いつかの
「それを言ったところで、
それを言った女の子は、
空に打ち上げられて、
空の彼方に消えちゃったじゃない!」
とワケの分からない女が大泣きしながら、
目の前の汚ならしい男に
突っ掛かっていった午前十一時。
僕はその横を静かに通りすぎ、
「いつかのあの娘みたいだな」
と心の中である日のことを思い出していた。
あの娘は確か、
「それを言ったら、
それを言った理沙は、
それを言ったが為に、
それに目を付けられて、
それ以降、
それらのことは一切言わなくなったし、
それらとはそれっきりになった訳だけど、
それでいい訳ないじゃない!」
って大泣きしながら、
僕の親友に突っ掛かっていったんだよな。
なんかほんと、
いつかのあの娘みたいだった。
あの娘、元気にしてるかなぁ。