なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎 単行本 – 2022/4/26アニル・セス (著), 岸本 寛史 (翻訳) Amazonレビュー
本書の主要な主張は、「意識経験の内容は、夢の場合と同様、幻覚である!」というものです。
2022年8月20日に日本でレビュー済み
本書は、4つのパートから成ります。
[第1部]「「意識」には レベルがある という前提の下に、生物や ロボット等の無生物が どのレベルの「意識」を持ち得るか?/それを どのように測定し得るか?」について延べられています。
ここでは、ジュリオ・トノーニの「統合情報理論」が紹介されます。
[第2部] 我々(人間)の意識経験の内容について延べられています。
本書の主要な主張は、「意識経験の内容は、幻覚である!」というものです。つまり、夢の内容と同様です。夢は意識経験の一種です。目覚めているときの意識経験の内容と、夢での意識経験の内容との違いは、前者が感覚入力による制御を受けているということです。
ここでは、カール・フリストンの「自由エネルギー原理」が紹介されます。「自由エネルギー原理」から導かれる結論の1つが、脳は、常に、トップダウンに予期イメージを作り出し、ボトムアップの感覚情報によって調整(制御)を行なっているというものです。
※カール・フリストンの「自由エネルギー原理」については、ヤコブ ホーヴィ (著)『予測する心』を参照してください。私のレビューがあります。
[第3部] 「意識される自己」という現象(経験)について延べられています。
ここでは、「ラバーハンド錯覚」や その全身版が紹介されています。
※「ラバーハンド錯覚」は、被験者の観えるところに右手のラバーハンドを置き、被験者の右手を見えないところに置いてもらい、ペン等の尖った先で 双方の同じ箇所を突くことを繰り返した後、ラバーハンドを金槌で強く叩くと 激痛が走るというものです。
[第4部] 我々(人間)以外の動物やロボット等の無生物の「意識」について延べられています。
ここでは、動物の「意識」について、特に 足にも脳を持つタコの意識について考察されています。更に、意識を持つロボットの実現可能性について 筆者の考えが延べられています。
※動物の「意識」については、シモーナ・ギンズバーグ (著)『動物意識の誕生 上: 生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化』『動物意識の誕生 下: 生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化』も参照してください。私のレビューが あります。
※「意識を持つロボット」の実現方法は、マイケル・グラツィアーノ (著)『意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで』を参照してください。私のレビューが あります。
※※以下、蛇足です。
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◎7:11 2023/03/21
●『意識程度加算仮説』
◆知覚記憶サイクル(数百ミリ秒サイクル)の知覚フェーズに於いて、脳の一時的(数百ミリ秒間)な「量子もつれ状態(/局所多世界共存状態/モナド状態)」が「意識」を持つ。
◆「意識内容」は、すべての「局所世界」で共通な{「直接述定(/感覚)」+「記憶述定(/脳が持つ記憶の内容)」}である。
これは、次の『意識程度加算仮説』で説明される。
◆局所多世界共存状態(/量子もつれ状態)では、各「局所世界#i」での「仮説述定#j」について、「意識程度#j#i」=「仮説述定値#j#i」✕ε が加算される。ここで、「仮説間接述定値#j#i」= -1(/F)/+1(/T) とする。すると、「仮説間接述定値#j#i」= -1 であるiと、「仮説間接述定値#j#i」= +1 であるiとは同数なので、打ち消し合って加算結果は"0"に成る。結果、「仮説間接述定#j」は"意識"に上らない。
◆「仮説直接述定#j」については、「仮説直接述定値#j#i」=「直接述定値#j」である。故に、加算結果は、「直接述定値#j」✕ε✕N である。ただし、ε:意識量子定数、N:局所世界総数。
ε✕N =1とすると、加算結果は、「直接述定値#j」である。
結果、「直接述定(刺激)#j」は"意識"に上り、「述定値#j」=「直接述定値#j」である。
◆「記憶述定#j」については、「仮説記憶述定値#j#i」=「記憶述定値#j」である。故に、加算結果は、「記憶述定値#j」✕ε✕N である。ただし、ε:意識量子定数、N:局所世界総数。
ε✕N =1とすると、加算結果は、「記憶述定値#j」である。
結果、「記憶述定(刺激)#j」は"意識"に上り、「述定値#j」=「記憶述定値#j」である。
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