てらさん、色気を語る。そして、望む! 「情事と事情」玲門と流奈さんの始まり物語。

色気とは……。

「anan」で色気の深淵を写真で文句なく放っているてらさん。甘さとクールさ両方をさりげなく、しかしダーダーと垂れ流しておられます。顔の造形にいろんな要素が詰まっていて、どこを切り取るかで表情が違ってくるところがてらさんの魅力の一つですね。インスタライブでも思うのだけど、ぼーっとこちらを見ているだけでもこちらの心を射抜くところがてらさんの罪でもある。

そして色気を語るてらさんらしい発言の数々よ。68点語りに人柄がにじんでいる。シャイでいながらも、飄々と、ある意味ぬけぬけといい塩梅のことをおっしゃる。力の抜き具合がうまい。色気や仕事への向き合い方などをきちんと語りつつ貝で話を落とす。語りすぎないところも色気ってやつですよね。バランス感覚が絶妙。

ちなみにこれはもちろんてらさんだからいいのであって、原君にはどこまでも前のめりで行ってほしいと思う。ちゃんと俯瞰もできながら誰よりも最前線で待ち構えているのが原君の魅力。後はそんな彼をちゃんと援護できるグループでありますように。彼を満身創痍にして放り投げないでほしい。

で、てらさんの色気観が芝居に表れているのが、Lemino配信ドラマ「情事と事情」なわけですね。実際のところ、玲門と流奈さんはサブストーリの人なので、出番はそう多くない。特に直接的にメインキャストに絡まない玲門さんの出番は少ない。

それでも、モノローグと台詞から流奈さんの来し方は語られており、二人の出会いもほんのりと語られる。そうすると、思うんですよ……。
「二人の始まりの物語をメインにしたドラマ希望!!!!」

(以下がっつりネタバレしています)

ほんのり語られる二人の関係性をつなげてみる。

1話目プロローグは、登場人物たちが一つのホテルでそれぞれの時間を過ごしているところが映し出される。その時点では二人は「年の離れた恋人?」な雰囲気。以下、全話を通してみて二人の関係性を、ドラマでは描かれていなくとも、とにかく時系列に並べて直してみる。ドラマの展開順ではないこと、ご了承ください。

■玲門と流奈の物語(ざっくり)■
パリで二人は別れている(出会いは語られていない)。この時点で流奈は結婚も離婚も不倫も経験している人のようだ。

日本のとあるホテルでピアノを弾いている玲門と再会。流奈の部屋で暮らすようになる。小さなクローゼットに二人の服がちょうど半分ずつ入っている、そんな暮らし。玲門は流奈が経営するバー「水無月」でピアノを弾いたりしている。

二人の関係性を、近所の人は悪気なく「親子」ととらえている。それを苦笑いでかわしつつ、酸っぱい感情を禁じ得ない流奈。そんな流奈に飄々とキスを交わす玲門。つかず離れずの関係を楽しんでいるように見える二人。パリで別れ日本で再会した自分たちを「運命かな」という玲門と、「気まぐれでしょ」と躱す流奈。流奈はいう。「ほんと、野良猫みたいな子。ふらーっと現れて、ふらーっといなくなるんだから。それでいいのよ。どこにいるのも、どこにいくのもあなたの自由なんだから」。

しかし、それは流奈にとってはあくまで自分に言い聞かせている言葉でもある。運命でありたいと思いつつ、いつか玲門に去られる不安を抱いている流奈と、そんな流奈の心の揺れを感じつつ気づかないふりをしている玲門。

ある日、玲門は100本のバラの花を抱えた男(ヒロインの夫修さん[金子ノブアキ]の秘書、誠也[遊屋慎太郎])に出会う。何かを感じ合う二人。誠也は手に持っていた花束から1本のバラを抜き取り、玲門に渡す。彼から受け取ったバラを見つめる玲門に、不安を感じる流奈。

