野菜嫌い、刻んで隠したら克服できる?#183
保育士養成校での講義内で、「野菜が嫌いで食べない子にはどうすればよいか?」と問うと、「細かく刻んでわからないように隠す」と答える学生が多い。
本人に「克服したい」という意思がないにも関わらず、食べないからといって、「嫌いなものを食べさせる」ためだけに、(子どもを騙して)苦手な食材を混ぜ込むという方法について、何の疑問を持たない学生が多かった。
自分自身がそのようにされた、という記憶が残っている場合もある。
確かに、そうやって克服したという事例もある。
大好きなハンバーグに、嫌いな茄子が小さく刻まれ練り込まれていることに気づいたときの悲しみたるや、、、(敏感な子どもは舌の感覚も敏感なことが多いので、どんなに細工してもバレる可能性が高い)
いくらお母さんが子どものためを思っていたとしても、子どもにとっては「苦手だ」という自分の結構重要な気持ちがあっさり無視され、強要された。「騙された!」という認識に繋がることがある。そうなると食事自体が不快になる。本末転倒だ。
子どもに「嘘をついてはいけません」と言っておきながら、「子どものため」に嘘をつく大人ってどうなんだろうね。
それって「○○のため」という大義名分があれば、「嘘をついていい」ということを教えることにならないかな?
感覚が敏感で味覚の経験がまだ少ない乳幼児にとって、野菜の苦みを本能的に「毒」だと判断してしまい、嫌がる子が多い。
そういうときに、「身体にいいから食べようね」なんて言われたところで、理解して食べられるわけがない。
周りの大人などが、美味しそうに食べている姿をみて、
「あれ、もしかして美味しいのかな」そうやって興味を持って、触ったり、においを嗅いだり、かじってみたりしながら、少しずつ経験して、味覚の幅を増やしていくのだ。
無理に「食べさせる」のではなく、子どもが自ら「食べたくなる」ように、まずは、大人が美味しく食べる、おいしさを5感を使って伝えて、子どもの興味関心を揺さぶるような演出ができる保育者になってほしいと願う。