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ファイアーエムブレムエンゲージ クリアレビュー

はじめに

 今年の1月に発売したファイアーエムブレムエンゲージ(以下FEエンゲージ)。3月末に無事クリアしたのでクリア後のレビューを書いていきたいと思います。

ない方がマシともいえるストーリー

 まずストーリーですが、巷に数あるFEエンゲージレビュー記事の通り、なかなかにひどいものでした。以下、ネタバレ注意です。






 序盤で、主人公が龍で記憶喪失だとか、肉親が死ぬだとか、なんかこれ覚醒とifを足して2で割ったようなストーリーだなあ…と思っていました。
 それもそのはず、友人から聞いてびっくりしたが、今作のシナリオは覚醒とifのライターさんが書いていたそうで。

 まあ、前作の風花雪月のストーリーがすごすぎただけで、FEシリーズにはそもそもストーリーなんてあってないようなもの。好きなキャラを育てて活躍させるキャラゲーだと思っている節はあります。

 FEのストーリーって基本、小国の王子である主人公がある日、龍とか魔王とかに魅入られた隣の軍事大国に攻め込まれ、亡命しながら他国に協力仰いで回る、って感じのテンプレでしょ?という認識(例外は多々ありますが)。

 事実、覚醒もifも当時プレイしているときは、シナリオがひどいとは思わず、お気に入りの異性キャラに求婚し、生まれた子供を最大限に薬漬けにして強化していました。

 そんな、FEシリーズにそこまでストーリー部分は期待していない自分ですら、今回のストーリーは「キッツ…」と思わざるを得ませんでした。おそらく、そう思った理由は以下の3点。

・陳腐なストーリーをフルボイスのアニメーション見なければならない
・ゾンビのように何度も復活する魅力のない敵キャラ
・張られた瞬間に答えが分かるバレバレの伏線
 

 1点目は書かれている通り。ドット絵でサラッと進めていれば特に気にならないテンプレストーリーも、フルボイスアニメーションで見させられるのはなかなかの苦行でした。

 2点目は、敵キャラについて。今作では四狗という敵側の幹部集が出てくるのですが、これが魅力がないうえに何度も出てきます。ストーリー中盤で倒したと思ったら、「まあ、また相手してやるぜ」的な上から目線で撤退します。結局、それぞれ3,4回は同じ幹部と戦ったんではなかろうか。

 しかもこれだけのゾンビっぷりを見せるのに、最終的には仲間割れの末ナイフ一本で死ぬとかいうわけわからん最期。こちとら、剣で斬りかかり、槍で突き刺し、斧でカチ割っとるんやぞ。

 さらにこの敵の幹部集、悪逆非道の限りを尽くし、散々腹立つキャラを貫いていくのかと思えば、割と簡単に寝返ったり死ぬ間際に過去の回想があっていい人ぶったりして、泣かせようとしているのが見え透いているのが寒々しい。嫌なキャラならそれを最後まで突き通せよって感じです。ナーシェン様を見倣え、皆の衆。

FE敵キャラ史に間違いなく残るほどの魅力を放つナーシェン

 最後に3点目ですが、本作には伏線というにはあまりにも伏せられていない線が多数張られています。

 例えば、春夏秋冬をモチーフにしているであろう四つの国が存在し、それぞれ2人ずつ王子or王女がいます。ストーリー序盤では、春、夏、秋モチーフの国をめぐりながら、それらの王子+従者二人を味方に引き入れていきます。

 その中で冬モチーフの国が、本作のラスボスである邪龍を復活させ、主人公陣営に進行してくるのですが、そこにもまあご丁寧に王女が二人(+それぞれに従者二人)。案の定ストーリー中盤でこちらに寝返ります。

 この他にも、「実は邪龍にはもう一人、子どもがいたのだ…」とか、いやらしいキャラだらけの四狗の幹部に、やたら忠義に厚そうな騎士がいたりとか…。もう結末はお分かりですね。

 そんなこんなで、あまりストーリーにケチをつける方でもない自分が、ここまでいうほどの出来映えでした。あとNARUTOの時も思ったけど、穢土転生ってあまり好きじゃないな、ってことを述べてこの項の結びです。


魅力的なキャラクターたち

 さんざんストーリーを酷評してきましたが、キャラゲー(だと勝手に思ってる)で20年以上もっているシリーズなだけあって、味方キャラクターには魅力的なキャラがたくさんいました。ただしすぐにカッとなって味方を窮地に追い込む主人公は論外。