そんな折、長く絶縁状態にあった実家に足を運ぶ流奈。若き流奈は夫の不実も気づかない貞淑な母(銀粉蝶)が勝手に決めるままの見合いから逃げた過去がある。一見貞淑、しかし実はむせかえるような女の情念がにじむ母に息が詰まる流奈。
しかし、母は夫の不実は当然知っていて、自分にもそれを癒す相手がいたのだと娘流奈に告げる。母は言う。「女は一生女の性(さが)から自由になれない」「じぶんのうちに蠢くものから目をそらしちゃだめ」「あなたもおすまししていないで、解き放ちなさいな、女を。もっと楽しみなさい」

母の言葉に触発されたかのように、玲門に執着の思いを示す流奈。「好きよ玲門」「どこにもいかないでね」と思わず本音が漏れる。微妙な表情でそれを聞く玲門。

瑠奈の物語の傍らで、玲門の物語も動いている。あるバーで、玲門と誠也が会っている。誠也からネックレスをプレゼントされた玲門。それは誠也の上司である修さんが愛人に贈ったものと同じ。玲門が今心惹かれているのは誠也。その誠也が思いを寄せるのは修さん。矢印がきっちりとは交わらない関係性が、おそらく玲門には心地がいい。

ある朝流奈が目覚めると玲門がいない。ハッとしてクローゼットを見ると、玲門のためのスペースであった半分が空になっている。玲門は、文字通りふらーっといなくなった。

自分のバーで新たなピアノ弾きを雇い入れる流奈(新たなピアノ弾きは、修さんの愛人だった人)。そして別の場所でピアノを弾いている玲門

二人の物語をざっくり書くとこんな感じ。まあ、雰囲気で語られているものをつなげているので読み違いもあると思う。玲門と流奈がこれからまた交わる時がくるのか、こないのかもわからない。多分、こないんだろうな。

あくまでサイドストーリーの人たちなので、どのエピソードも蜉蝣のような淡さだ。その底にじりじりと見える情念。

うん、苦手な世界観です(きっぱり)。自分なら、「めんどくさっ」で全てを投げうってしまうに違いない。

でも、てらさんですから。

それでもね、てらさんがこれまた実にええ塩梅で玲門を演じておられるんですよ。野良猫感のある色男を。なんかゆるふわな服も似合っててね? 苦手な世界観だけど、見惚れるほどいい男ですよ。口元、目元のセクシーさ加減が半端ないよ?

なので、できれば流奈さんと玲門を主役にして、二人の初めての出会いからを描いたドラマを作ってほしい。ドラマでは、「パリで別れた」としか語られていないからこそ、みてみたい。中の人の相性もいいと思うし(matobuさんは美人さんだけどさっぱりした気性の人だから、ドロドロしくならないとこがいい)、パリで別れた二人の「はじまり」はどこなんだろう。パリかもしれないし、ロンドンかもしれない(流奈さんがロンドンにいたことがあるというくだりがドラマ中にある)。原作にあるのかどうかもしらないけれど、はじまりからパリの別れまでのドラマを見てみたい。

あともう一つ、流奈をして「玲門って少女趣味ね」といわしめている、彼の愛読書のタイトルを知りたい。いや、タイトルは読めるんだけど(画面大きくして、静止画で確認)、どうも架空の作品っぽい。玲門という人物像を象徴するために既存の本を使っているのかなと思ったんだけど……ちゃうっぽい。これは私の勉強不足もあるかもしれないので、もうちょっと調べてみたい。何か実作品なり実在作家へのオマージュ的なもじりなのかもしれない。

今放映している「離婚弁護士 スパイダー」シーズン2もまだ追えておりませぬ。なのにシーズン3が確定してるのね。こちらもてらさん、出るのかな。役者としての需要、それもより真ん中に近い位置でのオファーがすでに殺到していそうなので、ため込まずに見ていこう。