#6 世の中を救済するスポーツ
パワハラという言葉を最近よく耳にすることが多い。学校や職場、スポーツの世界で大きな問題となっている。またパワハラが原因で不登校になったり、職場に行くことができなくなったり、適応障害になる人も後を絶たない。
なぜこのような現象が多くなったのだろうか?
それとも昔からこのような問題が多かったがニュースになってなかったのか?
昔の子供で考えると、今よりはもっとパワハラが多かったが、僕の周りで不登校や適応障害になる人は多くはなかったような気がする。
とにかく昔はよく怒られたし、体罰も多かった。先生や親にビンタやげんこつ、正座など当たり前で、理不尽な怒られ方を頻繁に受けてきた。
今考えるとそういう中でも、よく不登校や病気にならず、耐えてきたなと自分でも感心する。逆に言うと、それが当たり前で世の中の教育がごく普通の行為であった。
今の子供たちで考えるとどうだろう。家庭では手を出されたこともなければ、怒られることも少ない、学校でも先生から生活指導を受けたことがないという子も少なくはないと聞いている。そういう子供たちが就職して世の中に放り出されると前述の問題が発生する。
パワハラの問題は置いといて、昔の子供と今の子供の違いは何だろう?
怒られたり指導されることに関しての対応力は、昔の子供は今の子供より強い。今の子供は怒られることに関しては経験が乏しいから、どうしたらいいのか悩んでしまって、それが積み重なって適応障害とかに繋がっていくと思う。
この問題を解決するためにはどうすればいいのか、正直言うと分からない。
ただ言えることは、僕がやってきたスポーツにおいて、クラブや部活の中で理不尽なことに対応する力は付いたと思うし、怒られても自分を失わない精神力は強くなったと思う。
特にラグビーはそのスポーツ自身が、自分よりはるかに大きい人にタックルをして止めなければならないという理不尽なスポーツであるため、この人間を強くする生き方がラグビーにはある。
力の差があって全くかなわない相手に対して、野球みたいにコールドゲームがあるわけではなく、最後のノーサイドの笛が鳴るまで戦い続けなければならない。どんなに無様な姿をさらされ、相手に吹き飛ばされ続けても最後まで戦い続ける。そこで心が折れずに体を張って相手に立ち向かう人間は、真に強い人間だ。
世の中は弱いものを救済する風潮だけれども、それでは何の解決にもならない。
ラグビーにはその力がある。