受験記録:上智の帰国入試[文学部・国文学科]
はじめまして!私は、帰国生枠で大学受験をし、受験した大学すべてに合格をいただくことができました。帰国生入試は受験者が少ない分、情報も少ないため、対策に大変苦労すると思います。ここでは、私が受験期にした対策、使っていた問題集、その他受験に有益と思われる情報を書いていきたいと思います。同じ大学の帰国生入試を受けようと思っている方、その際にどのような対策をしたらよいか悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。
はじめに
私は、高校のときに2年ほど、親の仕事の都合でアメリカに滞在していました。そのため中学生まではずっと、日本に滞在していたことになります。受験期に、私は、文学部の日本文学系の学部を志望していました。受験をし、合格をいただいた学校は以下のとおりです。(出願した大学は全部で5校ですが、合格発表と試験日の関係で実際に受験した大学は3校となりました。)
上智大学 文学部国文学科
学習院大学 文学部日本語日本文学科
武蔵野大学 文学部日本文学文化学科
以下では上智大学の入試について書いていきます。
上智大学の帰国入試
試験の内容
もうすでに調べている方も多いと思いますが、簡単に触れておきます。内容といたしましては、筆記試験において小論文、評論読解、古文、漢文が出題されます。受験期を海外で過ごしている帰国生にとっては、どれもハイレベルな内容と断言できます。が、後述するようにしっかりと対策をすれば問題にしっかり向き合えるまでにレベルを持ってくることができます。
くわえて、10分から20分程度の面接があります。
出願の際、英語の外部試験(TOEFLやIELTSなど)において大学が定めるスコアに達していることが条件となるので、こちらは大学の募集要項で必ず、早めにチェックしておいてください。
英語の外部試験対策
私は、IELTSを受験し、最終スコアは6.0で提出しました。(その年に、大学で提出を求められていたIELTSのスコアは4.0でした。)
IELTSの対策は、通っていた予備校の授業でも行っていただきました。主にライティングを添削していただいたり、クラスメイト同士でスピーキングの練習を行ったりしていました。以下では私が自発的に行った対策に使用した、4冊の本をご紹介します。
本番に近い形の問題は、予備校のテキストで演習していたため、足りない部分を補うために以上の本を活用していました。特に一冊目にある単語を覚えることはIELTS対策のなかで最も大事だったと思っています。私の海外滞在経験が他の帰国子女や留学生より短いため、語彙を増やし、リーディングの長文の理解を高め、ライティングの内容を充実させることを意識していました。
評論読解対策
実際の入試で1番初めにある問題が、評論文を読んで、いくつかの設問に答える形式のものです。この後、古文→漢文→小論文と続いていくため、ここで時間をかけることはできません。実際の入試は全て合わせて90分と非常に短い時間であるため、一度も書き直さず、一発で回答を作ることを意識する必要があります。これは、最後の小論文のためにできるだけ時間を残すためです。評論文の読解対策には、主にこの本を使いました。
この本は、実際の試験の形式とよく似ており、文のテーマは違えど、良い対策になると思います。「最初から丁寧に読む」「一度で理解する」ことが大切なので、かならず大事なところにしるしをつけながら読む練習を行ってください。過去問のとおり、入試では、1⃣での文章(評論文)を踏まえた小論文を書くことを要求されます。
試験で出題される評論文の内容は、文学や言語に関係するものが多いです。そのような予備知識があると、よりスムーズに解くことができると思います。受験勉強の合間に自分の興味のある分野についての本をたくさん読むことは、出題される評論文への抵抗感をなくすと同時に面接のネタにもなるため、おすすめです。
古文の対策
難易度が高く、対策に一番時間をかけたいという点においては、漢文と並ぶ科目だと思います。実際、受験期は私も一日の大半を古文と漢文の対策に費やしていました。古文を対策するうえで使ったものは以下のとおりです。順番に説明していきます。
①教科書
