ショートショート　コレ

ねぇキミ、
自暴自棄に陥っているとこ悪いんだけど、
コレを
お地蔵さんの足元に埋めてきてくれない？
オレ今ちょっと忙しいからさ、
キミしかいないんだよ。
これはもう仕事だから。
頼むよ。
ね？
どう？
誰も欲しがらないものをあげるからさぁ。

お！
マジ！？
ありがとう。
本当にありがとう。
ごめんね、なんか。
自暴自棄中だったのに。
それじゃ、いってらっしゃい。

あっ、そこのキミ。
換気しているとこ悪いんだけどさ、
コレを市内のどこかに隠してきてくれない？
ファッション誌代あげるからさ、ね？
お願い。
あ、OK？
それじゃあ、これファッション誌代ね。
頼んだよ。
ヨロシク。
換気はオレがやっとく！

あ、キミキミキミキミ！
大真面目に生きてるとこ悪いんだけどさ。
コレを、
このぬいぐるみの
頭の部分に埋め込んでおいてくれない？
オレ、裁縫の才能ないからさぁ。
それをお頼みしたいのよ。
頼まれてくれる？
頼まれてくれたら、
このドクロのペンダントあげるよ。
うわっ、やってくれんの？
もうホントありがとう。
じゃあ、このドクロのペンダントあげるわ。
それじゃあ、頼んだね。
ヨロシク。
大真面目にヨロシク。

ふー、
みんなイイ奴だなぁ。
中でも、
誰も欲しがらないもので動いてくれたアイツは特にイイ奴だな。
アイツには、
使い物にならない傘と
目盛のない巻き尺をあげよう。
も一つおまけに、
いつ鳴るか分からない
目覚まし時計もあげよう。

これに関しては
捨てても戻ってくる
呪われた目覚まし時計だから、
あげるのはもちろん心苦しさもあるんだけど、
こっちとしても、
この機会に
おまけとして手放せるなら手放したい。

アイツがイイ奴だったばっかりになぁ。
おまけをつけたくなっちゃった。
イイ奴だったばっかりになぁ……。

オレを恨むなよ。