〈無調〉の誕生: ドミナントなき時代の音楽のゆくえ 単行本 – 2020/1/22柿沼 敏江 (著) Amazonレビュー
本書は、現代音楽(無調音楽)リスナに 非常に面白く読める内容です。
2022年10月22日に日本でレビュー済み
私は45年来の現代音楽(無調音楽)リスナです。クラシック音楽も聴きます。
無調主義という教義は、結局、クラシック音楽を先へ進めたのではなく、クラシック音楽から離党して、現代音楽(無調音楽)という新党を作る結果になりました。
※現代音楽(無調音楽)はクラシック音楽の支持者(リスナ)という資産を継承していません。結果として、新たな支持者(リスナ)を開拓する必要がありました。
本書は、現代音楽(無調音楽)リスナに 非常に面白く読める内容です。
※ただし、言及されていないムーブメントが多くあります。ニュー・シンプリシティ(新ロマン主義),ニュー・コンプレクシティへの直接の言及も見当たりません。
特に面白いと思ったのが、ウェーベルンが、無調主義でない音楽家を「ディレッタント」と貶したという話です。実は、シュトックハウゼンも、ある種の音楽家を「ディレッタント」と貶した話を読んだことがあります。これは実に皮肉な話だと思います。現代音楽(無調音楽)はクラシック音楽の支持者(リスナ)という資産を継承していません。そこで新たな支持者(リスナ)を開拓する必要がありますが、それは いわゆる「オタク」というディレッタントの集団になります。
※個人的に、「無調」は聴覚心理学的に存在し得るか ということではなく、「無調」は理念(主義)またはスローガンだと思います。その内実は それぞれの中で違っていてもかまいません。
※個人的に、クラシック音楽(調性音楽)は終焉したとも 終焉しそうだとも思いませんが、無調主義が終焉するとき、現代音楽(無調音楽)は終焉すると思います。
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