プロとしての心得#167
勤務先の保育園でのこと。
一時保育を週に2回ほど利用している1歳半の女の子のお母さんが、お迎えに来るなり「ちょっと聞いてください」と駆け込んできた。
役所の1歳半健診に行き、そこでどうやらいろいろと指摘をされた上に、このままでは後々、お友達とコミュニケーションをとるのに大変だと脅されたようだ。
お母さんいわく、指摘されたのは、指さしをしなかったことと、言葉が遅いことだそうだ。
お母さんだって、これまで特に心配なんてしていなかったのに、健診で言われたひと言に、ちょっとしたパニックになっていた。
でも、こうやって駆け込んで、相談してくれてよかったと思う。
普段の子どもの様子から、何かをみつけたら指さして教えてくれること、言葉もだんだんと出てきている。早い遅いはひとそれぞれあるけれど、彼女だって着実に成長している。私たちはそれを知っている。
一通りお母さんの話を聞いた後、指摘されたことがやっぱり気になるのなら、まずはお母さんが道を歩いたり、絵本を読んでいるときに指差しして、「猫がいるね」「バスだね」言葉をしっかりと口にしていく程度で十分だと伝えた。
具体的なアドバイスもせずに、不安にさせるだけの人はプロではなさそうなので、気にする必要全くないことを伝えた。
お母さんの表情が、明るくなり、ずっと重かった気持ちが晴れたと喜んでおられた。
プロは、相手を不安にさせないこと。
仮に発達上の課題があったとしても、ただただネガティブな情報だけを伝えて不安にさせるのではなく、ではどうすればいいか?
落ち着かせ、これからの行動を考えられるように手助けをする。
ところが、プロじゃないなと思う言動をとる人は、至る所に一定数紛れているようだ。
一昔前なら「なんでそんなこと言うの(するの?)」と、腹を立てていた。
怒ったところで、他人は変えられないので、どうしようもない。
だから、私からすれば「意味不明な言動をとる人が存在する」ということを知っておいて、いざ、そういう状況に遭遇したときに、「じゃぁ、私はどうするか」冷静にしなやかに対処できる自分でいたいと思う。
相手を不安にさせないこと、これは私が仕事をする上で大切にしていることのひとつである。
何かあったときにそうやって駆け込んで相談できる場所(人)があることはとっても大切で、私のところにもおかげさまで少しずつ人が寄ってきてくれている。お母さんや子どもたちにとっての安全基地をじわじわ広げるにはどうすればいいかな。そんなことを考えている。