見出し画像

【暗闇の中の光】とあるアーティストを紹介させて下さい32

2024年10月14日、とあるアーティストがニューヨーク証券取引所外で、パレスチナ支援の為、座り込みによる抗議行動によって逮捕されました。


彼女は1953年9月12日にアメリカのワシントンDCに生まれました。

彼女が11歳の時、姉のバーバラが亡くなりました。母親との関係やバーバラ自身の性的指向を苦にした自殺と言われています。
姉の死を巡り、両親と口論になる事があり、やがて彼女は10代前半で家を出て、マサチューセッツ州リンカーンで実験的フリースクール、サティア・コミュニティスクールに通い始めます。そこでスタッフから手ほどきを受け、彼女の周囲の人達をカメラにおさめ始めます。

18歳の時、ボストンに住んでいた彼女は、友人に紹介されたゲイやトランスジェンダーのコミュニティに入り浸り、ドラァグ・クイーン達と恋に落ち、生活を共にし、彼らや、時には自分自身を被写体として写真に収めました。
やがてこれらの写真は、「性的依存のバラード」というタイトルでまとめられ、写真集として出版されました。
時には撮影費捻出の為行った売春すら、自ら記録する彼女の撮影スタイルは、賛否両論を巻き起こしましたが、90年代に入ると次第にその評価は高まっていきました。

90年後半から2000年にかけて、彼女は「現代の最も重要な写真家の1人」と目されるようになり、また性的アイデンティティや薬物依存問題、HIV/AIDSなどへの理解を訴えて、社会活動家としても、注目されるようになりました。

2010年代、自身も苦しんだオピオイド中毒問題(米国で販売されていた依存性の強い鎮痛剤の過剰摂取により、死亡や薬物依存に落ちいる人が激増した)に対し、製薬会社「パーデュ・ファーマ」とその創業家サックラーへの抗議行動を始めました。
サックラー家は世界各地の美術館に巨額の寄付を行い、影響力を持っていましたが、彼女は自身の展覧会開催や作品売却を拒否。結果、各国の主要美術館はサックラー家からの寄付を受け入れなくなりました。

2024年10月14
日、200名近くの抗議活動参加者と共に逮捕された彼女は言います。
「私たちのメッセージを広めるのに役立つのであれば、彼らと一緒に逮捕されることを誇りに思います」

彼女の名前はナン・ゴールディン。活動家、そしてアーティストです。

いいなと思ったら応援しよう!