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字書きがアクアリストになった話
序章
【序章】
この夏、筆者は唐突に水槽デビューした
ある日だしぬけにメダカが飼いたくなり、「天女半月」という改良種を購入した
これはヒレが半月状に長くなる、美しい品種である
ここで問題が起こった
スネールである
水中のGと呼ばれるそいつらは、小型の巻き貝だ
小学校の水槽や、ホームセンターのアクアリウムコーナーに行くと、水槽に無数にへばりついているのが見える
あれである
連中は水草に卵や幼生の状態でくっついて水槽に侵入、そしてあっという間に繁殖してしまう
雌雄同体なので、さいあく1匹でも増えるという驚異の生態
連中の侵攻を許してしまった筆者は悩んだ
取っても取っても、翌日にはやつがいる ……ところでベタである
ベタは肉食性の魚で、スネールを食べてくれるのだ
さらに言えば、メスは比較的に気性がマシなため(オスは無理だが)混泳が可能だという
悪くない
筆者はスネール駆逐のために、メスベタを水槽に放り込んだ――
ここまでが序章である
次の章で、ちょろい筆者はベタマニアになっている
沼落ちというやつだった
このベタ
たいへんに人類にフレンドリーな魚類だったのだ
【ベタとは何ぞや?】
和名を闘魚
その名の通り、原産地では気性の激しさを利用して賭け事に使われていた魚の末裔である
雄のベタはフレアリングと呼ばれる激しい威嚇行動を行う
さらには命が尽きるまで、お互いを攻撃する
…これだけ聞くと、怖い魚だと思われるかもしれない
実際、いまでもオス同士は一緒の水槽には飼えないし、ペアであったとしても、繁殖させるとき以外は別の水槽で飼わなくてはならない
戦うお魚、ベタ
彼らが現在のようにペットフィッシュとして飼われるようになったきっかけは、ぐうぜんであったという
闘魚として改良されるうちに、たまたま見栄えの美しい個体が誕生
ここから、ベタは鑑賞価値の高い魚としての地位を固めていくことになる
性格は非常に懐っこく、餌をくれる人間を覚えて甘える個体が多い
好奇心も旺盛で、新しく水槽内に設置したものや、近隣の状況に興味を示して近付いてくる
鳴き声がないため静か(餌を要求してくるので存在感はそこそこある)で、作業を邪魔されるということがない
グルメなお魚で、個体によって好む餌が異なる
体長は5~7㎝前後
現在ではペットフィッシュ(ペットとして可愛がる魚)の代表格となっている
ただし、悲しいことに短命である
2~5年が平均寿命とされるが、1年未満も生きられない個体すら存在する
これは遺伝なので、どうしようもない
【種類はどれぐらい?】
カラーリングは多岐に渡る
曰く、表現出来ない色はないとさえ言われるカラーバリエーションを誇るのがベタの見所だ
原種はそんなに派手ではないだけに、何を思ってこんなに派手になったのか
全身真っ白な個体がいる
もしくは真っ青だったり、ヒレに赤い縁取りが入っているかも知れない
要は個体によって、色や柄がまったく異なるアピールをしてくるのが特徴だといえる
オンリーワンの個性を求める人にはもってこいだろう
タイプとしては、昔ながらの「トラディショナル」
コンテストに出場する資格を持つ「ショーベタ」
身体が通常種の2倍近くに成長する「ジャイアント」
野生種を交配した「ワイルド」
――などが存在する
本場まで行けば、もっとバリエーションがあると言われるが、日本で流通しているのはこの辺りだろう
トラディショナルベタ(通称トラベタ)は、ホームセンターやペットショップに普通に居る
ショータイプも、ちょっと大きい店なら出回っているかもしれない
後者2種は、さすがに専門店まで足を伸ばさなくてはお目にかかれない品種だ
