The Predictive Mind ペーパーバック – 2014/1/28英語版 Jakob Hohwy (著) Amazonレビュー
2021年3月20日に日本でレビュー済み
期待通りの 素晴らしい著作です。
「すべての「思考」、「知覚」、「判断」は、感覚入力の"予測"を巧みに行なう、このたった一つのメカニズムの"表現(/機能)"に過ぎない。」
ここに、本書の素晴らしい"洞察"が集約されています。
"予測メカニズム"の 素晴らしい点は、入力が"教師"となることです。
知覚行動系は、"予測"が 当たるように行動します。そのように 自ら 適応調整します。"予測述定表示"は、"当面のシナリオ"に相当します。
知覚行動プロセスは 長期的に オペラント調整(/強化調整)を受けます。その結果、"予測"は、適応的なものになります。
"脳"の基本構造は、"短期記憶(/再帰入力)"付きの多層ニューラルネットでOKです。最上位の知覚領野が 一次運動野です。
下位の知覚領野から、順次、"認識述定状態"を確立し、"予測述定状態"を確立することで、"知覚状態"を確立します。
知覚領野は、現在の"認識述定状態"を基に、将来の"認識述定状態"を予測する"予測述定状態"に成ります。
下位の感覚系知覚領野の"予測述定状態"が、上位の感覚系知覚領野の入力になります。こうして、上位の感覚系知覚領野は、下位の感覚系知覚領野より長い射程の"現状認識"を行ない、その"将来予測"を行ないます。
運動系知覚領野は、前頭前野 < 前補足運動野 < 補足運動野 < 一次運動野 という階層になります。
上位の運動系知覚領野は、下位の運動系知覚領野の"予測述定状態"と、感覚系知覚領野の"予測述定状態"とを感覚入力にすることで、射程の短い"現状認識"を行ない、その"将来予測"を行ないます。
行動して 自ら"体性感覚状態"を作り出すことで、"注意/意思/内言/内的イメージ"が実現されます。カマキリは、ある"姿勢"をとることで、自ら"体性感覚状態"を作り出しています。カマキリは、獲物を狙う時には、体を中脚と後脚で支え、左右の前脚を揃えて胸部につけるように折りたたむ独特の姿勢をとります。イヌは、注意を向けるとき、耳の向きを変えて、自ら"体性感覚状態"を作り出しています。鋭い音を耳にしたネズミは、注意を向けるため、すくむことで、自ら"体性感覚状態"を作り出しています。ヒトも 同様に 筋を収縮-弛緩して、自ら"体性感覚状態"を作り出しています。
双安定図形の反転は、注意の切り替えによって起こります。多くの会話の中から特定の人物の声を聴き取ることも注意によって実現されます。
入力が教師となって、知覚領野は 自ら 適応的な"ボトムアップ述語集団"を獲得します。
ミニコラムは、認識述定層(第IV層)と予期述定層(第II/III層)とを持ちます。
ミニコラムの認識述定層(第IV層)は、1つの認識述語を持ちます。現状について、その認識述語での述定状態に成ります。
ミニコラムの予期述定層(第II/III層)は、1つの予測述語を持ちます。現状について、その予測述語での述定状態に成ります。これは、将来の 認識述定状態の予測です。
認識述定層(第IV層)は、参照域に於ける"極大共起パタン"を検出します。そのように認識述語集団を、入力に応じて、調整します。これによりバインディング,感覚統合,条件づけが起こります。
予期述定層(第II/III層)は、認識述定層(第IV層)の認識状態を入力にします。これで 知覚領野に於ける 水平方向の因果(/予測)推論が実現されます。
同一のミニコラムが 認識述語での現在の認識機能と、その認識述語での将来の認識状態の予測機能とを併せ持つところがミソです。それによって、ミニコラムが、予測状態を短期記憶しておいて、将来が現在に成ったときに、予測状態と認識状態との真理値の誤差を計算します。この誤差を小さくするように予測述語を調整します。
※認識述語集団は、その知覚領野が検出する 世界の"事態(/特徴量)集団"です。認識述定層(第IV層)は、"事態(/特徴量)集団"の すべての事態(/特徴量)について、毎回、"在/不在"の程度を評価します。
※予期述語集団は、その知覚領野が保持する 世界の"因果知識(/予測知識)"です。
知覚領野は、下位から 順次 "知覚状態(/述定状態)"を確立します。最上位の知覚領野が一次運動野です。
ヒトの場合、知覚領野の深さは せいぜい 20段です。数百ミリ秒(500ミリ秒と仮定します)で 全体の"知覚状態(/述定状態)"を確立します。それぞれの知覚領野が "知覚状態(/述定状態)"を確立する処理に使える時間は、25ミリ秒程度です。"知覚状態(/述定状態)"を確立する処理は、"認識述定"し、"予期述定"する処理になります。調整(/学習)処理が 別途 起きます。
※知覚過程は、高速なボトムアップ述定のみで構成されます。トップダウンの認知的侵入は不可能です。
※更に読み込んだらレビューを更新するつもりです。
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