こども誰でも通園制度について思うこと
2026年に開始される「こども誰でも通園制度」について保育施設運営者の立場からあれこれ考えてみました。ほぼ書きなぐり。はじめての投稿なのでいろいろ大目に見てください。
制度の趣旨
要するに
子育ては社会全体で行うものだよ!
仕事してなくてもこどもを預けられるよ!
こどもが保育園等で過ごす機会を保障するものだよ!
と、まあこんな感じらしい。
いいなと思うところ
わかる。
少子化だし。核家族化だし。子育て大変だし。
一度にできないし
体が心配だし
お肌によくないし
な事を言えるわけがなし
なんつって。
今の社会に必要な支援だと思う。
こどもはこどもの社会の中で学ぶことはたくさんある。
毎月購読してる保育ナビでモデル事業実施園がいくつか紹介されてて、どこの園も保護者にもこどもにとってもいい影響!って感じでまあ納得できる内容でした。こども家庭庁御用達の学者さんたちがよく出てる雑誌だから鵜呑みにしちゃだめだろうけど。
こういう制度があるのはとてもよい。
だけどなあ・・・
モヤっとするところ
いっぱいあるけど整理するとこんな感じ
既存事業(一時預かり事業、地域子育て支援拠点事業)の拡充ではダメだったのか
社会で子育て=保育園への押し付け
お金の出どころ
まずは1つめ
一時預かりでもよくね?
こどもに集団生活を経験させたい、親がリフレッシュする時間が欲しい。
今は就労等の理由を問わないでも利用できるよね。
問題として預かる側が少ないということはある。
まずは新規のこどもを預かるリスクが大きい。保育園での乳幼児突然死症候群の発症は入所から1か月以内、特に最初の数日間が極めて多い。
特にこどもはね。
その為に単発の一時預かりの利用であっても慣らし保育期間がある。なのに全然預かってくれない!とか言わないでね。心苦しいのよ。
他にも利用者がいるかどうかわからない事業に対して人員が配置できないとか、そもそも事業に対する補助金が少なくて、事業として成立しないとかいろいろ問題だらけ。
あとこどもに集団の経験をさせたいなら地域子育て支援拠点事業でもいいのかなと思う。子育て支援センター的な。支援員さんに子育て相談できたり、同世代のこどもと遊べたり、親同士であれこれ話したりできるし。
公園デビューは嫌だ!ママ友なんてめんどくせえ!みたいな親も多くなってきてるよね。こどもの経験のために自分が誰かとコミュニケーション取ったり、時間使いたくないみたいな。
こういう事業に行政が注力すれば、課題の改善になるんじゃないかな。
2つめ
子育ては社会全体で行うものって意見は正しい。
けど、だから保育園に全部やってもらおうは違う。
ただでさえ人手不足の現場。
こどもが好きで保育士になったのに、自分のこどもとの時間削って、他人のこどもの保育してるとやるせない。やるせなす。
賃金も上がらんし。
といっても実際には上がってるけど、手取りが・・・
社会保険料高すぎですよ。高齢者に搾り取られーの。
なにげにいちばん言いたいのはこれ
今まで子育て支援の役割って祖父母世代が担ってたわけじゃん。
それが難しくなったから保育園に頼りましょう。
わかるよ。しょうがない。
じゃあせめて財源は本来子育てを支援してきた高齢者の予算から引っ張ってきてくれ。
どんなに素晴らしい事業でも新しいことをするにはお金がかかる。
それをまた現役の子育て世代が負担するのなんなのよ。
ちょっと話脱線します。
バギーに犬のせた60歳くらいの夫婦が屋外のショッピングモールのエレベーター待ちしてたわけ。その後ろにベビーカー押してるワンオペママさんが並んだのよ。クッソ暑い中。ここまで書けば予想つくだろうけど、そのママさんの前でエレベーターは満員。そしてそのまま上に参ります。もし「大変ですね。お先にどうぞ。」の一言が聞けたらその日一日ハッピーになれたと思う。
話を戻すとね、社会全体で子育てって保育園に任せればそれいいわけじゃないと思うってこと。もちろん保育園も頑張ります!だから企業も地域も行政もおじいちゃんおばあちゃんももっともっとみんなで子育てを支えていきましょう!こうしないとだめでしょ。もっと意識的な部分を変えていこうぜ。
3つめ
この事業をやたら推してるある団体の代表。
誰とは言わないけどよくメディアに出てくる人。
個人的に苦手ってだけなんだけど。
新しいお金の流れを作りたがっているように見えてしまう。
謳ってる理念とか行ってる事業自体は素晴らしいと思うんだけどね。
おわりに
誰でも通園。この制度の行きつく先はどこか。
フランスでは3歳から義務教育になった。
日本もいずれそうなっていくのか。
0歳から誰でも保育園に行くことが当たり前になった社会。
その時が来るのが怖い。
保育園は親の代わり、祖父母の代わり。当たり前だから感謝もない。
誰かいっしょに保育園で働きませんか?