始まり、練習試合、甲子園までのトーナメント、1回負けて、強い後輩が入ってくる……という一連のルーティンは、安心感がありつつも退屈でもあります。その点、サンキューピッチは先が全く読めません。

最後に、一番感動したのがイップスを味方につけていること。イップスといえば、体が思うように動かない病気。うまくいかない元凶。イップスを克服する漫画はたくさん見ましたが、サンキューピッチはイップス克服しないでしょう。だって、イップスが主人公の肘を守ってくれているのだから。

医者のおじさん
「これだけのケガをして3球も投げられることが奇跡だよ。まるでイップスが君のひじを守ってくれているみたいだ」

この発想の転換は目から鱗。

前作ハイパーインフレーションで何度も天地や価値観をひっくり返してくれた住吉先生。今作も第一話のイップス談で期待しかありません。サンキューピッチは隔週火曜更新。これからの月曜の晩は、ソワソワして眠れませんね!

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