ショートショート リズミカルリズム

ドとかレとかミとか、
そんな楽しい音達が溢れまくる世界で、
僕はどうして
リズミカルに生きていけないんだろう。

全然この世界のリズムに乗れていない。
出来れば踊るように死んでいきたいのになぁ。
どうすればいいんだろう。
このままだと上手く踊れないまま
死んでいっちゃうよ。
この世界のリズムに乗る為には、
なんだろう……?

知らない人の背中にガムテープを
貼ったりなんかすればいいのかなぁ。
そしてそのガムテープには、
「消えろ」
だとかの心無い言葉を
書いたりなんかすればいいのかなぁ。
結局そういうことなのかなぁ。
まぁうん……そういうことなんだろうな。

そういう行為を
バレないように積み重ねていくことで
この世界のリズムに乗っていけるんだろうな。
確かにその行為が上手くいき続ければ
良いリズムで生きていけそうな気はする。
早速、明日からやってみようかな。

でもこういうのって始めが肝心だよね。
始めでさくっと失敗しちゃったら
リズムが狂うどころじゃないよ。
下手したらリズムを失う。
だからまずは成功が狙えそうな人を
ターゲットにしないとダメだ。

そう考えると老人がベストなのかな。
その中でも、
腰の曲がった老人がベストなのかな。
やはり失敗が恐いし、
そういう選択になるよね。
なんか老人なら
背中にガムテープ貼りやすそうだもん。

とは言え、
舐めるのは禁物。
結局、
細心の注意を払っておかないと、
周りの目ってものがある。
それが一番恐い。
見られたら終わりだ。
そこはとにかく気をつけよう。

そこを気をつけて
思い描いていた通りの事が出来たなら、
次のターゲットは
子供になってくるのかな。
中でも、
ランドセルを背負っている小学生
になるのかな。
やっぱり
ランドセルに貼っちゃえばいいってなると
楽な相手だもんね。
もうそりゃ狙わざるを得ないよ。

そう考えると、
リュックを背負っている人は狙い目だな。
逆に薄着の人は狙っちゃダメだ。
絶対バレる。
ただ人混みの中なら
チャレンジしてみてもいいかもね。
人混みを縫うように薄着の人であろうと
ガムテープを貼ることが出来れば、
何かされたというのを気付かれても
僕が貼ったというのはバレないと思う。

それは多分、
背中じゃなくて
尻や頭にガムテープを貼っても
バレないと思う。
いや、頭は流石にきついか。
どれだけ背中にガムテープを貼る
という技術が向上しても、
人混みの中で頭は流石にきついか。
恐らく視線を集めちゃうよな。
少し調子に乗りすぎた。
頭は無理だ。
まぁでも良いイメージは出来た。

とりあえず明日から
やれるだけやってみよう。
結局この世は
リズムに乗ったもん勝ちだと思うし、
なんとかして
良いリズムに乗っていきたい。
その良いリズムに乗る為のガムテープ貼りが
誰にもバレることなく成功し続ければ、
それが自信となって満ち溢れてくると思う。
その結果、
良いリズムに乗れてくる。

そしたら仕事やプライベートにもおのずと、
良いリズムが出てくる。
そうなれば、目指していたリズミカル人生だ。
ドレミファソラシドときて、
ドシラソファミレとくる、
ラララでルルルなリズミカル人生だ。
人生はやっぱり
歌って踊らないと損だよ。

だからリズムに乗れた暁には、
リズムに乗れてない人達を巻き込んで、
楽しく一緒に踊ってやるさ。
それじゃあ明日は、
鼻唄交じりに頑張るぞ。


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