タンスの角

気づけば泣いていた朝の七時。
間違いなくそれは
大きなあくびによる涙だった。

気づけば悲痛な顔で
うずくまっていた朝の九時。
間違いなくそれは
足の小指をタンスの角に
食い千切られてしまった事による悲痛だった。

気づけばパンティーを片手に
病院の待合ソファーで
うなだれていた朝の十一時。
間違いなくそれは
足の小指が失くなってしまった事による
うなだれパンティーだった。

気づけば口一杯にご飯を詰め込んだまま
虚ろに固まっていた昼の一時。
間違いなくそれは
やっぱり小指が失くなってしまった事による
虚ろだった。

気づけば泣き疲れて
ベッドに倒れていた夜の十時。
間違いなくそれは
もう片方の足の小指が
タンスの角に食い千切られてしまった事による
大泣きだった。


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