心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる (ブルーバックス) 新書 – 1999/4/20ロジャー・ペンローズ (著), 中村 和幸 (翻訳) Amazonレビュー

人工知能と意識との関係についての 興味深い考察です。
2022年3月22日に日本でレビュー済み
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人工知能と意識との関係についての 興味深い考察です。ただし、「人工知能」はコンピュータで実現される知能です。
人工知能と意識との関係について3つの立場が想定されています。

A:人工知能が十分強力に成ると人間並の行動をして、意識(理解,洞察,主観的経験)を持つ。
B:人工知能が十分強力に成ると人間並の行動をするが、意識(主観的経験)を持たない。
C:人工知能が強力に成っても、意識(理解,洞察)を持たず、人間並みの行動に到達しない。

Aは、「強力なAI」を信じる立場です。
Bは、チャルマーズのように「哲学的ゾンビ」を信じる立場です。
Cは、ペンローズの立場です。

ペンローズは、脳が物理系であり、物理状態が 物理的時間発展することを認めます。それを人工知能(コンピュータ)がシミュレート(真似)できないのは、物理的時間発展をシミュレート(真似)できない故であると主張します。
しかしながら、現在の物理学(量子力学)では2タイプの物理的時間発展{U,R}しか存在しません。Uは、ユニタリ発展(シュレディンガー発展)、Rは、「観測による収縮」であり、どちらも、人工知能(コンピュータ)がシミュレート(真似)できます。そこで、ペンローズは、第3の物理的時間発展OR(「自発的収縮」)が存在し、それは人工知能(コンピュータ)がシミュレート(真似)できない写像(関数)であると主張します。つまり、そのような物理的時間発展OR(「自発的収縮」)を持つように量子力学を拡張する必要があるという主張です。また、脳が物理的時間発展OR(「自発的収縮」)する仕組みについての提案がなされます。

※ここからは、評者のコメントですが、シミュレート(真似)できなくても近似できれば十分ではないかという疑問があります。

脳が大域的な量子もつれ状態に成り、多世界計算(量子計算)を実行しているという考え方は、人間の知覚(理解,洞察)を説明するのに有用と思われます。
知覚(理解,洞察)は、数百ミリ秒で遂行されますが、その過程で、大きな情報量の状況解釈代替案の大規模集合を並列に評価(検証)し、相対的に尤度の高い 1つの状況解釈代替案を選出する必要があります。大きな情報量の状況解釈代替案の表現には、脳の大域が必要です。状況解釈代替案の大規模集合は、組合せ爆発を収容する必要があります。そして、その大規模集合から、相対的に尤度の高い 1つの状況解釈代替案を選出する必要があります。これを数百ミリ秒で遂行するには、脳が大域的な量子もつれ状態に成り、多世界計算(量子計算)を実行する必要があります。

※※以下、蛇足です。
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●11:05 2023/03/16
◆知覚処理サイクル(数百ミリ秒サイクル)に於いて、脳の一時的(数百ミリ秒間)な「量子もつれ状態(/局所多世界共存状態/モナド状態)」が「意識」を持つ。
◆「意識内容」は、すべての「局所世界」で共通な{「直接述定(/感覚)」+「記憶述定(/脳が持つ記憶の内容)」}である。
これは、次の『意識程度加算仮説』で説明できる。

◆局所多世界状態(/量子もつれ状態)では、各「局所世界#i」での「仮説述定#j」について、「意識程度#j#i」=「仮説述定値#j#i」✕ε が加算される。ここで、「仮説述定値#j#i」= -1(/F)/+1(/T) とする。すると、「仮説述定値#j#i」= -1 であるiと、「仮説述定値#j#i」= +1 であるiとは同数なので、打ち消し合って加算結果は"0"に成る。結果、「仮説述定#j」は"意識"に上らない。
◆「直接述定#j」については、「直接述定値#j#i」=「直接述定値#j#0」である。故に、加算結果は、「直接述定値#j#0」✕ε✕N である。ただし、ε:意識量子定数、N:局所世界総数。
ε✕N =1とすると、加算結果は、「直接述定値#j#0」である。
結果、「直接述定(刺激)#j」は"意識"に上り、「述定値#j」=「直接述定値#j#0」である。
◆「記憶述定#j」については、「記憶述定値#j#i」=「記憶述定値#j#0」である。故に、加算結果は、「記憶述定値#j#0」✕ε✕N である。ただし、ε:意識量子定数、N:局所世界総数。
ε✕N =1とすると、加算結果は、「記憶述定値#j#0」である。
結果、「記憶述定(刺激)#j」は"意識"に上り、「述定値#j」=「記憶述定値#j#0」である。
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