年長懇談会でのはなし
就学前まであと1年。いよいよ保育園生活の最後の1年。
ワクワクドキドキそわそわなどが入り混じる最初の1週間の過ごしの後に、保育園で保護者懇談会が行われた。
ピカピカの一年生のドキドキはインパクトが強いけれど、いよいよ年長を迎える彼らだって負けていない。
わが子が通う保育園は異年齢の子どもと過ごす時間は多いほうだと思うが、「年長」ならではの活動も多く、保育園の子ども中にとって「憧れの年長さん」なのだ。だから、年長さんになった自分が誇らしくもあり、期待もいっぱい、その反面不安も感じたりするのだ。
就学準備としての1年間でなく、年長の1年間をどう過ごすのか。という話題になった。
第1子の保護者はどうしても不安が強くなりがちだ。
あるお母さんがお子さんの口調がきついこと、園では仲間がそんな個性も知った上で付き合ってくれているけれど、小学校に行ったらえらい目にあうんじゃないか」という悩みを話された。
確かに私の娘もその子からいろいろ言われたことがあり、「○○は意地悪言うから嫌だ」なんて言うことがあった。
穏やかそうに見えるそのお母さんは、わが娘の口の悪さが心配で仕方がないのだ。
周りの理解があってこそ通用する世界は決して広くない。
お母さんは心配しているけれど、実際には少しずつ自分で考えて、調整して、相手によって表現を使い分けたり、また言われる方も、言い返すようになったり、成長とともに少しずつ変化しているそうだ。
友達とのやり取りの中で、だんだんと自分のことだけではなく相手の立場で考えられるようになる。そうすると、こういう言い方では伝わらないな、どうすれば伝わるかな、と考え工夫をするようになる。
仲間たちといかに関わるか、本音をぶつけあう経験が生きてくるのだ。
既に小学生の兄や姉がいる、年長時代の子どもの成長を経験しているお母さんが、お兄ちゃんの話をした。
年長の頃は毎日喧嘩ばかりで、当時はそんな子どもの姿が理解できないこともあったそうだが、今では、自分の意見をきちんと述べられるようになり、自分は自分でいいという崩れない芯ができ、対人トラブルとは無縁らしい。
最近はけんかを避けて無難に無難に通り過ぎようとすることが多いように思う。
けんかをしない、真剣に気持ちをぶつけ合った経験が無い子は、自分を表現すること、自分の本音を口にすることが難しい。
年長の時に一緒に取り組む、過ごす時間が濃密になればなるほど、考え方の違いは当然出てくるし、そのなかで葛藤することも増えるだろう。
揉めたり喧嘩したりの連続。それは歓迎すべきこと、そこでのやりとりこそが重要なのかもしれない。
年長時代に本音をぶつけ合う、思いを聴いてもらう、受け止めてもらう。「みんな違ってみんないい」ことに気づく。自分を認める。
そういう経験を、じっくりじっくり重ねる1年にしてほしいと切に願う。
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