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同期の与田#7(完結)【餌付け】

与:ええぇぇ!!!なんで一緒に寝てんの?

与田にしては珍しく寝起きがいいじゃないか・・・


与:ええええぇぇ!!!なんで腕枕されてんの?


耳元で驚くなら一回ですませてくれ・・・

今日は朝から声出てるなあ・・・

寝れずに朝を向かえたオレには過剰なボリュームだ。

腕枕されてるっていうか、させられてるんだけどなぁ・・・

朝まで煩悩と戦い抜いて、ぼーっとした頭でそんな事を考える。

予想していた通りだが、ここまでちゃんと忘れているとなんだか可笑しくなってしまう。


〇:たまたまだろ

与:たまたま?

〇:ああ、狭かったからな

与:うん・・・そうだけど・・・


与:ねえ、もしかして・・・


与:しちゃった//////?


〇:してないしてない;;;与田が思ってるような事は;;;

与:ほんと?

〇:ああ;;;映画見ながら、2人で寝落ちたみたいだな

与:うん・・・そーだよね

・・・・・・

・・・・・・

納得したんだかしてないんだかよく分からない表情のままじぃーっとこっちを見つめてくる。

・・・・・・

・・・・・・

与:なんかさ・・・・

〇:ん?

・・・・・・

・・・・・・

与:〇〇が朝起きてないの新鮮///

〇:ああ、そうだな

オレにとっても目覚めのいい与田は新鮮だ。

それにしても、まさか一晩同じベッドで過ごすとは思ってなかった。


・・・・・・

・・・・・・

〇:なあ、与田

与:んぅ?

〇:・・・・そろそろ腕抜いていいか

与:あっ;;;;ごめん///

腕枕のままのやりとりはさすがにしんどい。

与田の小ささと軽さから腕の痺れは一切ないんだが、とにかく顔面が近くて///




腕を抜くと同時にどっと疲れが出る。

我ながらよく我慢したもんだ。

読者の皆様は一晩我慢できたオレと、答えの無い問答に付き合ってくれたオレの右手に盛大な拍手を送ってほしい。

え、なにそれ。どういう事?っていう方は前回の「同期の与田#6【悪い右手】」を読んで戻ってきてください。

突然のメタ発言を申し訳ないと思う気持ちはあるが、それくらい心身共に疲弊しているのでどうかご容赦いただきたい。

とまあ、冗談はこれくらいにして・・・


ようやく一息ついたところで、不思議そうにオレの顔をのぞき込んでいる同期の存在に気づく。


〇:えっと;;;

〇:二日酔い大丈夫か?水持ってくるわ

身体を起こそうとすると先に身体を起こした与田から両手で胸を押さえつけられる。

与:待ってて、私が持ってくるから

〇:え、ああ//////



なんだ;;今の/////

急に広くなったベッドにも、さっき触れられた自分の胸にも与田の余韻が強烈に残っている事に気づいて、せかせか動く与田を目で追ってしまう。



与:おっとっと;;;

そうしているとテコテコと変な歩き方で寄ってきて

与:はい/////

上目遣い&両手で差し出された水を受け取る。

〇:ああ・・・さんきゅ

オレが飲むのか、まあいいか・・・

ごきゅっと喉を鳴らす間、オレの様子を心配そうに見つめる。


与:あのさ、ほんとに昨日迷惑かけてない?

〇:ん?

与:あんま覚えてないけど、なんかすごく甘えちゃった気がする

・・・・・・

与:〇〇は優しいから言わないけど

・・・・・・

与:たぶん私のせいで寝れなかったんだよね?

・・・・・・

与:いつもごめん、〇〇・・・


そうだった。一見自由人だがちゃんと人を見てるんだよな。与田って。

色々あったが与田が忘れてる以上、オレも忘れるべきなんだろう。

本当の事を話したら、今までのような関係ではいられなくなるかもしれないし・・・


〇:・・・別に何も無いぞ、気にすんな

安心させようと発した言葉と同時に右手が与田の跳ねた後ろ髪をすうっと撫でつける。


与:はぇ!!

〇:あ、すまん;;;

与:ううん///


〇:えっと;;;

〇:出たら朝メシ作るから風呂入ってきていいか?

