腐れ縁の美月【いいかげんにしろっ】
山:あー疲れた。ただいまー。
〇:ただいまって、ここ俺んちだろ。
いつものようにオレのベッドに飛び込んで、ごろごろと寛ぎ始める美月。
美月とは中学、高校、大学と一緒だ。
お互い実家を出て一人暮らしを始めてからもこんな関係が続くとは・・・
今日は昼過ぎにゼミがあって、いつもより早めに大学から帰宅した。
学校が終わるとオレの部屋に来て休憩するのが高校からの日課になっているらしい。
〇:自分のとこ帰れって。
山:えぇー、〇〇の部屋の方が近いんだもん。
〇:そんなに変わんないだろ。
確かにオレの部屋の方が学校に近いけど、美月の部屋だって別に遠いわけでもない。
ひとしきりごろごろしてから勝手に帰るから、別にいいんだけど・・・
山:ふぁぁぁー、疲れたぁぁー、お腹すいたぁぁーー。
わざとらしく疲れたアピールをしているが、今日は朝からほんとにしんどそうだった。
〇:大丈夫か?
山:昨日ほぼ徹夜でレポート仕上げたからねー。朝からバタバタしてて何も食べてないし。
〇:じゃあ早く帰って寝ろって。
山:じゃあ、おんぶして連れてって。
〇:なんでオレが!
山:えぇー、冷たいなー。そんなんだから彼女できないんだぞー。
〇:ほっとけ。自分だって彼氏いないだろ。
山:まあねー。
〇:高校でも大学でも何度も告白されてんのにさ。
理想高すぎんじゃないのか?
そりゃ、こんなに可愛いんだからモテないはずがない。
でもオレなんかとほぼ毎日一緒にいるんだから、断ってるんだよな・・・
・・・・・・
山:知ってたんだ・・・
驚いたような表情でこっちを見てくる。
〇:えっ?
美月の予想外の反応に戸惑う。
山:告白されたって言った事無かったよね。
〇:あぁ、耳に入ってきたって言うか・・・
山:そっか。どう思った?
〇:へ?
山:私が告白されたって聞いた時・・・
〇:・・・
正直気が気じゃなかったけど、そんな事は言えない・・・
〇:・・・
山:何も言ってくれないんだ・・・
オレの反応に不満そうな顔を向けてくる。
〇:だって・・・何にも言えないだろ。
山:・・・でも私彼氏いないなんて言った事ないよね。
!!!
〇:えぇっ!いるの!?
自分でも思ったより大きな声が出てしまう。
山:ふふっ
オレの反応を見て、くつくつと笑い出す美月。
山:なぁんて、うそうそっ!
〇:なっ、何だよ;;;
山:ねぇー、今ほっとした?
〇:はぁ?何でオレが///
山:ふふふ・・・、私の理想はめっちゃ低い方だと思うよ///
〇:なんだよ、それ。
からかわれてるのが分かってるのに、楽しそうな美月に見惚れてしまう。
悔しいけど、可愛すぎんだよ。
山:ふぁぁぁー・・・
再び大きな欠伸をする。
山:とにかくちょっとでいいから寝かして。
〇:あのなぁ・・・
山:うるさい・・・
・・・・・・
すぅうーーすぅうー。
早っ!
悪態をついた次の瞬間に可愛い寝息を立てている。
電池切れ突然すぎんだろ。
まったく、人の気もしらないで。
いくら知った仲だって、男の部屋で寝るなんて。
オレじゃなきゃ勘違いするぞ///
それにしても・・・そうとう疲れてたんだな。
静かに寝息を立てる美月の整った顔を見て、自然と口角が上がる。
これだけ気を許してくれてるのは、悪い気分ではない。
毛布をそうっとかけて、キッチンに向かう。
なんかメシでも作っといてやるか・・・
小1時間程度で料理の準備を終えて、
そろそろ起こすかと思い部屋に戻る。
!!
気持ちよさそうに眠っている美月の足元が大分が乱れていて。
托し上がったスカートからすらっと伸びた白い足と、白い下着が目に飛び込んでくる。
こ、これはヤバい!!
オレの理性が!!
ベッドから落ちていた毛布を拾って、かけようと慌てて近づく
山:んんぅぅぅ・・・
最悪のタイミングで動き出す美月。
ヤバいと思いつつも、そのまま一気に近づいてバサッと毛布を雑にかける。
!!
山:はぁぇっ!!!
変な声を出して飛び起きる美月。露わになっている両足に気づき、乱れたスカートを慌てて直す。
・・・//////
〇:えっと・・・寝れた?
山:う、うん///
〇:メシ作ったけど・・・
山:うん///
顔を伏せて、恥ずかしそうにしている美月。
・・・・・・
気まずい空気が流れる。
・・・・・・
山:ねえ///私が寝てる間になんかした?
!!!
〇:いや、何にもしてないって!!ほんとにっ!
ずっとキッチンにいたしっ!!
今も毛布をかけようと思っただけでっ!!
慌てるオレを見て、楽しそうに近寄ってくる美月。
山:ほんとかなぁー?
〇:ほんとだって!!
大体美月が勝手に寝るって言ったんだろ!!
