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生きることは尊く、推しには尻尾が生えている 舞台「戦国妖狐」

※内容に触れます!

本田くんが主演を務めるというので、戦国妖狐の舞台を見た。

大変満足し、そして心身を消耗しています。(体力のないオタク)
原作知らないで行ったのですが、絵柄の印象からは意外なほどシリアスな話でした。なんかもうちょいポップな感じかと思ってたよ!
あれはアニメだと何話分くらいに当たるんだろう?忙しい舞台だった…。まじで予習していけばよかった。大量の登場人物とそれぞれの感情や成長がドサドサとたたみかけてくるので、脳みそと感受性をフル回転させ必死に食らいついていた。ま、舞台なんてそういうことをするために見に行ってるからね!


じんかといつもの本田を並べてみました。本田くんが演じる迅火というキャラは、感情豊かで人懐こい本田くんとはおよそ対極にあるキャラクターでしたが、実際に見ているとすんなりと一人の人物として立ち上がって生きているように感じられました。
本田くんの静かに抑えた声は綺麗で色気があって、少しざらついた響きが驚くほどCV.斉藤壮馬でした。あのキャハキャハ笑うかわいいハスキーボイスがこんな色を持っていたなんて。また、立ち姿なんかが大西さんのたまと並んだときにしっくりくるなあという印象がありました。

この、迅火とたまのバックグラウンドの描写がほぼなかったの、「やってる!!」と思った。明らかにそこに何かがあったはずの余白だけを見せ、原作を履修させようとしている。
まんまとアニメを見ているところなのですが、たまがかわいい。たまの耳がぴこぴこ動くの、舞台だけでは知ることのなかったかわいさだ。
あの二人はいつどこで出会いなんで義姉弟となって世直しをやってるのか舞台を見てる限りだとわからず、私の二人の印象はずっとたま様と迅火様だった。人外っていうか人間の上位存在、畏怖の対象という感じ。
アニメ見てたらたまがおにぎり食ってて、そういや舞台には食事シーンもほぼなかったなと思った。(酒は飲んでたが)
迅たまがあんなに仲良いとも知らなかった。姉上の手を引いて厠に連れていく本田迅火見たかった…!!!!!ちょっとこのシーンをやるために舞台続編やりませんかね!?!?!!!??!姉上にだけおちょけた笑顔を見せる本田迅火ももっと見たかった……。


評判だった本田くんの殺陣は本当に良かった!上手だったし、本田くんの殺陣だった。ステージにいる本田くんを見て感じる喜びと同じ喜びがあった。
どこで止めても美しいダンス同様に、殺陣も本当に美しかった。しっかり沈んではふわりと跳ね、重力を操っているかのよう…。回ったときの長髪の髪さばきも綺麗だった。
ていうか、思ってた50倍くらい殺陣があった。本田くんの殺陣(初挑戦)が素晴らしいと知っている未来人が作った舞台?そして戦うときは大抵精霊転化してるからでっっけーーしっぽと耳がついてて絶対に動きにくいはずなのに、そんな状態であんなに動いていて純粋に鬼体力を感じた。

私…、推しが長髪和装セクシーお兄さんになった上にケモみみしっぽになったオタクということになる。が、舞台の上では常にたくさんの生命たちの生と死が交錯しており、ケモ耳にグヒグヒ喜んでる暇は与えてくれなかった。生きていくときに普遍的な苦しみや悲しみが心に重くのしかかってくる一方、推しにはしっぽが生えていた。不思議な体験だった。

あ!拳での殴り合いも良かった!迅火はステゴロも強い!


ストーリーとしては他者といっしょに生きることのままならなさを見つめる人間ドラマで、あーしはせっかく見るなら癒されるものを見たいと思う疲れた大人なので久しぶりに見るタイプの作品になった。
目の前で人間が今この瞬間演じていると思うと、相応の「真剣」以外の態度で鑑賞することはできない。大切に味わった。舞台とか映画館のそういうところが好きです。強制的に集中させてくれるありがたさ…。

かなり色んなことが起きていたけれど、旅はまだこれからで、多分けっこう序章だったんじゃないかという気配がした。特に真介なんかは言うなれば「兵頭真介:オリジン」でちょうど終わった気がする。ここからバリバリ活躍して素敵な人物になっていく、そのきっかけのところよね!?
魔剣のエピソードがすごく良かった。
他人に虐げられたくない、良く思われたい、相手にされたい、みたいな他人基準の価値判断をやめたときに魔剣を抜けるようになったということだと思った。かっこよすぎる。
本当の意味で自分の人生を自分の考えで生きるということを、「刀を使役する」という形で表現していたのがかっこよかった。そんで魔剣を抜いた瞬間刀の扱い急にめちゃくちゃ美しくなって笑ってしまった。宇野さんはその腕前ずっと隠してたのね〜!?
真介役の宇野さんは、だんとつでセリフが聞き取りやすかった。声がゴシック体だった。文字サイズも72くらいあった。

そういえば「この戦争が終わったら結婚しよう」に類するトラディショナルな伏線に久々に遭遇した。久々だったので「あ」と思うこともなく、普通に驚いて悲しくなった…。
芍岩はアニメよりも舞台の方が守りたさマックスのかわいい子うさぎちゃんだった。「み〜んなの味方っす!」と言って客席のほうに腕を広げてくれたのでびっくりした。芍岩は、俺の味方…!?


舞台って、神の気持ちになって見られるのが面白いなと思った。
目の前で人間がめっちゃ真剣になんかしているところを見られるのが一番好きなところで、真剣に生きている姿を見ていると、それぞれのキャラクターの好き嫌いとかわかるわからないを超えて、「そうなんだね〜」という気持ちで見つめてしまう。この「戦国妖狐」は強さや善悪の定義が揺らいだところで終わったので、特にそういう気持ちになった。そうなんだねえ。そうだよね。
普段の生活の中では全然「そうなんだね〜」とは思えず、「なわけないだろ」みたいな気持ちになっちゃうことばっかりなので、自分が優しい人間になったような気がして気分がいい。



千秋楽は配信があるので、それまでにアニメの履修を終わらせたい!1クールなら実質6時間で見終わるので余裕よ。
配信だと表情がよく見えるので楽しみ。カテコでじんかから本田くんに明確に変わった瞬間があり、「そのもちもちほっぺをどこに隠してたの!?」となったので、ほっぺをどこに隠しているのか確かめたいと思っています。