 さわやかブロンドなのに筋肉の話になると変態的になるアルフレッド王子、可憐な見た目でそんな変態を悪辣な言葉でなじる妹のセリーヌ王女、おっとりペガサスなクロエと序盤から魅力的なキャラクターが目白押しです。

 その中でも支援Sにまでした私のお気に入りはエーティエです。、THE・お嬢様な見た目&しゃべり方をしていながら、主のアルフレッドと同じでこれまた変態的な筋肉愛をもつといういいキャラ。

この可憐な見た目で脳筋キャラなんだから愛せる

 見た目の可憐さ、支援会話の面白さ、その性格に違わず恐ろしいほど伸びる力のステータス、と3拍子揃ったできる女です。弓兵のくせして、ストーリークリア時点では、堂々のパーティー内第2位の力。1位はもちろん主のアルフレッドです。 聖魔のルーテ時もそうだけど、支援会話がネタ方向に振り切れているキャラが好きなんですよね。

 このように、序盤加入のキャラクターだけでも様々な個性をもつ魅力的なキャラがたくさんいます。読者の皆さんも、自分だけのお気に入りのキャラクターを見つけてはいかがでしょうか。

歯ごたえのある戦闘

 あれだけストーリーを酷評しても、それでも本作をクソゲーと評せないのは、やはり戦闘面の功績が大きすぎるからでしょう。戦闘パート楽しすぎ。

 もともとはやられた仲間は元に戻らず、やり直しのきかないシビアな戦闘システムで売れてきたFEシリーズ。

 そんな中、最近のシリーズでは、風花の天刻の拍動や、本作の竜の時水晶のように、キャラがロストした後でも巻き戻せる機能が搭載されています。


竜の時水晶を使うと、任意のターンまで巻き戻せる

  この巻き戻しシステムはただの救済措置で、プレイの緊張感をなくすものだしいらないのでは、と前作までは思っていました。しかし、本作では指輪システムなどの複雑になった戦闘システムとも相まって、うまく昇華されていたように思います。

 基本的にFEは、敵の行動はすべて見えており、必殺という偶然要素はあるものの、どのマスに行けば誰からどのくらいのダメージを受けるというものが割と明確にわかっている、単純な戦闘システムです。だからこそ、一度死んだら戻ってこないというシステムがプレイヤーに緊張感を与えることで、ちょうどいいゲームバランスになっていたのだと思います。

 ただ、本作では従来の三すくみや地形効果だけでなく、スキル(過去作からありますが)や指輪によるエンゲージなど、戦闘に及ぼす要素がかなり複雑になっています。特に、エンゲージなどは「そんなとこからワープして攻撃してくるの!?」といったような行動もあり、事前にすべて把握したうえでこちら側の行動を決めていくのは、不可能ではありませんがかなりストレスがたまることでしょう。

 このように複雑になった戦闘ですが、巻き戻し機能があることによって、「とりあえずここに進めてみるか」⇒やられたら敵の情報を見直して修正、といった風に、トライ&エラーができるようになっています。

 私はハードモードでプレイましたが、時には一つの章で2時間以上かかるような歯ごたえのある戦闘をストレスなくプレイできたのは、複雑な戦闘システムと巻き戻し機能の絶妙なバランスでの融合のおかげと言えるでしょう。
 巻き戻しには10回という制限があり、最初は「そんなに巻き戻せるの?」と思っていましたが、雑に使っていると回数上限までいってしまいゲームオーバーということも何回かあるくらいには歯ごたえある難易度でした。

 単純な戦闘とやり直しのきかない緊張感のあるシステムから、トライ&エラーしながら活路を切り開く歯ごたえのある戦闘システムへの転換という新しい試みが、本作では図られていたのかなと思いました。


終わりに

 そんなこんなで、ストーリー×、キャラクター〇、戦闘◎、といった本作ですが、総合的にみると、やはり期待を裏切らないFEシリーズ、といったところでしょうか。

 エキスパンションパスの追加ストーリーもリリースされましたが、ちょこちょこ明かされるストーリー詳細を見ても全く心動かされないのは、本作ならではと言えるでしょう。

 今はホグワーツ・レガシーで忙しいのでまだプレイできていませんが、そのうち追加ストーリーもプレイしようと思います。

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