キャリコン|理論まとめ(1)
こんばんは、るーんです。
お久しぶりの更新になってしまいました;)
今日は頭の整理として、理論をさらっと書いていこうと思います。
「人と職業」
▪︎パーソンズ|特性因子論(マッチングの理論)
人と職業を合理的にマッチングする理論。
これにより生み出された一つがGATB(厚生労働省編一般職業適性検査)で、9つの適性能を測定するために用いられる。
▪︎ロー
パーソナリティの個人差は、親の養育態度によりもたらされるものと説いた。
①情緒型
②拒否型
③受容型
▪︎ホランド|六角形とVPI
キャリア形成とは、他者との相互関係において形成されると説く。
「個人の性格特性×取り巻く環境」が一致する仕事をすると、職業的満足を得られるとのこと。
これらを六角形に見立てたものを「ホランドの六角形」といい、傾向の強い3つの性格タイプを「スリー・レター・コード」という。隣り合うものは類似性が高く一貫性があると言われ、対角線上にあるものは類似性が低く一貫性が低いと言われる。
またホランドは、アセスメントツールとしてVPIを開発。主に若年層(15~34歳)に用いられる。
▪︎ホール|プロティアン・キャリア
これは”主観的”に評価する考え方の理論。
変化の著しい環境下で、自己志向的に変幻自在に対応していくキャリア。
「発達論」
▪︎ギンズバーグ|職業発達のプロセス
1950年代に説かれた理論。職業選択は一時の選択ではなく、発達的なプロセスであると最初に明言した。
▪︎スーパー|キャリア発達理論
特性因子論×自己概念論を組み合わせ、5段階の職業的発達段階と6つのライフ・ロールを提唱。”人と職業の適合性”(能力×パーソナリティ)を重要概念としている。
ライフ・ステージとライフ・ロールを組み合わせて図式化したものを「ライフ・キャリア・レインボー」という。役割を演ずる中で、個人は他人から見られる自身の役割を再構成していくと説いた。のちにスーパーは、人生全体の発達段階をマキシサイクルとした時、各年代のそれぞれに「成長」「探究」「確立」「維持」「離脱」のミニサイクルがあると説いた。
▪︎ピアジェ|発生的認識論
子どもの思考発達を5段階に分けた理論。
▪︎ゴットフレッドソン|制限妥協理論
子供のキャリア発達について説かれた理論。
子供は自分の興味関心によって職業を考えるわけではなく、むしろ、自分が考慮すべき選択肢を排除するように職業を考えると説く。
▪︎シャイン|組織内キャリア発達理論
組織におけるキャリア開発、組織と個人の相互作用に重きを置いている。
シャインは人のキャリアを2軸で捉えた。
・外的キャリア(客観的)
・内的キャリア(主観的)
→外的キャリアについては、「三次元モデル」(キャリア・コーン)にて説明。
またシャインは、人が職業生活において放棄したがらない自己概念を8つ提唱し、「キャリア・アンカー」と名付けた。船の錨のように、キャリアを安定させるのに役立つものとした。
これらの個人的な自己概念と組織ニーズをすり合わせることを「キャリア・サバイバル」という。
さらにシャインは、組織内での人のキャリア発達段階も提唱(9つ)した。
▪︎ハンセン 総合的人生設計(ILP)
人生の役割として4つの要素(4L)を挙げ、それらが組み合わさることで意味のある全体になると説いた。人生の役割を、キルト(パッチワーク)に例えている。
また、総合的人生設計において6つのテーマを設定した。
▪︎サビカス|キャリア構築理論
サビカスは、特性因子論やキャリア発達理論などを統合し、発展させた。
主要概念は以下3つ。
「キャリア・アダプタビリティ」には、4つの次元があると提唱。
カウンセリングの初期のインタビューとして、以下を提案。
(※アドラー心理学の考え方を取り入れて開発)
サビカスは、「自分の内面にすでに存在する自己を実現する」という考え方を批判する。クライアントはむしろ、「言葉を選んで自己を構成し、自己概念を形成する」という考えを持つ。
よってキャリア構築カウンセリングの手順として、まずキャリアを語り、それを色々な見方から見直し、結果として次なる新たなキャリアストーリー、将来像を共につくり上げ、現実に行動へ移す(構築→脱構築→再構築→共構築→行動)となる。
▪︎キャリア・カオス理論|プライア&ブライト
人が不確実な世界に存在している事実を受けとめ、キャリアが偶然によって不規則に変化するという視点を持ち、一人一人がユニークなキャリアを発展させていくことを推奨する理論。
この理論におけるキャリアの成功とは、行動の制約に気づき、制約を適切にマネジメントして、偶然をチャンスとして活用すること。
若干脱線するが、ストーリーとしてのキャリアカウンセリングの手法を3つ挙げる。
▪︎ジェプセン|キャリアはノンフィクションの仕事経験小説
物語は常に時間的な側面、すなわち、始まりから終わりまでの変化を伴う。語り手としてのクライアントは、時間的連続性の中で、場面・目標・活動・個性を関係づけるとした。
▪︎コクラン|ナラティブアプローチ
キャリアカウンセリングは、あるキャリアの筋書きの中でどのような主人公を演じるかに関心を持つ。適切な雇用とは単にマッチングするだけではなく、あるドラマの中で、あるキャラクターを演じることができる適切な乗り物のことでもあると説いた。
その上で、キャリアカウンセリングの課題は「人々が意味あるキャリア・ナラティブを構築し、実行するのを支援すること」。つまり、プロット(筋書き)づくりを重視する。
▪︎ブロット|ストーリード・アプローチ
