見出し画像

#3 天使にラブソングを…1・2

 遡ること、私が中学生の事。
音楽の時間に先生がこの映画を見せてくれました。いい時代でした。
今はそんな事ないのでしょうか?
 同じクラスの同級生と一緒に見たわけですが、気持ちを表現するのが恥ずかしい思春期大爆発時期でしたので、密かに感動して胸が熱くなった事を覚えています。

 歌手を目指したいリタを演じるローリンヒルが高校生とは思えない!クールで、歌声が低くて穏やかに響いて虜になりました。
 高校生になったらリタのように制服を着こなしたかったし、ダンスも歌ももちろん真似して踊りましたし、実力を持って何にも動じない堂々とした姿に一気に私のロールモデルになったのです。
 とはいえ、ここはとても田舎。
PHS(ご存じ?)ガラケー全盛期で、今では考えられないほど世界と繋がっていませんでした。楽しい友人は沢山いましたが、音楽、エンタメに関しては共感してくれる友人もいないうえ、特筆するような実力もない…という、別世界過ぎて、好きすぎる故に孤独感が増したりもしました。
 それでも何度も録画を見ては、デロリスの手荒な本気指導と天使のクリスチャンの仲間たちに励まされました。
 コメディって良いですよね。恥ずかしくてストレートに言いたくない事も、笑って面白くすると程よく気づいてくれることがあると思います。
 思春期真っただ中の当時の中学生にはそのくらいが程よく胸に突き刺さり、励まされ、孤独を鈍くしてくれた気がします。
 この映画をビデオが擦り切れそうなほど見て、私の身体にコメディの感じ方と、RAPとR&Bやゴスペルがしみ込んだのではないかなと思うのです。
 私が高校生になるころ、リタはソロ活動でローリンヒルとして、ものすごい大ヒット、The Miseducation を発表します。
 英語を知らなくても、和訳を見ても意味がよくわからない現地ネタの歌詞であっても、涙が出るし脳天に来るような衝撃!
 洋楽の音楽を聴いて泣いたのは初めての経験だったと思います。
ローリンの話になってしまいましたが、それはまた今度。
 この映画に出会って、少しくらいはみ出してもいいし、普段から完璧じゃなくたって、やる時だけはちゃんとやるのがかっこいいなって、中学生の私に洋楽好きの基礎となる背骨と教訓と許しをくれた作品だなと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集