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3.相方と別れて分かったこと
私のnoteでは、かつての芸人時代の体験を物語として綴っています。本日のテーマは「相方」です。最後までお付き合いいただければ幸いです。
何か月ぶりかの出演となったトゥインクルコーポレーションの事務所ライブだった。舞台袖で見ていて客席は温かかった。僕らは久々の出番だったので是が非でも昇格したかった。
必死だった。
でも、つかみでいきなりこけた。
温かかったはずなのに、スベった。
意地でも昇格したいのに、スベった。
挽回するべく次のボケでは笑いをとりたい。
しかし、立て続けにスベった。
昇格がどうとかそんなレベルじゃなくなっていた。結局一つも笑いは起きなかった。
それどころか、お客さんは怒っているように見えた。睨んでいるようだった。
こんなはずじゃなかったのにと僕らはイラだった。
そして、事件は起きた。
渾身のボケとして相方今川さんの言った
「うちらの客以外全員帰れ!死ね!」
僕も普段なら強く突っ込むところだが、笑いが起きないことが目に見えていた。要するにビビったのだ。客席の空気は冷えきっていた。そもそも客いじりというのは高度なもので安易にやるべきでなかった。客いじりにもなっていないボケは完全にお客さんを敵にしてしまった。
暗闇の中から僕らを睨んでいる目がたくさん見えた。
ライブの結果は昇格どころか下から数えた方が早かった。次のライブに向けて楽屋でアンケートをチェックしていた。
すると、そこには珍しくうちらの事ばかりみっちり書いてあった。しかし、内容的には今まで目にしたことがない様な内容が続いた。
面白くない!
つまらない!
二度と出るな!
お前らが死ね!
トゥインクルの敷居をまたぐな!
殺す!
過去に見たことがない程きつい内容だった。殺されると思った。僕らは劇場の螺旋階段を逃げるように駆け降りた。
そして実際にトゥインクルのライブには二度と出ることはなかった。この事がきっかけかボケの一人だった赤木がトリオを脱退することになった。
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