ここに、今度は体型の分類が入
半月型の尾ヒレを持つ、優美な「ハーフムーン」
※ヒレの開きが甘い個体は「スーパーデルタ」と呼ばれる
闘魚としての体型を維持した、尾が短く活発な「プラカット」
尾ヒレが針状に枝分かれする、個性的な「クラウンテール」
上下に分かれた尾ヒレから、ハートのシルエットを持つ「ダブルテール」
トラベタを改良した「ベールテール」
近年では、胸ヒレが大きく成長する「ダンボ(エレファントイヤー)」なるタイプも存在する
プラカットに多いが、ハーフムーンでもダンボの特徴を持つ個体がい
他にも何タイプかあるのだが、これ以上書くと混乱を招くと思われるので、割愛する
色は…
ソリッド(単色)以外は、表現が曖昧な部分があり、明確に説明するのは難しい
基本的にベタの体色は基本の色に柄が載っており、それがニシキゴイっぽいなら「鯉ベタ」だし、クマノミに似ている個体は「ニモ」となる
黒地に青のラメが散った個体なら「アバター」
映画がモデルとなった名称が多い
この他にも、「ファンシー」、「キャンディ」、「マルチカラー」といった複合色への名称があり、困ったことにその定義は曖昧模糊としている
この色が欲しい、というよりも、実際に見て気に入った個体を迎えるのがベストだろう
柄についてはその際、何となく書いてある説明を読む程度で構わない
飼っているうちに色が変わることもよくある
たとえばうちのベタ(ヘッダーの個体)はハーフムーンのアバターなのだが、うちに来たときは焦げ茶色のボディに、青いラメがまばらに入っている個体だった
尾びれは白い
これがいつの間にか、真っ黒い体色に変化
ラメは背中と尾ヒレを覆い尽くし、尾ヒレはオレンジ色に黒の縁取りという、インパクト抜群の姿になった
ぱっと見、別個体のような変貌である
他にも、ブルーフィンとして購入した個体が白→青へと変化中である
白いベタのつもりだったので、何か違う気がしなくもない
このように、姿が変わるのも日常茶飯事だったりする
オスとメスの違いも書いておくと、派手な方がオス
メスは尾ヒレが成長せず、発色も一段劣る…が、たまにオス並みに見事な体色の持ち主もいる
体型はメスの方がふっくらしている
見た目が丸っこくて可愛いため、メスベタ専用の愛好家もちらほら
メス同士なら、まれにベタの混泳水槽が作れる これは姫水槽と呼ばれ、ファンの憧れだったりする
実際にはメス同士でも喧嘩は珍しくなく、難易度は高い
オスは縄張り意識がきわめて高い
混泳は不可能であり、単独での飼育になる
尾ヒレが大きく成長し、フレアリング(鏡や他のベタに対する威嚇行動)が非常に美しい
優雅なのがオス、可愛いのがメス
性格はどちらも人間には友好的なので、これも気に入った方を選ぶのがベストだと言える
【どこに売ってるの?】
大きめのホームセンターやペットショップによく居る
このクラスはお手軽価格で、メスなら500円、オスは1500~3000円前後で出回っている
ただし、病気持ちの個体を売りつけられることも普通に起こるので、可能であれば専門店を頼った方がいい
専門店は敷居が高く感じるが、選べるカラーや病気の有無といったリスクを考慮すれば、こちらをお勧めしたい
現在は通販サイトを開いているお店も多いので、「ベタ 通販」と検索すればけっこうな数がヒットする
こちらはややお高めで、5000~9000円クラスになる
ショーベタ専門と看板を掲げている店に至っては諭吉も厭わない話になってくるので、よほどこだわりがない限りはヤフ〇ショップ辺りが無難だろう
なお、メスベタを扱っている店はやや珍しい傾向にある
【必要な設備】
ぶっちゃけベタよりも初期投資の方が高い
彼らは熱帯魚なので、年間を通して25~28度の水温を好む
20度を下回ると極端に衰弱するため、水温計と水槽用ヒーターが必須となる
