腫脹と浮腫の違いは?
1. 腫脹と浮腫の違い
• 腫脹(swelling):
• 外傷や炎症、感染などが原因で局所的に発生。
• 例:打撲や捻挫による腫れ。
• 浮腫(edema):
• 組織間隙に液体が過剰に溜まることで発生。
• 全身的疾患(心不全、腎不全など)や局所的原因(静脈閉塞、リンパ障害)が原因。
• 例:足のむくみ、心不全による全身浮腫。
2. 原因
• 腫脹:
• 急性外傷、感染、アレルギー反応などの局所的な原因。
• 浮腫:
• 全身性: 心不全、腎不全、肝疾患、低アルブミン血症。
• 局所性: 静脈閉塞、リンパ浮腫。
3. 評価方法
共通の基本的評価
• 視診: 腫れやむくみの部位、皮膚の色や張りを観察。
• 触診: 圧痕の有無、硬さ、温度変化を確認。
具体的な評価方法
1. 圧痕性浮腫の確認:
• 浮腫がある場合、指で押して凹みが残る(圧痕性浮腫)。
2. 周径測定:
• メジャーを用い、患部の周径を健側と比較。
3. バイオインピーダンス分析:
• 体液量や分布を計測し、浮腫の程度を評価。
4. 超音波検査:
• 血管やリンパ管、筋肉などの内部状態を評価。
4. 浮腫と腫脹の鑑別方法
• 発症の違い:
• 浮腫: 緩やかな進行、日内変動がある。
• 腫脹: 急性発症が多い。
• 左右性:
• 浮腫: 両側性が多い(例外として静脈閉塞やリンパ浮腫で片側性もあり)。
• 腫脹: 局所性・片側性が多い。
• 圧痕性の有無:
• 浮腫: 圧痕性が多い(例外としてリンパ浮腫は非圧痕性)。
• 腫脹: 圧痕性は少なく、硬い腫れが多い。
• 皮膚の状態:
• 浮腫: 通常色変化なし、慢性では色素沈着も。
• 腫脹: 発赤、熱感を伴うことが多い(炎症性)。
5. 治療法
腫脹
• 冷却療法: 炎症や痛みを軽減。
• 抗炎症薬の使用: 感染や炎症の場合に有効。
• 適切な安静と固定: 捻挫や打撲の場合。
浮腫
• 圧迫療法: 弾性ストッキングやバンデージ。
• 利尿剤: 心不全や腎不全に伴う浮腫の管理。
• 根本疾患の治療: 心臓、腎臓、肝臓の疾患管理。
6. 理学療法士の役割
• 評価:
• 腫脹や浮腫の部位、範囲、原因を正確に特定。
• 適切なツールやスケール(圧痕性浮腫スケール、周径測定など)を用いる。
• 治療介入:
• 圧迫療法や運動療法を用いてリンパ流や血流を改善。
• 手技療法(リンパドレナージ)を活用。
• 生活習慣指導や姿勢改善の提案。
7. 結論
腫脹と浮腫の鑑別は、原因や進行、臨床所見の違いに基づいて行います。理学療法士としては、適切な評価と治療を通じて、患者の症状軽減や生活の質の向上を支援することが重要です。必要に応じて医師との連携も行います。