#4 真に強い漢とは
強い男の定義とは何だろう?
喧嘩が強い人?身体が強い人?勝負に勝つこと?頭がいい人?
それぞれが思う基準があり、人それぞれの基準があると考える。
今日、ある地方でアームレスリングの大会があった。
そこで一人の男に注目した。
彼はアームレスリングの経歴はおそらく10年くらいで、全国大会でも優勝こそないが、上位に食い込む実力を保持している。
性格はというと、とにかく明るい。普段からよくしゃべるし、どちらかというとチャラい感じがする。
それに対して練習の時の彼は、勝負に妥協しない。練習も試合と同じように一本一本勝負をして全力を出し切るタイプだ。特に右腕の彼は練習中、誰にも止められない。だからこそ怪我も多く、弱音は吐かないけど、常に満身創痍で練習し、とにかく折れない心を持った選手だ。
そんな彼が今日の大会、右腕の部で順調に勝ち進み、あと一回勝利すればメダル確定の試合で彼の強さに触れることができた。
対戦相手は、過去の全日本大会で2位を取ったことのある実力者。レフリーのレディーゴーの合図でスタートし、2人の腕が真ん中で膠着状態、わずかに押し込んで有利な展開、このまま押し切るかと思いきや、相手の粘りと地力の差で逆転負け。もう少しで勝てた惜しい試合だった。
彼は勝利を目の前に掴みかけたものの、一気にその勝利は遠のいてしまった。
普通であれば、悔しくて悔しくて落ち込み自分の感情に負けて、気持ちが内側に向くところだが、彼は違った。勝負がつきステージを降りたところで、相手選手に抱き着き、やられてしまったという気持ちを示して、相手の選手を讃えた。その後も相手選手に対して、先ほどの勝負の中でここが強く、自分のここが弱かったと、あくまでも相手を讃え続けた。
この人は自分の負けをしっかりと受け止め、この負けからすぐに立ち上がり、次に進もうとしている。もしわたしだったら・・・。
実際負けた現実を目の前に、努力してきた日々の密度が高い分ショックが大きいものだが、すぐさま立ち上がってファイティングポーズをとれる。
こういう人間が、わたしが考える「真に強い漢」である。
こういう男になりたいと思えたアームレスリング大会であった。