ショートショート 無
好きな子を
嫌いになりたくて、
嫌いな子を
好きになりたかった昨日までの僕は、
その願望が叶った今、
とてつもなくハンバーガーを
半分だけ食べたい。
それが今の僕の願望って奴。
そしてそれが今の僕の全て。
僕もまさかとは思ったけど、
でも本当、それが今の僕の全て。
まぁでも、
そこのところの話しは、
お話は、
今は突き放すとして、
真面目な目でマジマジと真面目にマジ、
異物が混じってないかを見る仕事をする。
という仕事を、
それから五時間やった僕は、
その帰りに
ハンバーガーを買って、
それを半分だけ食べる訳だけど、
その感想を求められるのであれば、
その感想は、
ウーン!
って感想になるかな。
まぁ、これは
「おいしい」
ってことなんだけど、
僕はおいしいものを食べた時、
「おいしい」
って言わず、
「ウーン!」
って言う人間だから、
その感想は、
「ウーン!」
になるよね。
ま、とりあえず、
これで僕の願望は叶った。
となると、
もう僕に願望なるものはないよね。
こうなると、
もうそういうことだよね。
つまり、僕はもう何もない人間だ。
と来ると、
僕はこれからどう生きていけばいいんだ?
あー分からない。
無だなぁ。
完全に無だ。
まさかここまで無になるとはなぁ。
まさか今日抱いた、
ハンバーガーを食べたいという願望が、
ここまで僕の中で大きいとはなぁ。
これを失くしちゃったらなんか、
僕の中に何もなくなっちゃったよ。
はぁ、びっくりした。
本当に無だ。