私は日本での学生時代にいただいた教科書をそのまま使っていましたが、持っていない場合は一冊用意するのが良いと思います。古典文法の基礎的なものでかまいませんので、ネットで古典文法の教科書を探してみてください。ここで最低限必要なのは、古文における助詞と助動詞の知識です。無限にあるわけではないので簡単に覚えることができますし、ネットに覚え方も転がっていますので、それらを利用し、これから問題集を始める前に助詞と助動詞を完璧にしてください。可能であれば、この段階で少し古典常識にも触れておくと良いです。近年において古典常識に関する問題は出題されていませんが、「月の異名」などは高校古典では大事な部分になるので、余裕があれば頭に入れてみてください。
重要なのは、「海外経験」というステータスと、「上智大学を受験する日本の高校生と同じくらいの国語力(ここには古文漢文を含みます)」を両立させることです。このまま入学しても、周りのひとについていけますという自信を、最終的に試験会場にもっていくことを目標に頑張りましょう。
②問題集
覚えた知識を使って実際に演習していくにあたり、私は主にこの2冊を使いました。
これらの2つに加え、3か月在籍していた日本の高校で配布された、『リテラ古文』という教材も最初の方に少し使っていましたが、この内容は文法の教科書の知識と練習問題とさほど変わらないため、基礎の部分は最初に教科書でしっかり押さえたあと、上記の問題集を丁寧に解き、足りない知識を補っていく形で対策できると思います。それでも不安が残る、かつ受験まで時間が十分にある場合のみ、全レベル問題集の1、基礎を一冊やるのもおすすめです。
順番は、全レベル→最強の古文です。なぜなら最強の古文は問題数が多く、十分知識が身についた後、ひたすら演習していく段階にぴったりなうえ、適度な古典常識などが盛り込まれているため、実際の入試で出されるハイレベルな古典常識問題に対応できる可能性を少しでも上げることができます。
全レベル問題集4は、ここで一気にレベルを上げることを目的にしているため、先ほども少し述べたように、本当に丁寧に解いてください。
私は、時間があったため、問題を解いた後は問題文をすべて品詞分解し、頭の中で現代語訳をしながらわからない部分を答えの訳で確認していました。この時、読み方も含めわからない単語は都度確認し、覚えるようにしていました。すべての文にこれをするのは時間がかかってしまうため、もうすでに帰国している方(受験まで4,5か月)で、助詞・助動詞、呼応の副詞などの基礎ができている場合は、最初の5つくらいで品詞分解・全訳は終わりにして、復習は引き続き丁寧に行いつつ、多くの問題に触れる、すなわち経験値をあげる方を優先するべきだと思います。
最強の古文は、覚えたことをすべてぶつける勢いで解いていってください。文章のレベル的には実際の試験と同じくらいだと思います。(ただし、こちらの問題が記号で答えるものがありますが、実際の試験はほとんど記述式だということに注意が必要であり、問題としての難易度は入試の方が高いと考えます)
加えて、古典文学史などの知識系においては良問がそろっていると思いました。復習&わからない単語の確認→覚えるを各問題ごとにおこなってください。そうすれば、実際の試験で対応し得る実力が、少しづつついてきますし、最初は全然解けなかった過去問の問題文が読めるようになります。最終的に自分で過去問の問題文を訳せるようになることを目指すのが良いと思います。
古典において、最も大切なことがあります。それは、助詞・助動詞などの文法基礎を確実にすることと、単語をおぼえることです。英語と同じようなもので、単語が分かれば文が読め、わからなければ読めないです。単語を覚え始めたら、毎日、少しでもよいので、古文単語に時間を割いてください。
私が使っていた単語帳はこちらです。最終的にのっている単語すべて(320個)は完璧にしました。
漢文の対策
漢文も、古文と並んで対策で躓く部分だと思いますが、こちらも基礎を完璧にし、漢文におけるパターンや傾向をつかめるようになれば、入試の問題文も読めるようになります。
漢文を学習するときに使った教材を以下に紹介します。
①教科書
まず、基礎を固めるうえで使ったものは、高校入学時に配布された教科書です。基礎は、何においても優先され、大事なものなので、漢文の勉強を始めるときは一冊、教科書を用意するのが良いと思います。配布教材ならメルカリで、そうでなければ書店にあるのを見かけたことがあります。
②単語