与:えっ///!!一緒に?

〇:バカ言うな;;;



ドカドカ騒ぎ出す心臓を宥め、浴室に向かいながら暴走した右手を睨みつける。

〇:お前また勝手に与田に触っただろ;;

・・・・・・

・・・・・・

〇:おい、聞いてんのか?

・・・・・・

・・・・・・

って何やってんだオレは・・・

・・・・・・

・・・・・・

返事がない事に少々の寂しさを感じつつ、いつもより熱めのシャワーで疲弊した頭と身体を無理やり起こす事にした。






〇:与田?

風呂からあがると呑み会の後始末を終えた与田が自分の荷物をまとめていた。

〇:片付けすまん

与:ううん、いつも任せちゃってごめんね

〇:いや・・・



与:えっと・・・私帰るね

〇:え・・・メシ食ってかないのか?

与:だって・・・〇〇疲れてるでしょ、私いたら寝れないじゃん

〇:いや、疲れてるからまだ与田といたいんだが・・・

与:ほえっ////


あれ?オレ何言ってんだ。

シャワーくらいでは覚醒が足りていないようだ。

頭がしっかり回っていないせいか考える前に緩みきった口から言葉が出ているんだろう。

そう分析できたところで止まらないものは止まらない。



〇:いつも美味そうにメシを食ってくれる与田には癒されてるし

〇:与田のいない休日の朝ほど味気ないものはないからなぁ

与:ちょ;;;ちょっと////

〇:ん?

与:んって/////〇〇まだ酔ってるでしょ?

与:いつもそんな事言わないやん/////


ほう・・・これはまた珍しいな。

与田って意外とストレートな攻撃への防御はヨワヨワなんだろうか。

思いがけず自分でも認識できていなかった本音のようなものが駄々洩れているが、与田がいちいちいい反応をしてくれるのでまあいいかと思ってしまう。

じいーっと様子を観察していると恥ずかしそうに目を反らして口を膨らます。

与:な、なに/////

〇:いや、照れてる与田もいいなって

与:か;;からかってるやろ/////

〇:別にからかってないぞ

与:うぅぅ;;;;




今までいろんな表情を見てきてつもりだったけど、

見た事がないほど赤くなっている与田を見て気づいてしまう。

与田の全部を独り占めしたいと思っている自分に。




ああ・・そうか・・・・

成り行きで出した朝メシで同期を餌付けしてしまったなんて思ってたけど


餌付けされてたのはオレの方だったのか・・・

腹落ちしてしまえば止まる理由も余裕も無くなってしまう。



〇:なあ、与田


〇:けっこう我慢したんだが


〇:そろそろオレは限界らしい


〇:いつでもメシ作るし


〇:ドライヤーでも腕枕でもなんでもする


〇:だから




〇:もう同期やめていいか?





与:何言ってんの;;;?


突然饒舌になったオレの様子に戸惑う与田にじりじりと近づいていく。


〇:嫌だったらちゃんと逃げろよ

与:ふえぇっ!!!?

与田が逃げる隙を作るつもりだったが、唇が届くまでの時間は自分でも驚くほど短かった。



さすがにずるかったな。なんて思いつつ目を開くと、見た事ないほど目を見開いている与田。



与:わわわあぁ!!!どどどど、どどーしようつ!!

与:〇〇とキスしちゃったぁぁ!!!//////

与:ねえ;;;どおーしよ!!!


ふっ;;;

〇:どーしよって言われてもな;;;したのオレだし;;;



やっぱり面白いやつだ。

雰囲気もへったくれもない与田の反応が余りにも面白くてむくむくと好奇心が膨張する。

忘れるつもりだったが・・・


〇:ちなみにこれ2度目だぞ

与:えええええぇぇ!!!!?

いい反応だ。

更に大きく立派に腫れあがった好奇心はちょっとやそっとじゃ鎮まりそうもない。


与:ね、ねえぇ/////いつしたの/////?




今この口を塞いだら・・・


与田はどんな反応をするんだろうか・・・





3度目の深いキスで・・・


与:ひゃぁ;;;




右手は既に小動物の腰を捕らえていた。


【終わり】



最後まで読んでいただいてありがとうございます。




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