水槽は5リットルが妥協ライン
理想は10リットルと言われているが、一般家庭でそこまでやるのは厳しい
現実的なのは17㎝ボックス水槽(およそ5リットル)辺りか
ベタは水草がわりと好きである
夜、根元にもたれ掛かったり、葉っぱの上でくつろぐ姿が目撃されるほど
彼らは(ある意味、見た目通りだろう)泳ぐのが得意ではない上に、疲れやすい
そのため、水槽の底に着地してゴロゴロする性質がある
放っておくとそのまま横になって寝る
…死んでいるみたいで心臓に悪い
また、懐き具合にかかわらず隠れる習性があるため、水草を入れておくとストレス軽減にも繋がる
丈夫な水草として、アヌビアヌス・ナナがある
水草を植えるには砂が必要となる
個人的には誤飲した際の危険性を考慮して、ソイル(土のかたまり)を推奨
魚は保護色の性質があるため、黒っぽい個体は黒、白っぽい個体は白い土が色揚げに良好となる
水草の活着率も高い
欠点は導入直後の水の濁り(真っ黒になる が、翌日には収まっていることが多い)と、1年で交換が必要という点
濾過器
ベタは強い水流が苦手なので、メダカ用の勢いの弱い濾過器をお勧めする
水が出る口を水槽側に向けておけば、より勢いが弱まる
最近は水槽と濾過器がセット販売されていることも珍しくない
――以上が、筆者が水槽にセットしているものとなる
夏でも置き場所によっては25度を下回るので、水温計とヒーターは水槽に入れっぱなしである
フレアリング(血行促進、ヒレの癒着防止のために毎日行う)の時間以外は、紙で水槽を仕切り、ベタからは他の個体が見えないようにしてある
居間に居る個体は光不足にならないように、水槽用LEDライトを夕方までつけている
餌はキョーリンの「ヒカリベタ・アドバンス」か「乾燥赤虫」を与えている
食べない餌がけっこうあるので、何社か用意しておいた方がいいかも
我が家では粒状の餌で、1回に与える量は3粒、朝、昼、夕方と与えている(これは与えすぎという説もあり、実際にうちのベタはぽっちゃりしている…)
不調の際には塩水に入れる
水草が弱るので、各利用の何も入っていない水槽に、ヒーターと水温計を設置
塩は塩浴用として販売されている
ペットボトル1本に対して、小さじ1杯の量を目安に塩を投入
保温して様子を見る
健康かどうかは背ヒレで判断する
元気な個体は背ヒレがピンと立っているし、動きも活発
怪我や病気、漠然とした体調不良など、どれでも塩浴が有効となる
※他の魚でも塩浴は行われるので、魚の治療法としてはポピュラーなようだ
他には…
・カルキ抜きの薬剤
・ベタ用のコンディショナー(なくてもいい)
・掬い上げる網
・水槽掃除用のスポンジ
・水替えポンプ
→これが神
現在では水の全交換は急激な水質変化を呼ぶため、危険とされている
具体的には、水槽の3分の1をポンプで吸い上げて取り替える
砂底の汚れも吸ってくれるため便利
・フンや食べ残しを吸い取るスポイト
…こんな感じ
コンディショナー以外は必須だと考える
これがないと、掃除が切実に大変なので…コンディショナーはベタの肌荒れ(!)やヒレ裂け予防にいいとされるが、使っていてもあまり違いがわからない お守り感覚かも
レイアウトはシンプルな方が良く、人工水草や流木など、尖っているものはNG
ベタのヒレを傷つけてしまう危険性がある
総じて、魚を飼育する際には必要なものだと思う
ヒーターが必須という点は注意したい
※ヒーターは水量によって必要なワット数が異なる
5リットルなら10w、10リットルなら20wが目安
【さいごに】
飼いやすいお魚として有名だが、実際にはそこそこ飼育にお金がかかる
狭い水槽は水質の維持が難しいため、非推奨
可能な限り大きな水槽で、ゆったり泳がせてあげたい