実際に読みの問題で、この中に収録されている単語が出ました。時間があれば、これの隅から隅まで覚える勢いで取り組むのが良いと思います。基礎から始まって応用問題まで対応できる力がついたので、漢文学習でとても役に立ちました。
③問題集
入試精選→全レベルの順番で取り組みました。入試精選の方は問題集が多く、古文で説明したとおり、書き下しと全訳をしているうちに漢文の仕組みや展開のパターンが体に染みついていきました。入試精選の中でも難易度が易しいものから始まってだんだん難しくなっていったので、挫折することなく進めていくことができました。最初は書き下しと全文全訳をノートに書いていくのが良いと思います。前述したとおりこの方法がかなり時間をとるので、私は、途中から数をこなす方に切り替えましたが、復習は変わらず丁寧に行いました。すべての問題を取り組んだ後、入試直前期に確認&より多くの漢文に触れるため全レベル問題集を購入しました。
漢文は、構文と単語がカギだと思います。慣れないうちはまるで外国語のように見えるかもしれませんが、それを日本語の文章のように読めるまで頑張ってください。やっていること(やらなければならないこと)は英語学習ににているな~と思っていました。
小論文対策
小論文は、主に予備校で対策していました。書いたものを添削してもらい、合格するまで書き直すことを繰り返していくうちに、構造やテーマへの向き合い方を体得していった感じです。
自分で購入し、サブテキスト的に使っていたものはこちらです。
自分の興味のあるテーマについてはネタがたくさんあると思います。しかし、特に興味がなく、あまり知識がないテーマについて書かなければならない場合、ネタに困ったときに使える本です。自分の受ける学部のところだけでも一読しておくのが良いと思います。様々な大学の過去問と解答例もあり、お得な情報満載な本だと思っていました。
小論文を書く上で、構成力、文章力が必要なのは前提として、その分野に対する知識がたくさんあることも重要だと思います。しっかりとした小論文の中に、自分はこのテーマについてどれだけ知っているかということをアピールするチャンスにもなるからです。対策の程度に差が出る入試形態上、ある程度ハイレベルな学力があれば受かる確率は格段に上がります。だからこそ、合格への後押しとしての位置づけに小論文をおくとするならば、小論文がうまく書けるようにすることはとても大事です。
そのため、受験を見据えてからは、国語便覧、教授の本、問題集の解説にある小さいコラムなど、自分が将来やりたい分野に関する知識への関心を強く持ち、アンテナを高くしておくことを忘れないでください。そのちらっと見た情報が、のちの自分を助けることになるはずです。
面接対策
面接では、志望動機と自分の将来の展望(何になりたいか、なったあとどうしていきたいか、そう考える理由)をよどみなく話せるようにするのが良いと思います。好きな本(現代文学・古典文学)などのトピックもありました!自分の興味のある分野なら話すことはあると思うので、ある程度言いたいことをまとめた後は、当日に緊張し過ぎないことが一番かなと思います。
さいごに
受検において、情報は多い方が良いです。周りにいれば、その道の専門家(予備校の先生など)からたくさん話を聞いて、戦略を考えていってみてください。
過去問は早いうちから見ておいた方が良いと思います!今の自分のレベルに対して、どのくらい上げたらよいのかが明確に分かるからです。最後過去問で演習する際には、本番と同じ時間を測って解いてみてください。
集中力を保つために、適度に勉強する場所を変えるのが良いと思います!午前は家、午後は図書館で勉強していました。ただし図書館は涼しくて快適なのですぐ眠くなってしまいます(笑)そのときは本棚を少し歩いて目を覚ましていました。怠惰にせず、たくさん勉強するコツは、食事を休憩だと思うことだと思います。
私は海外にいる間にコツコツ積み重ねて、帰国してからは集中的に演習をするような形でした。高3で帰国(高卒認定取得済み)であったため日本の高校に編入する必要がなく、一日中受験勉強ができたので、おおよその勉強時間は一日10時間が目安でした。
以上の紹介がお役に立てば幸いです。
みなさまの志望校合格を心からお祈りしています。
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