ショートショート 余裕も余裕

泣いたら許されると思っている僕は、
悪いことをしてしまって泣いているんだけど、相手方からは、
「泣いたら許されるとでも思ってるのか?」
という言葉が飛んできた。

なので、
「はい」
と素直にお返事した僕は、
「許してください」
と土下座までした。

でもなんか、
「ふざけるな!」
って許してくれなかったので、
「んだよ!
 じゃあ、どうすればいいんだよ!」
と僕は逆ギレするしかなく、
「だるいぜアンタ!」
と睨みつけることになった。

そしたら相手方は、
「てめぇコラ! 舐めてんのか!」
とブチギレてきて、
「殺すぞ!」
と胸ぐらを掴んできた。

なので僕は、
「ちょちょちょちょっ!」
とお手上げ状態になり、
「落ち着いてください!
 暴力はいけません!」
と涙目で訴えた。

そういう訳で、
なんとか相手方の戦意を
収めることができたのだけど、
相手方は、
「じゃあ、五万でいいよ」
と金銭を要求してきた。

その瞬間、僕は、
「逃げよう。逃げるが勝ちだ。
 最初から逃げればよかったんだ。
 無駄に泣いちまったよ」
と思い、
「分かりました。五万ですね」
なんて要求を飲んだように見せると、
「ペッ」
と相手方の顔に向けてツバを吐き、
全速力でその場から逃げた。

そうしたところ、
相手方はブチギレて追って来る訳だけど、
残念ながら僕の方が若くて速い。
余裕で撒ける。

バイバイ相手方!
悪いけど、逃げるが勝ちだ!


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