免疫システムのように考えるセキュア
最近、巷を賑わす闇バイトですが。
加害者という名の被害者を生み出す社会病理の極みのような事例です。
それ以外にも情報弱者を狙った詐欺、恐喝や情報弱者が引き起こす炎上事案など枚挙にいとまがありません。
1 マーケティングの巧みさ
ここで闇バイトについて冷静に分析すると、そのマーケティングの巧みさに目を見張るものがあります。
犯罪者になり得る普通の人はどこにいて、どのような誘いが有効なのかということです。
まず、闇バイトに対して、引っかかる人とそうでない人がはっきりしていると思います。
その上で、闇バイトは、徹底して引っかかる人を対象としたリクルート活動を行っているのです。
つまり万人を騙すことは、最初から考えていないということです。
2 自然界のウィルスとの類似性
上記の特徴は、ウィルスのような構造、さらに言えば、一定の人に感染するように特化したようなものといえるのではないでしょうか。
ウィルスが感染する際に、細胞表面にある特定の受容体(鍵穴のようなもの)に結合するのですが、ウィルスはこの受容体にぴったりと合う鍵のような構造を持っています。(抗原)
このウィルスの持つ鍵の形によって、感染しやすい、感染しにくいが変わってきます。
そして、闇バイトのマーケティングとウィルスが持つ鍵(抗原)が同じ位置づけにあるように思えるのです。
そのため、闇バイトを防ぐ対策にあっては、闇バイトがどのようなマーケティングを仕掛けてきているか=ウィルスの鍵(抗原)の形の研究をしなければならないと思います。
今、警察等で呼びかけている「闇バイトは犯罪です」「闇バイトに注意しましょう」などの呼びかけは、「手洗いうがいをしましょう」「免疫力を落とさないように生活習慣を正しましょう」みたいな呼びかけと同義ではないでしょうか。
特定の人への感染力が高く、強毒性のウィルスが猛威を振るっているときに、「手洗いうがいをしましょう」ではあまりにも頼りない対策しか打ち出せていないのも同じです。
このような事象へのセキュアとしては、ワクチン開発のステップとワクチンの働きが参考になるのではないでしょうか。
3 ワクチン開発のステップをセキュアへ応用する
●ワクチン開発のステップ
まず、どのようなウィルスや細菌が病気の原因となっているか特定。
次に、病原体の表面にある、免疫細胞が特に強く反応する部分(抗原)を選定。
そして、選定した抗原を使って、安全に体内に投与できるワクチンを作成。
●ワクチンの働き
まず、ワクチンに含まれる物質(抗原)を体内の免疫細胞が「異物」として認識。(侵入者の特定)
次に、免疫細胞は抗原と戦うための特別なたんぱく質(抗体)を大量に作る。
そして、一部の免疫細胞は「記憶細胞」となり、同じ抗原が再び体内に侵入してきたときに、素早く抗体を作り出す準備をする。
セキュアに上記流れを応用すると、
まず、どのような事象を引き起こしているのか、どのような人を対象としているのかを特定。
次に、それら特定の人がどこに反応してしまっているのか(どうして騙されるのか)を分析。
そして、その反応する部分への効果的な啓発啓蒙を図る。
それにより、セキュア(知識)という抗体を持てるようになることになり、騙しの手口に対峙したとしても、自ら考えて行動することにより危機を回避できるようになるのではないでしょうか。