以下のストーリー展開を通じ、クライアントの人生の意味に基づいた未来像を形成する。この時、クライアントとカウンセラーは協働してクライアントの世界を探究する。
※サビカスのライフデザインカウンセリングとは逆(大枠似ている気もするが、名称は逆の順番)
▪︎エリクソン|アイデンティティ(自己同一性)の概念 / 漸成的発達理論
人生を8段階に分け、各々での心理社会的発達「課題」と「危機」を整理。
青年期に確立したアイデンティティを基盤として、親密性や世代性を確立し、人生の最終発達課題を統合性とした。
▪︎レビンソン|安定期と過渡期が交互に来るライフサイクル
人生を四季に例え、発達を4つ(児童期と青年期/成人前期/中年期/老年期)に分けた。
▪︎ハヴィガースト|6つの発達段階
①乳幼児期
②児童期
③青年期(経済的独立に関する自信の確立、職業選択と準備等)
④壮年初期(適切な社会集団の発見・認識等)
⑤中年期
⑥老年期(満足のいく住宅の確保等)
▪︎ブロンフェンブレナー|個人の発達に影響を及ぼす4つの環境
①ミクロシステム(親、兄弟、学校、職場等)
②メゾシステム(間接的な、地域社会等)
③エクソシステム(さらに間接的な、両親の職場や兄弟の学校等)
④マクロシステム(国、文化、法律、社会規範等)
▪︎フォンドラセック|職業発達理論モデル
職業発達の理論を検討するには、発達の理論に立ち戻って検討すべきと考えた。その理論は経験的・実証的なものではなく、概念的なもの、つまり研究者のアイディアを示しているに過ぎないことから、大切なことはアイディアの前提となる哲学であり、これを理解することで職業心理学分野において発達研究の知見を活かすことができると説く。
発達モデルを以下3つに大別した。
「社会的学習理論」
▪︎バンデューラ|社会的学習理論 / 自己効力感理論 / 機会遭遇理論
職業選択は学習の結果であるという理論。学習とは、直接経験による学習に加え、観察学習(モデリング)を重要な学習理論と説いた。
学習経験によって得られた課題アプローチスキルを繰り返し、試し、結果を見ることで、やがて一般的な自己記述=自己概念が形成される。これを自己観察汎化と呼ぶ。
-機会遭遇理論
「偶然は予期せず起こるが、一端起こると、予定されていたことと同じように通常の連鎖の中に組み込まれ、人間の選択行動に影響を与える」と説いた。
すなわち、「個人が、あることを選択できるかどうかを規定する主な要因は、機会に出会うかどうかである」とする理論で、日常生活においては、機会に恵まれるかどうかが重要な決定要因となることは疑う余地もない。
▪︎クランボルツ|キャリアカウンセリングにおける学習理論 / プランド・ハップンスタンス理論
バンデューラの社会的学習理論を発展させた理論。
クランボルツのいう「学習」とは、新しい行動を獲得したり、行動を変化させることをいう。
またクランボルツは、キャリア意思決定をうまく行うには、そこに至る意思決定スキル(意思決定に至る学習プロセス)が重要と考えた。
人のキャリアは偶然の出来事によって左右されるものであり、本人も予想しなかったことで興味が喚起され、学ぶ機会を得、成長する。したがって偶然に出会う機会を増やし、それを自分のキャリア形成に取り込み、その準備をするのが大切と考える。
偶然の出来事をキャリアに取り組むための5つの要素を提唱している。
またクランボルツは、「未決定」も望ましい状態と捉える。
「意思決定論アプローチ」
▪︎ジェラット|積極的不確実性
前期は左脳を生かした客観的・合理的意思決定を唱え、後期は右脳を生かした主観的・直観的意思決定を唱えた。
<前期>
<後期>
VUCA時代にふさわしい積極的不確実性を唱えた。
将来の不確実性をありのままに受け入れ、前向きに捉えることで、新たな意思決定を行なっていく考え方である。
▪︎ヒルトン|認知的不協和理論
意思決定は、個人が持つ自己概念や希望・期待・職業観などの「前提」と、外界からの情報との間に生じた不協和の解消だと説く。不協和が生じた場合、個人の「前提」を修正できれば修正する。修正が難しければ、他の選択肢を検討する。不協和が解消されるまで、前提の検討・情報探索・選択肢の検討が繰り返される。
▪︎ピーターソン|認知的情報処理アプローチ
キャリアを決定するものが自己理解と職業理解を行った後、情報収集を行い、評価し、チェックするというサイクルを繰り返して、最適なキャリアへ向かうというモデル(CASVEサイクル)。自分の意思決定について考えることで、自分の認知過程を知り、その後の行動を計画・実行できるようになることが期待される(メタ認知を重視)。
▪︎デジ&ライアン|自己決定理論
動機の自己決定性を体系化したもので、「行動を起こすこと」及び「行動を維持すること」、また「パフォーマンスの質」を説明できる理論として知られている。
例:
・無気力(全くやる気が出ない)
・外的(就職しないと家族がうるさいからやるか)
・取入れ(就職しないと恥ずかしいからやろうか)
・同一化(就職は自分にとって大事なことだからやる)
・統合(就職うると、自分を高めたり幸せを感じられると思うからやる)
動機づけがより自己決定的かつ自律的なものになることを、動機の内在化という。ポイントは3つ。
・関係性の欲求充足(相手から十分に受容・理解され、大切にされ、認められているという実感)
・自律性の欲求充足(自らの行動を自分の裁量によって決められ、そうすることを支持して貰えている実感)
・有能性の欲求充足(色々なことに対して自分は十分にできるという実感)
続きは次回にて^^