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おんがくをかくかくをかく伍

立ち姿勢じゃないと歌えないのです。
一人カラオケに八時間居ても、ほぼ立ったままです。
フリーで入って だいたい三十数曲、歌います。
途中で食事、トイレ、一服もしますが、それ以外ほぼノンストップで立って歌います。
だいたいそんなに歌うのにタバコは大丈夫なのか、と言われます。何故か大丈夫です。
そもそも、タバコ自体 喉を枯らすために始めました。酒も。一曲歌う間にケムリと日本酒を注ぎ込む、という方法でした。

かわいいとかキレイが嫌なんです。

女性ヴォーカリストとして尊敬しているのは、

カレン・カーペンター
サラ・ヴォーン
ジャニス・ジョップリン
パティ・スミス
田村直美
カルメン・マキ
麝香猫のゲイツ(今はどうしているんだろ)
アレサ・フランクリン
夏川りみ
トレイシー・チャップマン
T字路'sの伊藤妙子
PSY'sのCHAKA
B.Bクイーンズの坪倉唯子
(こちらは近藤房之助氏もすごいんだよね)

並べだすとキリがないのでこの辺で。

ケムリと酒を注ぎ込む、という乱暴なやりかたは、田村直美の真似でした。
雑誌で読んだのをまんま実行。
その後、ラヂオで
『でもねぇ、全然枯れないんだよね、アレ』と
話していて、驚愕した。
私も、丈夫になる一方。
いつおんなおんなした声が変わってくれるのか、待ってたのに。
結論、いまは女性ヴォーカルのうたをあまり歌わないで、低い音を目指して男性のうたが殆ど。
それが良かったのか、やっと最近求めるところに近くはなってきた。
昔、スタジオを貸してくれていた、業界にちょっとだけいた先輩から
『高音は鍛えると出てくるもんだけど、
低音こそ生まれ持ったもので なかなか辿り着いかないんだよ』と
言われたことがある。
私は オンナノコ みたいなうたいかたをしたくなかった。

田村直美がPEARLでデビューしたとき
私は深夜のTVを観てジタバタした。
こうなりたかった、こう歌いたかった。
周りの多くは演歌みたい、と笑ったが  あんなに掠れているのに 高音で キュッと引っ掛かるあのうたいかたと声。彼女はカメラを睨んでいて、私も画面向こうの彼女を睨んだ。
今は田村直美、
だけど当時は田村SHO―TA直美だった。
誕生日にはモデルガンを贈った。
ラヂオに投稿すれば
『こいつ、おーちゃくいんだよ、あたしと似てて』って笑いながら言ってくれた。
歌いたい、あなたのように、って書いた気がする。
誕生日プレゼントもハガキも反応してくれて、嬉しくてまたジタバタした。 
ライヴハウスの通路に膝を抱えて座っていたら、普通に現れて私の前を通り過ぎていって、死にそうになった。
私、モデルガンのヤツです!なんて 
声も上げられなかった。

あの発声のしかた。笑わない女ヴォーカル。
今でこそ珍しくはないが、時代がマイルドに向かいつつあったときに、あんなヤンキーみたいに睨む人は他に居なかった。下からマイクを睨んで、同じ高さに上がり噛み付くように歌い出していた。
掘り下げ型の聴き方をするので、じゃあ彼女は何を聴いてきたのか、と どんどんどんどん過去へ遡ってゆく。
SHO―TAを掘り下げたら
カルメン・マキに出会い、ジャニスに辿り着いた。マディ・ウォーターズもだ。
私のブレスレットの半分ずつは、
ジャニスとSHO―TAで出来ている。
感謝すらしている。

ねえ、SHO―TA

おーちゃくかった私は、まだおーちゃくいです。
足掻くクセに中途半端にダラダラとまだ ヘンな形で歌っています。もちろん自己満足が占める。
私だけが、
あなたの引っ掻くうたを愛してやまない、とすら思っています。

できれば、ずっと歌っていて。
憧れなんだけど憧れではなく、
なりたい人 はあなたが最初です。

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