量子力学の解釈問題: 多世界解釈を中心として (SGCライブラリ 161) 単行本 – 2020/8/27和田純夫 (著) Amazonレビュー

多くの多世界解釈の説明で「ごまかされたように感じる点」について 正直に 取り組んでいます。
2021年2月2日に日本でレビュー済み
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多くの多世界解釈の説明で ごまかされたように感じる点について 正直に 取り組んでいる。

多くの多世界解釈の説明で「ごまかされたように感じる点」とは、次の点である。

●観測対象と観測者とを含む合成系の量子状態が、シュレディンガー進化して、量子もつれ状態になる。その量子もつれ状態は、|対象↑>|観測者↑>+|対象↓>|観測者↓> のようなコンポーネント的状態組の重ね合わせになる。
⇒疑問: 合成系の量子もつれ状態を表現するコンポーネント的状態組の重ね合わせは 一意なのか?

●観測対象と観測者とを含む合成系の量子状態が、シュレディンガー進化して、 |対象↑>|観測者↑>+|対象↓>|観測者↓> のようなコンポーネント的状態組の重ね合わせになる。観測者は、コンポーネント的状態組の中の1つのコンポーネント的状態への時間進化を経験する。
⇒疑問:観測者が量子もつれ状態への時間進化を経験しないのは 何故か?/コンポーネント的状態には、観測者が存在するが、量子もつれ状態には、観測者が存在しないということか?

●観測対象と観測者とを含む合成系の量子状態が、シュレディンガー進化して、量子もつれ状態が宇宙に拡大し、コンポーネント的状態組が 世界の分裂になる。
⇒疑問:世界の分裂のダイナミクスと頻度は どうなのか?

仮想外部観測者にとって宇宙が定常状態であることを証明すれば、多世界解釈を受け入れやすくなる。

[補足1] 多世界解釈の1つの問題は、「"存在する"という概念を相対的でなく使用できるか?」ということである。「ウィグナーの友人」の思考実験では、実験室の中で量子論的測定を行なった友人は、最早、ウィグナーにとって存在しない。何故なら、ウィグナーにとって、「友人の量子状態」が存在しない。同様に、友人にとって、他の世界の自分は存在しない。何故なら、友人にとって、「他の世界の自分の量子状態」は存在しない。

[補足2] 多世界解釈に"デコヒーレンス"は不要である。実際に"分裂"するのは"メカニズム"である。

"メカニズム"を実現している"全体系(/合成系)"の"物理状態(/量子状態)"は"シュレディンガー進化(/時間進化/時間発展)"する。
他方、"メカニズム"は、オートマトンとして"機能進化(/機能発展)"する。
"全体系(/合成系)"の"物理状態(/量子状態)"が"量子もつれ状態(/多世界状態)"に"シュレディンガー進化(/時間進化/時間発展)"するとき、"全体系(/合成系)"の"物理状態(/量子状態)"の"シュレディンガー進化(/時間進化/時間発展)"と "メカニズム"の"機能進化(/機能発展)"とは、一致せず、"メカニズム"は、"分裂"を起こす。"メカニズム"は、「独立した"機能部分"の集団」であり、相互に状態因果関係を持っている。"測定装置(メカニズムの一部)"の"機能部分<F>"について、|小世界↑>|F↑>+|小世界↓>|F↓> のような"量子もつれ状態(/多世界状態)"に成り、|F↑>と|F↓>とが 異なる"機能状態"であれば、状態因果関係に従って、|小世界↑>|メカニズム↑>+|小世界↓>|メカニズム↓> のような"量子もつれ状態(/多世界状態)"に成る。|メカニズム↑>と|メカニズム↓>とは 異なる"機能状態"である。"基底"は、"メカニズム"の"機能状態"に対応して決まる。異なる"機能状態"に対応する"基底物理状態(/基底量子状態)"は、互いに直交する。
つまり、"測定"したとき、"対象系"から始まった"量子もつれ状態(/多世界状態)"が、"測定装置(「独立した機能部分の集団」の一部)"を介して、「独立した機能部分の集団」の"全体"を巻き込む。

※"観測者"は"意識メカニズム"である。「意識を持つロボット」でも構わない。
※「意識を持つロボット」の実現方法はマイケル・グラツィアーノ (著)『意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで』を参照。私のレビューがある。
※実験室が外界から完全に隔離していると、"デコヒーレンス"は実験室にとどまり、宇宙全体に広がらない。実際、"量子コンピュータ"は、そのように隔離した状態で"量子多世界計算"を実行する。

[補足3] 現在、「多世界解釈を、直接、証明する証拠」は見つかっていない。しかし、「多世界解釈を間接的に証明する証拠」はある。

それは、人類が存在していることである。ビッグバンから 僅か"138億年"しか経過していない。"138億年"という数値は、世界の総人口と比較してみると分かるように、極めて小さい数値である。その短い期間に人類のような 現代物理学を持つような高度な"知性"が生まれる"確率"は極めて小さい。宇宙の広さを考慮しても、なお、極めて小さい。それでも現に人類が存在するのは、爆発的に増えた世界集団が存在する故である。
※おそらく、「この世界」で 現代物理学を持つような高度な"知性"は"人類"のみである。故に、我々が 高度な"知性"を持つエイリアンに遭遇することはないし、通信を受け取ることもない。
※これは『フェルミのパラドックス』に対する私の答えである。
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