「情事と事情」を見た。抒情的な映像美と寺西氏の色気にときめく。

エンタメはあくまで楽しくありたいのだ。

「情事と事情」を見た。スマホで見た後、PCで大きい画面でも見た(劇中、寺西氏演ずる玲門が読んでいる本の題名を知りたかった)。
以下、若干ネタバレ気味なことご了承ください。

そもそもワタクシ、ドロドロドラマがものすごい苦手でして。ドラマや映画は癒し的な意味合いで見たいんですよ。だからエゲつない復讐劇とか、男女の怨念たぎる不倫がメインの話とかはご勘弁願いたいクチです。むき出しの悪意や情念を突き付けられるのがしんどいんだよね。基本迂闊にお気楽に生きてはいるけれど、私とてそれなりの山や谷はあるし、ある程度しんどい経験もしてるので、わざわざエンタメでネガティブな方向に心をアップダウンさせたくない(積極的にネガティブに心をアップダウンさせたい人はそういないと思うけれど)。

予告映像シーンがハイライト。それほどどぎつさはない。
で、「情事と事情」。もう明らかにそういう苦手そうな話っぽい匂いがプンプン。でも、実際に見てみると無料で見ることができる1,2話とか各話の予告映像以上にエグいシーンはないんすよ。展開としてはダークで、明るさはないけどね。

「本編みたらもっとドロついてるんじゃ……エロが過ぎるんじゃ?」と不安と期待(笑)を持っている方に言いたい、「予告映像がハイライトです」。ドロドロすぎず、エロ過ぎず。金子ノブアキと森香澄カップルが色っぽいちゃー色っぽいけど、これ、単純に役者(金子さん)が妖艶すぎて、仕上がりが想像以上に18禁ぽくなってしまっただけな気がする。金子さん、いくつかドラマを見ているけど、いつだって声も佇まいもいちいち艶っぽいからな。

さらにいうとドラマ性も薄い。薄いというより淡い、かな。ただ映像美は洗練されていて、映像で持たせることには成功していると思う。原作未読だけど、原作ではもっと人間模様が濃く描かれていて、その分ドロドロしているんだと思うけど、そういう原作のエッセンスをすべてちょっとした台詞とモノローグでさりげなく語っている(のだと思う。想像)。重いテーマにじかに向き合う作りじゃなくて、セリフの断片からストーリー全体を視聴者側で想像してねという感じ。エピソードを連鎖的に描くことで群像劇の枠組みが少しずつ提示されていくので、意味不明ということはない。想像の余地を存分に残しているというところ? わかりやすい話の方が好きな単純人間の私にとっては、これ以上雰囲気重視だとしんどいけど、この作品はついていけましたです……笑。

映像は丁寧に撮られている。アンダーな色調メインなところは、年寄りで鳥目の私的には見づらくて好きじゃないけど(笑。身も蓋も無い)、見せたい映像の意図もわかるし、いい感じ(「幕をおろすな」の、見る側の視点さえも彷徨わせるのと比べたら、そりゃもう……)。1話目冒頭の長回しもいい。長回しって撮るほうも撮られるほうも大変だと思うんですよ。そこが舞台的で面白い。
ラストもダークなんだけど、そこもそこはかとない怖さを漂わせて幕……みたいなところで、しんどくはない。私も含めむき出しのものが避けられがちな時代らしいドラマ。

玲門と流奈の中の人語り。

私が見たいのは寺西氏なので、主役たちのストーリーについてはここではまるっとスルー。今回何がよかったって、相手役が元某歌劇団のmatobuさんだということ。トップ時代の印象は、美形でなんでもそつなくこなすようで、ご本人は熱い人ででも自分に何か足りないものがあると感じてそこをずっと探しているような真面目な人、というところ。某歌劇団出身者が芸能界を生きるのはわりと難しいと思うのだけど、matobuさんが映画やドラマにコンスタントに出ているのは、陰の努力が実を結んでいるだろうなあと思っている。

私が思う彼女のイメージからいうと柄違いなように思ったけれど、奔放に生きているようで生硬さが透けて見える流奈という役は、今、積み上げてきたものを活かしているなあと。なんせ白シャツでシェイカー振ってあんだけカッコいい美人はそうそういないですぜ。玲門が懐くことに違和感がない!

そして玲門さん。中の人の周りには今私のようなニワカが沸いているわけですけど笑、それより早くこの作品をキャスティングした人、本当に見る目あるなあ。もちろん私が知らなかっただけで、芝居をする人としての寺西氏は一定の評価をすでに受けていたのだろうけれど、でもキスシーンが初めてだそうだし、ラブストーリーの相手役としてはやっぱ抜擢だよなあ。

玲門さんとしての寺西氏、何よりあの声がめっちゃ生かされている。ささやいていても色っぽくて通りのいい声。声だけでも優勝。顔も優勝。

ただ、正直いうと最初はあのヘアスタイルが似合っているのかは微妙に見えた。金髪はいいんだけど、ボリューム感が……正解なのか??? と。でも「好き」はそんなことを簡単に凌駕する。

ちょっと、似合ってない?? や、そうでもないかー。うん、かっこいいかもー。いや……

素敵です!!!


になるのは簡単だった。チョロい。玲門と流奈さんの話、もっと書きたいことがあるのだけど、それは追って。

いよいよ明日ですね。きのう、土曜日出勤は当たり前の今の某特殊団体(合法)に、明日は出勤かと聞かれて「や・す・み・ま・す!」と高らかに宣言してまいりましたよ。これだけ緊張しているの、大丈夫か私……。

予防線として、私の望む世界線でなかったときの心の準備もしておかないと危ないかもしれないくらい、自分の情緒に自信がないっす。