包んで焼いてを繰り返す楽しみ。
元気がない時は、料理をする意欲も下がってしまう。
でも、ちょっと元気が出てきた時は、何かを作って味わうと楽しく嬉しい。そして家族も味わって喜んでくれると嬉しい。
手作りしたくなるもののひとつに餃子がある。
餃子を作っていると、何故だか元気になるというジンクスが私にはある。
二人目の子どもを妊娠中、つわりで苦しんでいた頃、とにかく食べ物には泣かされた。これまで食べることで幸せだったのに、急に食べられなくなる。
しかも「空腹づわり」だったようで、空腹になると調子が悪くなるので、こまめに補食をとるのだが、さっきまで大丈夫だった食べ物が次の瞬間に気持ち悪くて…ということがざらにあった。
加えて、体重が増えすぎないように管理しないといけないから、こんにゃくゼリーかおからビスケットか…といういくつかの選択肢の中からとりあえず口にできそうなものをモソモソと食べてしのいでいた。
そのように苦しんでいたさなか、なぜだか急に思い立って、「餃子が作りたい!食べたい!」と私はスーパーまで買い物へ出かけた。
天啓のような瞬間であった。
大量のひき肉と、キャベツまるごとと、餃子の皮を買っていそいそと家に戻ってきた後、それまでつわりでぐったりしていたのに、急にやる気があふれ出てきて料理用エプロンを着用していた。
ひき肉に料理酒としょうがを混ぜよく練って、みじんぎりにしたキャベツを加えて大量のタネを作っていく。私は醤油が大好きなので、餃子のタネにもしっかり醤油を混ぜ込んで味をつける。そのタネを、餃子の皮で一枚一枚包んでいく。餃子の皮を閉じる時にはヒダを作り、しっかり閉じていく。
大量の餃子を生み出していくと、すべて包み終わった後は壮観で、達成感がある。タネは残りがちだが、後ほどそのまま焼いて「餃子(の中身の)バーグ」にしてしまうもよし、汁物の具にするもよし、として取っておく。
その後、フライパンに油を敷き、餃子をジュージュー焼いていく。あの時の音はたまらなく幸せな気分にさせてくれる。美味しいものができているんだという実感を味合わせてくれるのだ。
手作りじゃなくても、美味しい冷凍の餃子やお店の餃子もあるし、家族には「そんなつわりの時に無理なんかしなくていいじゃん」と言われた。確かにそうなのだけれど、この自分で作る感じがたまらなく好きなのだ。
その後、再びつわり中に急に訪れる餃子を作りたいブームの際には、上の子とも一緒に餃子を作った。包む作業をやってみたいそうで、一緒に餃子の皮に閉じるのだが、まだ難しかったようで、餃子の皮からタネがあふれ出してきてはみ出てしまった。
でも。それでいい、それでいいと二人で笑った。
はみ出てもいい。
手作りはやっぱり特別なのだ。
その後二人で餃子が焼けるところをじっと見た。
焼けるときの香ばしい香りに笑顔がこぼれる。味見をしてみると、カリカリと焼けた皮の音が美味しく響く。
「美味しいねぇ」と笑う子どもの顔を見ると良かったなと思った。
その時、お腹の中にいる子どもにもいつか作ってあげようと思った。
そして、一緒に餃子を作ってこの幸せな時間を共有したいと思った。
まだその約束は果たせていないが、子どもたちといつか、一緒に餃子を作ろうと思っている。