いわゆる痺れはなぜ起こるの?

痺れ(しびれ)は、感覚異常や異常知覚の一種で、神経系や循環器系に問題があるときに起こることが多いです。その原因を理解することで、適切な治療やリハビリが行えます。以下に、痺れの主なメカニズムと原因を詳しく説明します。

1. 痺れの仕組み

痺れは、皮膚や筋肉から脳へ感覚情報を伝える「末梢神経」や「中枢神経」の異常によって発生します。

(1) 感覚の伝達プロセス
• 感覚入力: 皮膚や筋肉の感覚受容器(触覚、痛覚、温度感覚など)が刺激を受け取る。
• 神経伝達: 末梢神経を通じて、感覚信号が脊髄や脳へ送られる。
• 脳の処理: 脳が信号を認識し、感覚として認知する。

この伝達のどこかに障害が起きると、感覚の異常(痺れ)が生じます。

(2) 痺れの発生メカニズム
1. 神経の圧迫や損傷:
神経が圧迫されたり損傷を受けると、信号が正常に伝わらなくなり、痺れを感じます。
• 例: 長時間同じ姿勢で座ったときの「一時的な痺れ」。
2. 血流不足:
血流が不足すると、神経が酸素や栄養を十分に受け取れなくなり、機能が低下します。
• 例: 手足が冷えることで起こる「循環不良性の痺れ」。
3. 神経の炎症や障害:
神経が炎症を起こしたり、損傷すると誤った信号が伝えられ、痺れが生じます。
• 例: 糖尿病による「末梢神経障害」。

2. 痺れの主な原因

痺れを引き起こす具体的な原因には以下のようなものがあります。

(1) 一時的な要因
• 神経圧迫:
同じ姿勢で座ったり、重い物を持ったりすると神経が圧迫され、一時的な痺れが起こります。
• 例: 正座後に足が痺れる。
• 寒冷刺激:
寒さで血流が悪化し、手足が痺れることがあります。

(2) 慢性的な要因
• 糖尿病性末梢神経障害:
高血糖状態が続くと神経が損傷を受け、慢性的な痺れが起こります。
• 特徴: 足先や手の痺れが多い。
• 椎間板ヘルニア:
椎間板が突出し、脊髄神経を圧迫することで手足に痺れが出ます。
• 特徴: 腰痛や片側の足の痺れ。
• 手根管症候群:
手首の神経(正中神経)が圧迫され、手や指に痺れが生じます。
• 脳卒中や脳梗塞:
脳の血流障害や損傷により、感覚伝達が障害され、痺れが発生します。

(3) その他の要因
• ビタミン不足:
ビタミンB1、B6、B12が不足すると、神経の働きが悪化し、痺れが起こることがあります。
• アルコール性神経障害:
長期的なアルコール摂取により、神経にダメージが蓄積します。
• 自律神経障害:
自律神経の異常が原因で感覚障害が生じる場合があります。

3. 痺れが起こる部位別の特徴
• 手や指:
手根管症候群、神経炎、頸椎症などが考えられます。
• 足や脚:
坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、糖尿病性末梢神経障害が原因のことが多い。
• 全身性の痺れ:
ビタミン欠乏、アルコール中毒、全身性の神経疾患が疑われます。

4. 痺れを改善するためのリハビリや対策
• 姿勢改善:
長時間同じ姿勢を避け、適度に体を動かす。
• 神経の滑走運動:
手足の痺れには、関節の動きと神経の滑走を意識した運動を行います。
• 温熱療法:
患部を温めて血流を改善する。
• 栄養補給:
ビタミンB群やミネラルを摂取し、神経の健康を保つ。
• 医療的治療:
持続的な痺れや重度の場合は、医師の診察を受け、原因に応じた治療(薬物療法や理学療法)を行います。

まとめ

痺れの原因はさまざまで、神経圧迫、血流不足、炎症、慢性疾患などが関与します。痺れを感じた場合は、その持続時間や症状の範囲を観察し、一時的なものか慢性的なものかを判断することが重要です。特に慢性的な痺れの場合は、適切なリハビリや専門医の診察が必要です。

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