
Tinderで出会った男が、心理戦仕掛けてきた話①
こんばんは。
タイトルの通り、最近Tinderで出会った男性の話をしたいと思います。
私:関西在住26歳OL。
11月のある日の夜、私な何気なくTinderを開いた。
この時はまだ、自分が心理戦を仕掛けられるなんて思いもしなかった___
湯船の中で画面をスワイプをしているとそれはそれは顔が好みの男性が現れた。プロフィール文を見ると普段は東京在住のデザイナーで、仕事で今は関西にいるとのこと。興味本位でライクをしてみる。私もただ「誰かと話したい」名目だったので、このときはあまり「出会いたい、付き合いたい」を考えておらず、ただマッチできて話ができたらラッキーか、ぐらいに思っていた。
ただ、東京在住ならなおさら怪しいと思うべきだったのかもしれない。
するとほんの数分ですぐにマッチして、なんと彼からメッセージが届いた。
彼「距離近いですね!どの辺でしょうか」
私「〇〇です!彼さんは?」
と、当たり障りのない会話をし、お互いがそれなりに近い場所にいることが判明。話を聞くと彼は過去に一年間ホテルステイをしながら関西に住んでいたことがあるようで、土地勘もかなりあり、住んでいる私よりも場所に詳しく話が盛り上がった。
そこで彼が電話に誘ってくれて、1,2時間ぐらい楽しく話をした。向こうがどう感じたかは分からないが、笑いのツボが合い、テンション感も似ていることから、電話の時点でかなり好感を得た。ただ彼は単に出張の身でこちらに来ている。私も特段期待をするわけでもなく、連絡先を交換しようと言うこともなくその日は幕を閉じた。
次の日、私は彼との電話の会話を脳内で反芻しながら仕事をしていた。思い出すとにやけてしまいそうな、楽しい会話だったなと改めて感じていた。
仕事終わり部屋でゆっくりしながら、また彼と話したいなとふと思いながらTinderを再び開くと、彼から「花さん、何時に家帰りますか?」とメッセージが届いていた。思いもよらぬ言葉に私はテンションが上がり、すでに帰っている旨の連絡をしたところ、秒速で返事が来た。
「よかったら会いませんか?遅くなるので散歩だけでも」
キターーーーーー!!!!!
キタキタキタ・・・!思いもよらぬお誘いに私は遅い時間にもかかわらずテンションが上がった。仕事終わりでヘトヘトではあるが、彼に会えることで気持ちは高まっていた。でも、まあ、会うだけ。どうせ彼は普段東京住みのシティーボーイ。しかも関西に出張に来てまでTinderを開くなんて、相当な遊び人なのでは?と、ワクワクした気持ちと警戒した気持ちがせめぎあいながらも、時間と場所を決める。
私は決めた時間に自転車で向かうことにした。うちからはかなり近く、本当に夜に散歩をするだけですよ、というスタンスで家を出た。時刻は22時。
そして、彼との、対峙。
コンビニの前で待ち合わせをしたのだが、彼の顔を見た途端、私は、打ち抜かれた。弓を持った天使が、こちらの心臓にダイレクトに目掛け矢を放った姿を捉えた。
シンプルな言葉しか出てこない。
めちゃくちゃ好きな顔だった。
世間一般でみたらどうかは分からない。が、私の大好きなご尊顔なるものが、そこに、いるのだ。私は男性の好きなタイプ、というのがあまりよく分からなかったのだが、彼に出会い初めて自分にタイプがあるのだと知った。
そうか、私はこのタイプの男に弱いのか・・・長年の謎が解けた気分だった。
どちらかといえば可愛い顔をしている。私は彼の顔を全く見られなかった。目を合わせられなかった。あの時の自分は非常にキモい動きをしていたのではないかと思う。そして、自転車を持っていてよかったなと思う。いざとなれば自分の存在を恥じて逃げ出すこともできる。
さて、ここで散歩がスタートするのだが、彼のテンションは電話と変わらなかった。だからこそ救われた。私はタイプな顔の前で緊張はしていたが、それなりに自分らしく楽しく話しているなと散歩をしながら思った。
途中で二人漕ぎに挑戦してみようとしたり、突然自動販売機でアイスを買ったりして、学生がするようなはしゃぎ方を大の大人が深夜にしていた。
楽しい。彼は私が中学生の頃に一番といってもいいほど仲が良かった友人のノリに非常に似ていたのだ。なるほど。電話でも感じていた既視感のようなものは、あの子と話しているようだったからか。と懐かしく感じる気持ちも芽生えながら。
ただ、ここで若干の違和感も覚えていた。
明らかに距離が近いのだ。あまりにも体と体の距離が近い。ベタベタくっついてくる感じ。ふむ。こういうタイプね。ただ、顔が好きだという事実は実に恐ろしいことで、そのことをスルーしてもいいかと思ってしまうのだ。
歩くことにも疲れ、一旦休憩をしようということで、自転車を道の脇に停め、ベンチに座って話し込んだ。1日限りの話し相手に、あまり気を負わずに話せた。といっても自分の話はあまりせず、基本的には彼の話を聞いていた。私のターンになるとその瞳に私が映るという事態にも耐えられず、自分の話に向けられないようにせっせと質問をしていた。
かなり話し込んでしまい深夜1時ごろ、そろそろ解散しようとなった。意外にも彼が寂しそうに、「もう会えないかもしれないんですよ?イヤだなあ〜」と言った。この男、非常にあざとい。
私も負けじと、「私だって止まればいいと思ってるよ。時間が。」
よくこれ言えたな、自分。
言った瞬間、彼の体が一気に近づいたことに気づく。
ハグされたのだ。
その腕は思ったよりも強く、抱きしめられた瞬間、ふわりと彼の香りが鼻をかすめる。これがセリーヌのダンパリの匂いか・・・いやそんなこと考えてる場合か!!
あまりに唐突な出来事だったが、ただのヤリ◯ンシティーボーイの行動だ、焦ることはない。と、私の心の中の誰かが助言してれた。
「好きな顔の男からハグされる」という経験が今までにあっただろうか?これは夢なのか?かすかにくらみそうなその現実に、頭がクラッシュしそうだった。
そして体から離れた瞬間引き寄せられ、キスをされそうになった。
反射的に顔を逸らし、手で制する。
「いやいやいやいやいや!」必死に避ける。
でも、次の瞬間、また腕を引かれた。
私の目をじっと見つめる彼。そんな魅力的な瞳で、表情で、こっちを見ないで。本気の色を感じて、一瞬息が詰まった。そして次の瞬間、信号待ちの間に、彼が再び近づき、
_______________してしまった。
もうダメだ、顔が熱い。
唇の感触が、まだ残っている。
これは夢?現実?ヤバい。消えたい。
私は振り返りもせず、「おやすみ!!!」とそのとき出せる精一杯の声を出し、全速力で自転車を漕ぎ出した。
ダンパリの匂いがまだ鼻に残っている。くそーーーーー!!!!