山:ふぅぅーん。なんかしてもよかったのに///
!!!
〇:は、はぁぁっ!?からかうなって。
山:からかってないんだけどなー。
目を反らすオレに視線をあわせようと顔を近づけてくる。
・・・・・・
山:ねえ・・・
〇:何だよ。
山:パンツくらいは見た?
!!!
〇:み、見るわけないだろっ!!
山:んんんっ?
大きな目でジーっと覗き込まれて、心が丸裸にされるような錯覚に陥る。
いや、あれは事故みたいなもんだったし。
黙ってればバレないよな;;;
正直さっきから美月の白い下着が頭の中から離れなくて困っているけど・・・
山:ふぅぅーん。
納得してんだかしてないんだかわからない表情だ。
〇:と、とりあえずメシ食おうかっ。
慌ててこの場を離れようとするオレの手をガっと掴む美月。
山:その前にゲームしよ。
〇:はぁ?ゲーム?
唐突に何を言い出すんだ?コイツ。
山:負けた方は勝った方の言う事を何でも聞くって事で!!
〇:なんだよそれ?突然。そんなのやるか!!
山:やんないって言うなら、○〇に寝込みを襲われたって大学で言いふらしちゃおうかなー。
〇:いや、襲ってないし!!
山:・・・・・・
無言の圧をかけられる。
もし言われたらオレの大学生活終わるな・・・
山:やる?
〇:わかったよ・・・
まあここはちょっとゲームに付き合ってご機嫌をとっておくか。
〇:何すんの?
山:色当てゲーム。
・・・・・・
〇:色当て?
山:うん。ちょっと恥ずかしいんだけどー。
ニヤニヤしながら、わざとらしく恥ずかしがって見せる美月。
・・・・・・
山:私の今日の下着の色は何でしょう?
!!!
〇:いや!!そんなのやんないから///
山:えー、じゃあ○○の負けになるよ。
ぐぅぅ、なんてずるいやつだ。
やっぱり見ちゃったのバレてんのかな?
これ正解していいのか?どうしたら・・・
山:ちなみに答えなくても○○の負けだかんね!!
美月の白い下着がグルグルと脳内を支配する。
・・・・・・
・・・・・・
山:エッチ///
〇:はぁ!?
山:だって私のパンツの色想像してたんでしょ///
〇:そういうゲームにしたの美月だろ。
山:もー///。じゃあ答えやすいように三択にしてあげる。
〇:いや、答えやすい問題に変えてくれ。
山:まずはAね。
〇:おい!
どうやらオレの声は届かないらしい。
山:私のぉ・・・今日の下着の色はぁ・・・水色です///キャッ。
!!!
〇:んなっ!!
わざとやってるのが分かってても、パワーワードが過ぎる。
山:次はB。私のぉ・・・今日の下着の色はぁ・・・赤です///
〇:いや///色だけスッと言ってくれればいいんだけど。
山:えー、〇〇が喜ぶと思って言ってあげてんのにぃー。
〇:わ、わかったよ・・・
まあ、いいや。
AとBが違って、Cの白が正解ね。はいはい///
美月も顔真っ赤にしてるし。恥ずかしいならこんなゲームやんなきゃいいのに。
山:最後C。私のぉ・・・今日の下着の色はぁ・・・黒です///
!!!
〇:おいっ!!正解無いじゃんか!!
あっ、やべっ・・・
美月の両手が伸びてきて、むにゅぅーっと頬を押さえられる。
山:捕まえたっ!!!
気づいたら美月の顔が目の前にあって、触れるくらいに近づいてくる。
山:嘘つき///
〇:いや、これは・・・
山:もういいかげんに、観念しろっ///
・・・・・・
〇:はい・・・ごめんなさい。
観念したオレは美月に正直に経緯を話して、何とか事なきを得た。
山:ちなみにゲームは私の勝ちね。〇〇はズルしたから2個言う事聞いてもらうからね!!
〇:できる事なら・・・
山:じゃあ早速1個目ね。
〇:うん・・・
無茶苦茶な事言い出さなければいいけど。
・・・・・・
山:ふふふ・・・
うなだれるオレを見て楽しそうに笑い出す美月。
山:一緒にごはん食べよ。お腹すいた。
〇:えっ?
山:勝者の言う事は絶対だよ。
拍子抜けしたオレの反応に満足して、また笑う。
美月の優しい笑顔に魅せられて、多幸感でいっぱいになる。
〇:美月・・・
気づいたら名前を口に出していた。
最初っからオレの負けは確定してたみたいだ。
この世にこんな可愛い勝者が存在するなんて。
負けて本望すぎる。
美月の希望通りに一緒に小さな食卓を囲む。
山:おいしー。相変わらず料理上手いよねー。
〇:別に普通だよ。
山:ううん、上手いよ!私は好きっ!
〇:そっか///まあ、それならよかったよ。
幸せそうにごはんを食べている美月が眩しすぎて、目線と話題を反らす。
〇:そ、そういえば2個目は、どうすんの?
山:あー、それはもう決まってる。
〇:そーなの?
山:うん、えっとね・・・
山:もうそろそろいい加減に・・・
山:私を彼女にしろっ///
勝者の言う事は絶対だ。
【終わり】
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